日本経済新聞 2025年10月15日付け朝刊春秋の要約と政治の裏側と情報との向き合い方
精神主義の横行、無責任なポピュリズム、世論をあおったメディア――。石破茂首相は先週末に発表した「戦後80年所感」で、日本が戦争に突き進んだ背景を懇々と説いた。こういうテーマになると、近代史の講義みたいではあるが、この人はがぜん持ち味を発揮する。
▼当日はしかし、永田町はそれどころではなかった。公明党が26年間に及ぶ自公連立からの離脱を決め、連休が明けて混沌はなお深い。自民党の高市早苗総裁はきのうの両院議員懇談会でことの次第を説明したが、未練を口にする面々もいたという。
ニュースの核となる出来事:自公連立解消ってどういうこと?
日経新聞のコラムでも触れられているように、今回のニュースの最も大きな出来事は「自公連立の解消」です。
連立政権とは?
連立政権とは、二つ以上の政党が力を合わせて一つの内閣を作り、国を治めていくことです。
- これまで:自由民主党(自民党)と公明党が26年間も協力し合ってきました。
- 自民党:安定した政治基盤を持つ。
- 公明党:**支持母体(主に創価学会)**の組織力があり、選挙での協力(特に票の融通)が自民党の勝利に大きく貢献してきました。
- 今回のニュース: 公明党がこの協力関係から離れることを決めたため、自民党は単独で政権運営をしていくことになります。
連立解消の具体的な影響は?
私たちの日々の生活に直接影響する政策決定のスピードや方向性が変わる可能性があります。
| 影響が出る分野 | 以前(連立時) | 今後(解消後) |
| 国会での政策決定 | 両党で事前に話し合うため、スムーズ。 | 野党との協力や交渉がより重要になり、時間がかかる可能性。 |
| 選挙 | 協力して候補者を応援(特に小選挙区で票を分け合う)し、勝利を確実にしてきた。 | 自民党が単独で戦うことになり、選挙区によっては議席を失うリスクが高まる。 |
| 政治の安定性 | 安定した多数派を形成。 | 少数与党になるリスク、政権が不安定になるリスク。 |
情報社会の落とし穴:「エコーチェンバー」現象の正体
コラムで指摘されているもう一つの重要なテーマが、SNS上で起こっている「エコーチェンバー」現象です。

エコーチェンバーって何?
エコー(Echo)は「反響」、チェンバー(Chamber)は「部屋」という意味です。
これは、インターネットやSNSの中で、自分と同じ意見を持つ人たちの情報ばかりが耳に入り、まるで密室で自分の声が反響しているかのように感じられる現象です。
なぜエコーチェンバーが起こるの?
- SNSのアルゴリズム: 私たちが「いいね」したり、長時間見たりする投稿をSNSは「この人が好きな情報だ」と判断します。その結果、似たような投稿ばかりが次々と流れてくるようになります。
- 人は居心地のいい場所を求める: 誰でも、自分の考えを肯定してくれる場所は居心地が良いものです。反対意見を聞くのはストレスなので、無意識に自分と同じ意見のグループに集まりたくなります。
エコーチェンバーの危険性
この現象が政治や社会問題で起こると、とても危険です。
| 危険な点 | 具体的な例 |
| 視野の狭窄 | 「連立解消は絶対大勝利!」という意見ばかり見て、本当に負けるリスク(コラム内のシミュレーション)があることを知らなくなる。 |
| 極端な意見の肥大化 | 賛成意見ばかりが反響し合い、「反対意見は間違っている」という極端な考えが強くなり、多様な意見を排除するようになる。 |
| 現実との乖離 | ネットの熱狂と現実の政治(選挙で勝てないリスクなど)が大きく離れてしまう。 |
【分かりやすい例え】
家族や友人が、「あの服、すごく似合うよ!」と褒めてくれると、本当に似合っている気がして、他の服が目に入らなくなるようなものです。ファッションなら楽しいですが、政治では**「似合わない」という意見も聞く**ことが大切ですよね。
私たちが今、すべきこと:情報に流されないために
連立解消という大きな変化があった今だからこそ、私たちは情報とどう向き合うかを見直す必要があります。

1. 情報源は「複眼」でチェック!
一つの情報源だけを信じるのはやめましょう。テレビ、新聞(有料・無料問わず)、SNS、それぞれの特徴を知り、複数の視点でニュースをチェックすることが大切です。
| 情報源 | 特徴とメリット | 注意点 |
| 新聞・ニュースサイト | 事実に基づいた客観的な情報が多い。専門家による深い分析がある。 | 有料版など、アクセスできる情報に制限がある場合がある。 |
| SNS | リアルタイムの情報や、個人の生の声、多様な意見に触れられる。 | 真偽不明の情報(フェイクニュース)が多い。エコーチェンバーになりやすい。 |
2. 「なぜそう言えるの?」と立ち止まる

ネットで「大勝利」や「足手まとい」といった強い言葉を見たら、一度立ち止まって考えてみましょう。
- その意見の根拠はどこにあるの?
- 反対の意見を持っている人は、何を心配しているの?
コラムにもあるように、新聞のシミュレーションでは「25区を落とす」という具体的な数字で危機を指摘しています。感情的な意見だけでなく、具体的なデータや事実とセットで情報を捉える習慣をつけましょう。
3. 「自分とは違う意見」をあえて見てみる
エコーチェンバーから抜け出すための最も効果的な方法です。
- SNSで、あえて関心のない政党のアカウントや、反対意見を持つ人の投稿を少しだけ見てみる。
- 自分の好きな新聞とは論調が違う新聞や雑誌の社説を読んでみる。
少し心がざわつくかもしれませんが、それが社会の広がりであり、私たちが生きる多様な世界を知る一歩になります。
まとめ:政治と情報に「しなやかさ」を持つ

今回の自公連立解消は、日本の政治が大きく動く可能性を示す出来事です。
私たちは、この変化を「自分には関係ない」と遠ざけるのではなく、情報社会のエコーチェンバーに惑わされず、多角的な視点で事実を見つめる「しなやかさ」を持つことが大切です。
感情的なポピュリズムや、誰かが作った熱狂に流されることなく、自分の頭で考え、私たちの未来にとって何が一番大切かを判断できる知的な女性でありたいですね✨。




