災害や通信障害で“圏外”になっても、近くのスマホ同士でメッセージを回せるアプリが『Bitchat』。
Bluetoothの“メッシュ通信(バケツリレー)”で、基地局やWi-Fiが止まっても連絡の可能性を残します。
万能ではないけど、家族の安否確認用に“入れて+試しておく”価値は十分あります。
地震や台風のニュースを見るたびに、ふと不安になることってありませんか。
「もし今、スマホが繋がらなくなったら、家族とどうやって連絡を取ろう?」
あるいは、花火大会や音楽フェスですごい人混みの中にいるとき、目の前の友達にLINEを送っても「送信中」の矢印がくるくる回ったまま、全然届かなくて焦った経験、一度はありますよね。
今日は、そんな「ネットが繋がらない」「電波が届かない」というピンチのときに、私たちの助けになるかもしれないアプリ「Bitchat(ビットチャット)」についてお話しします。
ちょっと名前だけ聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、仕組みはとってもシンプル。
「もしもの時のためのお守り」として、スマホの片隅に入れておくと安心できる理由を、分かりやすく紐解いていきますね。
「えっ、電波がないのにメッセージが送れるの? 魔法?」
最初に聞いたときは、私もそう思いました。
普段私たちが使っているLINEやメールは、携帯電話会社(ドコモやau、ソフトバンクなど)の電波塔や、家のWi-Fiを使ってメッセージを運びます。だから、その電波塔が停電したり、みんなが一斉に使ってパンクしたりすると、途端に繋がらなくなってしまいますよね。
でも、Bitchatは違うんです。携帯会社の電波を一切使いません。
その代わり使うのが、スマホにもともと入っている「Bluetooth(ブルートゥース)」機能です。

スマホ同士が「バケツリレー」をするイメージ
仕組みを簡単に言うと、人から人へ、手渡しで手紙を回していくようなものです。
例えば、私があなたにメッセージを送りたいとします。でも、私の電波はあなたまで直接届きません。
そこで、私の近くにいるAさんのスマホにメッセージを預けます。
Aさんのスマホは、その近くにいるBさんに渡し、BさんはCさんに渡し……そして最後に、あなたに届く。
これを専門用語では「メッシュネットワーク」なんて呼びますが、要は「バケツリレー」です。
間にいるAさんやBさんのスマホが、勝手に郵便屋さんの役割を果たしてくれるんですね。
面白いのは、この間にいる人たちは「誰が誰に送ったか」という中身を見ることはできない点。ただ機械的にバケツを運ぶだけなので、プライバシーも守られやすい仕組みになっているんです。
日本の生活で「これなら役立つ!」というシーン
では、具体的にどんな場面でこのアプリが活躍するのでしょうか。
海外ではすでに、ネットが遮断された地域での連絡手段として使われている実績がありますが、私たちの日本の生活に当てはめて考えてみましょう。

災害時の「安否確認」と「ご近所掲示板」
一番の使い道は、やはり災害時です。
大きな地震で基地局がダウンしてしまい、スマホがずっと「圏外」の表示になっているとき。そんな時でも、Bitchatなら近くの人と繋がれる可能性があります。
「〇〇避難所に水が届きました」
「ここの道路は通れません」
「誰かお医者さんはいませんか?」
こういった地域密着の情報を、ネット回線なしで共有できるのは大きな強みです。遠くの親戚には届かなくても、今まさに助け合わなければならない「近所の人たち」と繋がれること。これが生存率を分けるかもしれません。
イベントや人混みでの「はぐれ防止」
もう一つ、日常で使えるのが「人が多すぎて繋がらない場所」です。
コミケや野外フェス、大きな花火大会など、数万人が一箇所に集まると、アンテナが立っているのに通信できないことってありますよね。
Bitchatは「人が密集しているほど繋がりやすい」という面白い特徴があります。
人が多ければ多いほど、バケツリレーをしてくれる中継地点(スマホ)が増えるからです。
「入り口の右側にいるよ!」「了解、いま向かう!」といった短いやり取りなら、ネット回線がパンクしていてもスムーズにできる可能性が高いんです。
電話番号などの個人情報が不要
LINEなどを交換するとき、「あまり知らない人に個人の連絡先を教えるのはちょっと……」とためらうこと、ありませんか?
Bitchatは、電話番号やメールアドレスの登録がいりません。
好きな名前(ニックネーム)を決めるだけで始められます。
災害時にたまたま隣り合った人や、イベントで一度だけ連絡を取りたい相手とも、個人情報を明かさずに繋がれる。これは今の時代、女性にとっても嬉しいポイントですよね。
【重要】ダウンロード前に知っておくべき「弱点」と「注意点」
ここまで良いことばかりをお伝えしてきましたが、命に関わるかもしれないツールだからこそ、できないことや弱点も正直にお伝えしなくてはいけません。
「万能ではない」と知った上で使うことが、本当の安心に繋がるからです。
iPhoneユーザーは要注意!「バックグラウンド」問題

日本で一番多いiPhoneユーザーの方、ここだけはしっかり読んでくださいね。
実はiPhone(iOS)の仕組み上、アプリを画面に表示していないと、Bluetoothの通信が止まりやすいという弱点があります。
どういうことかというと、スマホをポケットに入れてスリープ状態(画面が真っ暗な状態)にしていると、バケツリレーの中継ができなくなってしまうことがあるんです。
Androidのスマホは比較的ポケットに入れていても動いてくれるのですが、iPhoneはここが少しシビアです。
対策:緊急時は画面をつけっぱなしに
災害時など「絶対に通信を途切れさせたくない」という時は、iPhoneの設定で画面が消えないようにするか、「アクセスガイド」という機能を使ってアプリを固定し、画面をつけたままカバンに入れておくなどの工夫が必要になります。
「アプリを入れたからもう安心!」ではなく、このクセがあることを覚えておいてくださいね。
「ここだけの秘密」には使わないで
開発者の方も正直に言っていますが、Bitchatはまだ発展途上のアプリです。
銀行のパスワードや、クレジットカード番号、絶対に誰にも見られたくない秘密の写真は送らないでください。
仕組み上、暗号化されていて中継する人には見えないようになっていますが、LINEなどの大手企業が運営するアプリに比べれば、セキュリティの強度はまだ「検証中」の段階です。
あくまで「緊急時の連絡」「オープンな情報交換」に使うものと割り切って使いましょう。
みんなが持っていないと意味がない

これが最大のハードルかもしれません。
「バケツリレー」をするためには、バケツを受け取ってくれる人が近くに必要です。
もし、山奥の一軒家であなた一人だけがBitchatを入れていても、誰にも届きません。
半径およそ100メートルから300メートル以内に、同じアプリを入れている誰かがいる必要があります。
だからこそ、このアプリは「自分だけ入れる」のではなく、「家族や近所の人と一緒に備える」ことが大切なんです。
違法じゃないの?「Meshtastic」との違い
詳しい方の中には、「こういう通信って、日本では電波法に触れるんじゃないの?」と心配される方もいるかもしれません。
確かに、「Meshtastic(メッシュタスティック)」という似た名前の通信技術があり、そちらは海外製の専用の機械を使うため、そのまま日本で使うと違法になるケースがあります。
でも、安心してください。
今回ご紹介している「Bitchat」は、スマホにもともと入っている標準のBluetooth機能を使うだけの「アプリ」です。
特別な機械も使いませんし、強い電波を勝手に出すわけでもありません。
日本の法律(電波法)をちゃんと守った範囲内で使える仕組みですので、誰でも安心してダウンロードして大丈夫ですよ。
いざという時に慌てない「初期設定」と「使い方のコツ」
「難しそう……」と構える必要はありません。設定は驚くほど簡単です。
いざという時に焦らないよう、平時のうちに一度だけ触っておきましょう。

3ステップで終わる初期設定
- アプリをダウンロードiPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Playから「Bitchat」を探して入れます。
- プロフィール作成アプリを開くと名前を聞かれます。「ハナコ」のように、家族が見てすぐに分かる名前をつけましょう。写真は設定してもしなくてもOKです。
- 完了!これだけです。電話番号認証もパスワード設定もありません。すぐに使い始められます。
家族でやっておきたい「避難訓練」ごっこ
アプリを入れたら、ぜひ次の週末にでも家族で「通信テスト」をしてみてください。
- お家のWi-Fiを切る。
- スマホを「機内モード」にする。
- その状態で「Bluetooth」だけをオンにする。
- 家族それぞれ別の部屋に行き、メッセージを送ってみる。
これで「届いた!」「意外と時間がかかるね」といった感覚を掴んでおくことが大切です。
災害時はみんなパニックになっています。平常時に遊び感覚で慣れておくことが、一番の防災になります。
バッテリー消費への備え
Bluetoothを常に探し続けるため、普段より電池の減りが早くなることがあります。
防災リュックの中には、必ず乾電池式のモバイルバッテリーなどを多めに入れておきましょう。スマホが命綱になる以上、電源の確保はセットで考えておく必要があります。
よくある質問 Q&A
ここで、これから使い始める方が疑問に思いそうなポイントをQ&A形式でまとめました。
Q. どのくらい離れていても届きますか?
A. スマホ同士が直接通信できるのは、障害物がない場所でおよそ100m〜300m程度と言われています。でも、間にBitchatを持っている人がいれば、その人を中継して数キロ先まで届くこともあります。「人の数だけ距離が伸びる」と考えてください。
Q. お金はかかりますか?
A. アプリのダウンロードも利用も無料です。通信に携帯会社のギガ(パケット代)を使わないので、通信料もかかりません。
Q. 英語ばかりで使い方が分かりにくくないですか?
A. 海外のアプリなので一部英語の表記が残っていることもありますが、基本的な画面は「チャット」そのものなので、直感的に使えると思います。アイコンを見て操作すれば大丈夫ですよ。
Q. アンドロイドとiPhoneの間でも送れますか?
A. はい、送れます。機種が違ってもBluetoothの規格は共通なので、問題なくやり取りが可能です。家族で機種がバラバラでも安心してください。
まとめ:防災グッズの一つとして「とりあえず入れておく」のが正解
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「Bitchat」は、LINEや電話のようにいつでも完璧に繋がるツールではありません。
でも、それらが全部使えなくなったときの「予備の回線」としては、とても心強い存在です。
防災グッズの中に懐中電灯や保存水を入れるのと同じ感覚で、スマホの中に「Bitchat」というアプリを入れておく。
無料ですし、登録もいりません。場所も取りません。
「結局、一度も使わなかったね」
そう笑って言えるのが一番の幸せです。でも、もしもの時、このアプリがあなたと大切な人を繋ぐ一本の糸になるかもしれません。
まずは今日、家族やパートナーとの会話の中で「こんなアプリがあるんだって」と話題にしてみることから始めてみませんか?
その一言が、未来の安心を作る第一歩になるはずです。
*偽物アプリ注意してください。
「似た名前の別アプリ」が出やすいので、公式ストアから入れるのが一番安全です。
「Bitchatみたいな“いざという時の命綱アプリ”は、スマホの電池が残ってこそ。普段使いできる大容量バッテリーを1つ入れておくと、安心感が段違いです。」











