備蓄しなきゃ…でも、お金がかかるし、管理も面倒。何をどうすればいいか分からない…。そう思っていませんか?
実は、たくさんの人があなたと同じように悩んでいます。ある調査によると、防災食を備えていない一番の理由は「お金がかかるから」。次に多いのが、「何を備えていいか分からない」という声です。
でも、安心してください。
この記事を読めば、そんな悩みがスッキリ解決します。特別なことをしなくても、今日から無理なく始められる防災食の備蓄方法を、誰にでもわかるように3つのステップでご紹介しますね。
【基礎知識】「防災食の備蓄」は、なぜ必要?

「災害が起きたら、避難所に行けばいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。もちろん避難所は大切な場所ですが、必ずしもすぐに避難できるとは限りません。自宅が安全な場合は、避難所に行かずに自宅で過ごす「在宅避難」が推奨されています。
最近の大きな地震では、道路や交通網が寸断され、支援物資がなかなか届かないケースも起きています。そんな時、食料や水が手元になければ、命にかかわる事態になってしまいます。
国が推奨しているのは、最低でも3日分、できれば1週間分の備蓄です。これは、ライフラインの復旧や支援物資が届くまでの時間を想定した目安。家族の人数分、きちんと備えておくことが、何よりも大切な「命の備え」なんです。
【解決策】「備蓄しない理由」を解決する3つのステップ
では、どうすればこの「3つの壁」を乗り越えられるのでしょうか?
特別な知識もお金もいりません。ちょっとした工夫で、誰でも無理なく備蓄を始め、続けることができるんです。
ステップ1:「お金」「場所」問題を解決!『ローリングストック』入門
「一度にたくさん買っておくのはお金がかかるし、置き場所もない…」
そんな悩みを一気に解決してくれるのが、「ローリングストック」という備蓄法です。
ローリングストックは、特別な非常食を一度に大量に購入するのではなく、普段から食べている食品を少し多めに購入し、賞味期限の近いものから食べて、食べた分だけ買い足していくというシンプルな方法です。
この方法には、次のような大きなメリットがあります。
- 経済的負担が少ない: 一度に高価なものを買う必要はありません。いつもの買い物のついでに少しずつ増やしていけばOK。家計に優しいのが嬉しいですね。
- 食品ロスをなくせる: 「せっかく買った非常食が賞味期限切れ…」なんて悲しい事態も防げます。消費しながら備蓄するので、無駄がありません。
- 精神的な安心感: 災害時でも、食べ慣れた「いつもの味」で食事ができます。非常時だからこそ、心も身体もホッとできる瞬間が大切です。
さっそく、ローリングストックを無理なく始めるための5つのステップをご紹介します。
- 必要な量を把握する: 家族の人数を数えて、最低3日分、できれば1週間分の備蓄目標を決めます。
- ストック品を決める: 普段の食事でよく使う、日持ちのする食品(缶詰、レトルト食品など)をリストアップします。
- 収納場所を確保する: 備蓄専用の特別な場所ではなく、キッチンやリビングなど、日常的に目につく場所にスペースを設けます。
- 古いものから使う: 収納するときに、賞味期限の古いものを手前に配置する「見える化」を実践します。
- 使った分を買い足す: 消費した分は、次の買い物リストに追加。常に一定量が維持されるように習慣化しましょう。
まずはこの5つのステップから、ぜひ始めてみてください。
ステップ2:「何を買うか」問題を解決!『いつもの食材』から始める備蓄リスト
「ローリングストックは分かったけど、具体的に何を買えばいいの?」
そうですよね。何をどれくらい備蓄すれば良いか分からない、という方も多いはず。ここでは、普段の食生活に取り入れやすい、具体的な備蓄品リストを提案します。
ポイントは、ただカロリーを摂るだけでなく、栄養バランスも意識することです。災害時の避難生活では、どうしても炭水化物に偏りがちになり、ビタミンや食物繊維が不足して体調を崩す方が多いんです。
以下の表は、一般的な家庭で1週間分を備蓄する場合の目安です。普段の買い物で、この中から「ちょっと多めに買っておこう」と思えるものを探してみてください。
カテゴリ | 品目例 | 1週間分の備蓄目安(大人1人分) |
主食 | パックご飯、アルファ米、乾麺(パスタ、うどん)、カップ麺、缶詰パン、シリアル、餅など | 1日3食 × 7日分 = 21食分 |
主菜 | 缶詰(魚、肉、大豆など)、レトルト食品(カレー、丼の具、パスタソース)、フリーズドライ食品など | 1日2食 × 7日分 = 14食分 |
副菜 | 野菜ジュース、果物缶詰、乾物(ひじき、わかめ)、フリーズドライスープ、栄養補助食品など | 1日2食 × 7日分 = 14食分 |
嗜好品 | チョコレート、ビスケット、羊羹、キャンディー、ドライフルーツなど | 適量(精神的な安定とエネルギー補給に) |
飲料水 | 飲料水、清涼飲料水、ロングライフ牛乳など | 3L/人/日 × 7日分 = 21L |
熱源 | カセットコンロ、カセットボンベ | カセットボンベ1人1週間で約6本〜14本 |
このリストの魅力は、すべて「いつもの食品」から選べること。
缶詰やレトルト食品はそのまま食べられる便利さがありますが、野菜ジュースや乾物を加えることで、長期の避難生活で不足しがちな栄養素を補うことができます。
災害時でも健康を維持するためにも、ぜひ意識してみてください。
ステップ3:「管理が面倒」問題を解決!『見える化』収納術とアプリ活用

「せっかく備蓄しても、賞味期限の管理が面倒で…」
この悩み、本当に多いですよね。ある調査では、備蓄しているにもかかわらず、半数以上の人が「備蓄食品を食べたことがない」と答えているそうです。これでは、いざという時に「どこに何があるか分からない」「賞味期限が切れている」なんてことになりかねません。
そんな課題は、「見える化」収納とIT技術の活用で解決できます。
1. 賢く「見える化」する収納術
備蓄品は一箇所にまとめるのではなく、分散して収納するのがおすすめです。これにより、万一の際に特定の収納場所が使えなくなっても、他の場所から備蓄品を取り出せるからです。
- 重いものは下へ: 水のペットボトルなど、重いものは低い位置に収納するのが基本です。地震の際に、上から落ちてきて怪我をするのを防げます。
- 賞味期限は目立つ場所に: 缶詰や箱に、油性ペンで直接日付を書き込んだり、マスキングテープに書いて貼り付けたりするだけでOK。これだけで、管理のハードルがぐっと下がります。
- 箱から出す工夫: 箱に入ったものは、外に出して並べておくと、一目で何がどれくらいあるか把握できます。
2. 頼れる味方!備蓄管理アプリ
「それでも、つい忘れちゃう…」という方には、スマートフォンのアプリが心強い味方になってくれます。
- SAIBOU PARK: 備蓄品の写真を撮るだけで簡単に登録ができます。賞味期限の1ヶ月前や2週間前にプッシュ通知で知らせてくれるので、忘れっぽい方でも安心です。
- ソナエリスト: こちらも備蓄品をバーコードで読み取って登録できる便利なアプリ。通知機能を使えば、ローリングストックを無理なく続けることができます。
これらのアプリを使えば、手動でのチェックの手間が省けて、食品ロスも防げます。家族みんなで備蓄状況を共有できるアプリもあるので、ぜひ活用してみてください。
【プラスα】『もしも』を乗り切るための命の備えと情報
食料の備蓄は大切ですが、災害時に本当に命を守るためには、それだけでは不十分です。ここでは、備蓄と合わせて知っておきたい、もう一歩進んだ備えをご紹介します。
命の基盤「水」
「水は飲料水として備蓄しておけばいいんですよね?」
はい、その通りです。ただ、飲料水以外にも、水はたくさんの用途で使われます。歯磨きや食器を洗う生活用水も必要です。
農林水産省や東京消防庁によると、飲料水と調理用だけで、一人あたり1日3リットルの水が必要とされています。つまり、1週間分だと21リットル!これはかなりの量です。
もし、備蓄するスペースが足りない場合は、ペットボトルをいくつかの場所に分散して収納したり、いざという時に川や雨水を浄化できる「携帯浄水器」を備えておくのも一つの手です。ストロー式やボトル式など、さまざまなタイプがあるので、用途や予算に合わせて選んでみてくださいね。
食の安全を守る「熱源」
温かい食事ができるかどうかは、災害時のストレス軽減に大きく影響します。冷たい缶詰やおにぎりばかりだと、身体が冷えて体調を崩しやすくなるだけでなく、精神的にも辛くなってしまいます。
そこで備えておきたいのが、カセットコンロとカセットボンベです。
電気やガスが止まってしまっても、これがあれば温かい食事を作ることができます。
保管場所は、倒れてこないよう低い位置の棚に、コンロとボンベをセットで収納しておきましょう。また、火を使う際は、換気に十分気を付けてくださいね。
災害関連死を防ぐ「トイレ」
意外と見落とされがちなのが、災害用の簡易トイレです。
水洗トイレが使えなくなった時、トイレを我慢してしまうと、エコノミークラス症候群などの健康被害につながる危険性があります。
簡易トイレは、排泄物を凝固剤で固めるタイプが多く、水がなくても使用できます。臭いが漏れにくいものや、かさばらないタイプなど、種類も豊富です。
避難所でもトイレの数が限られることが多いので、必ず家族分を備蓄しておきましょう。
特別な配慮:高齢者、乳幼児、ペットの備蓄チェックリスト

家族の中に、高齢者や乳幼児、ペットがいる場合は、特別な備えが必要です。
- 高齢者: 栄養不足や脱水症状になりやすいので、水分補給が重要です。また、噛む力や飲み込む力が弱くなっていることを考慮して、ゼリー飲料やポタージュスープ、やわらかい介護食などを備蓄しておきましょう。
- 乳幼児: ミルクは、調乳が簡単な液体ミルクや、個包装のスティックタイプ・キューブタイプが便利です。月齢に合ったベビーフード、おやつ、おむつなども忘れずに準備してください。
- ペット: 普段食べているフードをローリングストックするのが基本です。最低5〜7日分を目安に多めに備蓄してください。持病がある場合は、薬も一緒に用意しておきましょう。
以下の表に、それぞれの備蓄のポイントと品目例をまとめました。
対象 | 備蓄のポイントと品目例 |
高齢者 | 水分補給の重要性。飲み込みやすい食品(ゼリー、ポタージュ、介護食)。栄養補助食品。持病の薬とお薬手帳のコピー。 |
乳幼児 | 液体ミルク・粉ミルクと調乳用の軟水。月齢別のベビーフード。完全母乳の場合でも、念のため粉ミルクを用意。 |
ペット | 普段食べているフードをローリングストックする。最低5〜7日分を目安に。持病の薬や療養食も含む。 |
今日から始める、あなたのための「防災」

9月1日「防災の日」は、防災について考え、行動を始めるのにぴったりの日です。
防災食の備蓄は、いざという時に自分と家族を守るための第一歩です。難しく考えず、まずは「何か一つ」から始めてみませんか?
例えば、いつもの買い物のついでに、缶詰を一つ多めに買うだけでもいいんです。
そして、備蓄だけが防災ではありません。以下のチェックリストを参考に、少しずつ防災への行動を広げていきましょう。
カテゴリ | 具体的な行動リスト |
情報収集 | 地域のハザードマップを確認する。避難場所までの経路を歩いてみる。 |
知識・技能 | 自治体の防災訓練(炊き出し、応急手当など)に参加する。 |
社会貢献 | 不要になった防災備蓄品をフードバンクに寄付する。 |
この記事が、あなたの防災への一歩を後押しするきっかけになれば嬉しいです。