突然ですが、みなさん。「森のバター」ことアボカド、好きですか?
濃厚でクリーミーな味わい、サラダにしても丼にしても美味しいですよね。私もスーパーに行くと、ついついカゴに入れてしまいます。
でも、こんな経験はありませんか?
「今日食べようと思って切ったら、まだガチガチに固かった…」
「逆に、熟しすぎて中が真っ黒になっていた…」
「種が綺麗に取れなくて、身がボロボロになっちゃった」
アボカドって、美味しいけれど「食べ頃」を見極めるのが本当に難しい食材ですよね。
実は今、そんなアボカド界に大きな変化が起きているんです。
なんと、日本の「ミカン畑」がアボカド畑に変わりつつあるというニュース、耳にしたことはありますか?温暖化の影響で、私たちの食卓事情も少しずつ変わってきているんです。
今回は、今夜すぐに役立つ「失敗しない選び方・絶品レシピ」から、ちょっと人に話したくなる「国産アボカド」の最新事情まで、アボカドのすべてを余すところなくお伝えします。
これを読めば、もうスーパーのアボカド売り場で迷うことはありませんよ。
まずはここから!失敗しないアボカドの「選び方」と「食べ頃」
スーパーに山積みされたアボカドの中から、「運命の一個」を見つけるのは至難の業ですよね。
でも、実はたった3つのポイントをチェックするだけで、ハズレを引く確率はグンと下がります。
美味しいアボカドを見分ける3つのポイント(色・ヘタ・硬さ)
売り場でチェックすべきは、「色」「ヘタ」「硬さ」の3点です。
| チェック項目 | まだ若い(数日後) | 食べ頃(今夜OK) | 熟しすぎ(注意) |
| 皮の色 | 鮮やかな緑色 | 深い緑色〜黒っぽい | 真っ黒でツヤがない |
| ヘタの状態 | ピッタリついている | 少し浮いている | 取れている・陥没 |
| 触った感触 | カチカチ(おでこ位) | 弾力がある(鼻の頭位) | ブヨブヨ(耳たぶ以下) |
一番分かりやすいのは「触った感触」です。
商品を傷めないように優しく、手のひら全体で包み込むように持ってみてください。「鼻の頭」くらいの弾力を感じたら、それが食べ頃のサインです。
指先でギュッと押してしまうと、そこから傷んでしまうので気をつけてくださいね。
まだ固い?自宅で簡単にできる「追熟」テクニック
「安かったからまとめ買いしたけど、全部緑色だった!」
そんな時も焦らないでください。お家で「追熟(ついじゅく)」させれば大丈夫です。
アボカドは収穫後に熟していく果物です。
一番良い温度は15℃から20℃くらい。直射日光の当たらない、風通しの良い場所に置いておきましょう。27℃を超えると逆に傷みやすくなるので、夏場は注意が必要です。
急いで食べたい時の裏技もお教えしますね。
- 「リンゴやバナナと一緒に袋に入れる」果物が出すエチレンガスが、アボカドの熟成を早めてくれます。紙袋に入れて、常温で1日から2日様子を見てみてください。驚くほど早く柔らかくなりますよ。
切ったら黒い筋が…これって食べられる?見極めライン
いざ切ってみたら、果肉の中に黒い筋が入っていたり、黒い点々があったり…。
「これ、腐ってるの?」と不安になりますよね。
実はあの黒い筋、「維管束(いかんそく)」といって、水分や栄養を運ぶための管が酸化して変色したものなんです。
味や食感は少し落ちますが、食べても体に害はありません。裏ごししてディップにしたり、加熱調理に使えば気にならなくなります。
ただし、全体がドロドロに溶けていたり、鼻につく酸っぱいような異臭がする場合は、残念ですが傷んでいます。その場合はお腹を壊す原因にもなりますので、もったいないですが食べるのを控えてくださいね。
基本をマスター!綺麗な「切り方」と「変色防止」の裏技
美味しいアボカドを選べたら、次は調理です。
「種を取るのが怖い」「包丁が滑りそう」という方のために、安全で美しい切り方をご紹介します。
誰でもプロ級!ツルッと剥ける正しい「切り方」手順
無理に皮をむこうとすると、実が崩れてしまいます。この手順なら、手を汚さずに綺麗に剥けますよ。
- 「縦に一周切り込みを入れる」アボカドの真ん中にある種に包丁の刃を当てて、くるりと一周させます。
- 「両手でひねる」両手でアボカドを持ち、ペットボトルのキャップを開けるように互い違いにひねります。パカッと綺麗に二つに分かれます。
- 「皮をむく」熟していれば、手でペロンと綺麗に剥けます。剥きにくい場合は、スプーンを皮と身の間に入れてくり抜きましょう。
包丁を使う?使わない?安全な「種」の取り方
よく料理番組で、包丁の「あご」を種に刺して取る方法を見かけますが、慣れていないと手を怪我するリスクがあり、見ていてハラハラしますよね。
安全第一でいくなら、以下の方法がおすすめです。
- 「スプーンを使う方法」種よりも少し大きめのスプーンを使い、種の周りをぐるっとえぐるようにして取り出します。少し身がついてきますが、一番安全です。
- 「指で押し出す方法」半分に切ったアボカドの皮側から、ちょうど種の裏側あたりを親指でグッと押します。熟していれば、ポンッと種が飛び出してきますよ。(勢いよく飛ぶので注意してくださいね!)
作り置きも安心!アボカドの変色を防ぐ色止めテク
アボカドの弱点は、切って置いておくとすぐに茶色くなってしまうこと。
これは空気に触れて酸化するからです。
作り置きやお弁当に入れるなら、この「色止め」テクニックを使ってください。
- 「レモン汁をかける」一番ポピュラーな方法です。ビタミンCが酸化を防ぎます。味も爽やかになって一石二鳥。
- 「電子レンジで加熱する」これ、意外と知られていない裏技です。切ったアボカドを耐熱皿に乗せ、ラップをせずに600Wのレンジで10秒〜20秒ほど加熱します。酵素の働きが止まるので、味が変わらずに変色を防げます。サラダに入れる時におすすめです。
【目的別】アボカドの栄養とカロリー・健康効果
「森のバター」と呼ばれるだけあって、カロリーが気になる…という方も多いですよね。
でも、アボカドの脂質は、揚げ物の油とはちょっと違うんです。
ギネスも認定!アボカドの驚くべき「栄養素」と美容効果
実はアボカドは「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックに認定されています。
特に注目したいのが、以下の栄養素です。
- 「ビタミンE」若返りのビタミンとも呼ばれ、血行を良くして肌のくすみを防いでくれます。
- 「食物繊維」なんと、ごぼうと同じくらい豊富!腸内環境を整えてくれるので、便秘気味の方の強い味方です。
- 「カリウム」余分な塩分を排出してくれるので、むくみ解消に期待大です。
アボカドは太る?気になる「カロリー」と「脂質」の真実
気になるカロリーですが、アボカド1個(可食部約140g)で約260キロカロリーです。
ご飯お茶碗一杯分(約230キロカロリー)より少し多いくらいですね。
「やっぱり太るじゃん!」と思いましたか?
でも、アボカドに含まれる脂質のほとんどは「オレイン酸」という不飽和脂肪酸です。これはオリーブオイルの主成分と同じで、悪玉コレステロールを減らす働きがあると言われています。
血液をサラサラにしてくれる「良質な脂」なので、適量であればむしろダイエットの味方になってくれるんですよ。
ダイエット中に食べるなら?効果的な量とタイミング
美容に良いとはいえ、食べ過ぎはカロリーオーバーのもと。
1日の目安は「半分(1/2個)」程度にしておくのがベストです。
食べるタイミングは、食事の「最初」がおすすめ。
良質な脂質と食物繊維が、血糖値の急激な上昇を抑えてくれるので、太りにくい体づくりをサポートしてくれます。「ベジ・ファースト」ならぬ「アボカド・ファースト」ですね。
脱マンネリ!絶品アボカド「レシピ」おすすめ10選
いつも「わさび醤油」ばかりになっていませんか?
もちろんそれも最高に美味しいですが、たまには違う食べ方でアボカドのポテンシャルを引き出してみましょう。

5分で完成!「アボカドサラダ」と無限おつまみ
忙しい日の副菜にはこれ。
- 「アボカドとトマトのカプレーゼ風」一口大に切ったアボカドとトマト、モッツァレラチーズをオリーブオイルと塩胡椒で和えるだけ。彩りも綺麗で食卓が華やぎます。
- 「無限アボカド塩昆布」カットしたアボカドに、ごま油と塩昆布を混ぜるだけ。これ、本当にお箸が止まりません。お酒のおつまみにも最高です。
相性抜群!「アボカド×海鮮(マグロ・サーモン)」の丼レシピ
アボカドのクリーミーさは、お刺身と相性抜群です。
- 「ハワイ風ポキ丼」マグロとアボカドを、醤油・みりん・ごま油で漬け込みます。ご飯の上に乗せて、刻み海苔と卵黄をトッピングすれば、お店のような豪華な丼の完成です。サーモンで作っても絶品ですよ。
濃厚クリーミー!「アボカドパスタ」と加熱料理(グラタン等)
アボカドは加熱すると、トロッとした食感が増してソースのようになります。
- 「アボカドクリームパスタ」潰したアボカドに牛乳(または豆乳)、コンソメ、粉チーズを混ぜてソースにします。茹でたパスタと和えるだけで、生クリーム不要の濃厚パスタに。
- 「アボカドのチーズ焼き」少し固めのアボカドを買ってしまった時はこれ。スライスして耐熱皿に並べ、ベーコンとチーズを乗せてトースターへ。ホクホクとした食感が楽しめます。
意外な組み合わせ?「アボカド納豆」や「生ハム巻き」
- 「アボカド納豆」これはもう、国民的定番になりつつありますね。納豆の発酵パワーとアボカドの食物繊維で、最強の「腸活」レシピです。
- 「生ハム巻き」くし形に切ったアボカドを生ハムで巻くだけ。生ハムの塩気がアボカドの甘みを引き立てます。ワインのお供におしゃれな一品です。
【最新事情】温暖化でミカンがアボカドに?国産栽培の今
さて、ここからは少し視点を変えて、最近ニュースでも話題になっている「国産アボカド」についてお話ししましょう。
日本で売られているアボカドの99%以上は、メキシコなどの海外からの輸入ものです。
でも今、「愛媛県」「和歌山県」「静岡県」といった、みかんの産地でアボカド栽培が始まっているんです。

なぜミカン農家がアボカドへ転換?温暖化と「産地北上」の背景
なぜ、みかん農家さんがアボカドを作り始めたのでしょうか?
そこには、切実な「地球温暖化」の問題があります。
これまで美味しいみかんが育っていた地域でも、気温が上がりすぎて「日焼け」してしまったり、皮が浮いてしまったりと、栽培が難しくなってきているそうです。
そこで注目されたのが、温かい気候を好むアボカドです。
農研機構という国の研究機関が出したデータによると、現在のペースで温暖化が進むと、今世紀半ばにはアボカドの栽培に適した地域が、現在の2.5倍以上に広がると予測されています。
特に九州や四国、東海地方の沿岸部では、これまでのみかん栽培が難しくなる一方で、アボカドにとっては天国のような環境になりつつあるのです。
ピンチをチャンスに変える、農家さんたちの新しい挑戦なんですね。
流通量はわずか1%未満!「国産アボカド」の特徴と味わい
国産アボカドは、まだまだ希少で「幻のアボカド」とも呼ばれています。
その特徴は、なんといっても「樹上完熟(じゅじょうかんじゅく)」にあります。
輸入ものは輸送に時間がかかるため、まだ固いうちに収穫されますが、国産はギリギリまで木の上で熟成させることができます。
そのため、油分がたっぷりと乗っていて、味の濃厚さが段違いだとか。一度食べると「もう輸入ものには戻れない」というファンもいるそうですよ。
また、輸入もので一般的な黒い「ハス種」だけでなく、皮が緑色のまま熟す「ベーコン種」や「ピンカートン種」など、珍しい品種が楽しめるのも国産の魅力です。これらは皮が薄く、丸かじりできるような品種もあるんです。
どこで買える?旬の時期と入手できる場所(道の駅・通販)
国産アボカドの旬は、品種にもよりますが11月から2月頃です。
スーパーで見かけることはほとんどありませんが、産地の「道の駅」や、農家さんの直販サイト、ふるさと納税の返礼品などで手に入ります。
お値段は1個数百円から千円近くと少しリッチですが、特別な日のご褒美や、大切な人への贈り物にしてみるのはいかがでしょうか?
余っても大丈夫!アボカドの正しい「保存方法」
「半分だけ使って、残りは明日にしたい」
そんな時のために、正しい保存方法をマスターしておきましょう。
冷蔵庫での保存期間と、美味しさを保つポイント
切ってしまったアボカドは、先ほどご紹介した「レモン汁」を切り口に塗り、空気が入らないようにラップを「ピッチリ」と密着させて包みます。
そして、冷蔵庫の「野菜室」へ。
冷やしすぎると「低温障害」を起こして黒くなってしまうので、冷えすぎる冷蔵庫の奥よりも、手前や野菜室が適しています。
この方法で、1日から2日は美味しく食べられます。
実はできる!アボカドの「冷凍保存」と解凍後の活用法
すぐに食べないなら、冷凍してしまうのも手です。
- 皮と種を取り除き、使いやすい大きさにカットするか、潰してペースト状にします。
- レモン汁をまぶします。
- 1回分ずつラップで包み、冷凍用保存袋(ジップロックなど)に入れて冷凍庫へ。
これで約1ヶ月保存可能です。
解凍すると少し食感が柔らかくなるので、サラダにするよりは、ディップソースにしたり、スムージーに入れたりするのがおすすめです。半解凍のまま食べても、アイスみたいで美味しいですよ。
捨てないで!アボカドの種で観葉植物を「育てる」
美味しく食べた後、種をゴミ箱にポイしていませんか?
ちょっと待ってください!その種、実は簡単に育つんです。
アボカドの種は生命力が強く、水につけておくだけで可愛い芽が出てきます。
水耕栽培で簡単!食べた後の種から始める「育て方」
用意するものは、食べた後の種、爪楊枝3〜4本、そしてコップだけ。
- 「種をよく洗う」果肉に含まれる油分が残っていると、発芽を邪魔したり水が腐る原因になります。ぬるつきが取れるまでしっかり洗いましょう。
- 「爪楊枝を刺す」種の真ん中あたりに、斜め下に向かって爪楊枝を3〜4本刺します。(種には上下があります。少し尖っている方が上、平らな方が下です。)
- 「水につける」コップに水を入れ、種の下半分が水に浸かるようにセットします。
- 「水を替える」毎日水を替えて、日当たりの良い窓辺に置いておきます。
早ければ1ヶ月ほどで、真ん中からパカッと割れて根っこが出てきます。その後、ニョキニョキと茎が伸びてきますよ。
緑の葉っぱが広がっていく様子は、毎日の癒しになります。ぜひ「アボカド栽培デビュー」してみてくださいね。
温暖化で庭植えも現実に?大きく育てるコツ
水耕栽培である程度大きくなったら、土に植え替えてあげるとさらに大きく育ちます。
本来は寒さに弱い植物ですが、先ほどお話ししたように日本の気候も変わってきています。関東より西の暖かい地域なら、庭植えで冬を越せることも増えているようです。
もしかしたら数年後、あなたのお家の庭でアボカドの実が収穫できる…なんて夢のような日が来るかもしれませんね。
【重要】ペット(犬・猫)には与えないで!
最後に、ペットを飼っている方にとても大切なお話があります。
命に関わることも…アボカドに含まれる「ペルシン」の中毒性
人間にとっては健康食材のアボカドですが、犬や猫、鳥、ウサギなどの動物にとっては「毒」になります。
アボカドに含まれる「ペルシン」という成分が、動物には中毒症状を引き起こす恐れがあるからです。
嘔吐や下痢、ひどい場合は呼吸困難を引き起こし、命に関わることもあります。
皮や種だけでなく、果肉にも成分が含まれています。「ちょっとだけなら…」とあげるのは絶対にNGです。
調理中や食事中に、うっかり落としたひとかけらを食べてしまわないよう、十分気をつけてあげてくださいね。
#PIC7
まとめ
いかがでしたか?
アボカドの美味しい選び方から、栄養たっぷりのレシピ、そして日本の農業の変化まで、アボカドの深い世界をご紹介しました。

- 選ぶときは「黒さ」と「鼻の頭くらいの弾力」
- 栄養満点だけど、1日半分が適量
- 種は捨てずに水耕栽培で楽しむ
- 国産アボカドを見つけたら即買い!
いつものスーパーで買うアボカドも、こうした背景を知ると、なんだか少し愛おしく感じませんか?
栄養満点のアボカドを上手に取り入れて、美味しく健康的な毎日を過ごしてくださいね。
今夜の夕食は、アボカド料理で決まりですね!









