日本経済新聞 2025年9月3日 水曜日 朝刊春秋の要約とコラムから見えてくる「見えない風」
毎日暑い日が続きますね。9月になっても猛暑のニュースばかりで、外に出るのが億劫になってしまいます。
さて、皆さんは今朝の日本経済新聞のコラム「春秋」を読まれましたか?
今日のコラムは、まさにこの暑さの話題から始まっていました。
「フェーン現象」という言葉、ニュースでよく聞きますよね。
湿った風が山を越えることで熱風に変わり、暑さだけでなく、乾燥して火事の原因にもなる、少し怖い現象です。
そのコラムは、フェーン現象から、今度は「おろし」という風の話へと展開していきます。
漢字で書くと「颪」。「赤城おろし」や「六甲おろし」など、各地で耳にする強風のことですね。
そして、この「おろし」という言葉が、政治の世界で使われていることに触れています。
それが「石破おろし」という言葉です。
天気の話から、いつの間にか政治の話に。
全く違う分野のように見えて、実は共通点があるのかもしれない、そんなことを考えさせられるコラムでした。
この記事では、この「春秋」というコラムから見えてくる「見えない風」をテーマに、皆さんと一緒に天気と政治を読み解いていきたいと思います。
専門的な言葉はなるべく使わずに、分かりやすく、そして身近な例を交えながらお伝えしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
コラムの引用と解説
それでは、まずコラムの冒頭を引用させていただきます。
9月に入っても猛暑が続く。記録的な気温を伝えるニュースでしばしば耳にするのがフェーン現象。湿った南風が山を越える際に乾燥し、熱風(フェーン)となって麓に吹きおりる。暑さだけでなく、大規模な火災を起こすこともあるというから人間にとっては厄介だ。
▼同じような山越えの風に「おろし」と呼ばれる局地風がある。漢字で書くと「颪」。赤城、伊吹、六甲などを冠し、冬型の気圧配置の時に吹く、北寄りの強風を指す地域が多い。もっとも必ずしも寒い季節に限らず、鳥取県の大山おろしは3~5月の風物詩だ。トラックを横転させるほどの猛威を振るうことがあるという。
この記事に書かれているように、「フェーン現象」と「おろし」は、どちらも「山を越える風」という共通点があるんですね。
でも、その性質は少し違うようです。
9月なのに猛暑!「フェーン現象」の正体とは?
フェーン現象は、コラムにもあるように、湿った風が山を越えることで引き起こされます。
この現象、実は私たちの身近なところにもヒントがあります。
例えば、ドライヤーで髪を乾かすとき、最初は熱く感じますが、だんだん髪が乾いてくると熱風が冷めていくように感じませんか?
これは、熱風が髪の水分を奪って蒸発させ、その際に熱が使われるためです。
フェーン現象もこれと似ています。
風が山を越えるとき、風に含まれる水蒸気が山肌に沿って上昇します。
すると、空気は膨張して温度が下がります。これは「断熱膨張」という現象です。
温度が下がると、空気中の水蒸気は水滴に変わり、雲や雨になります。この時、水蒸気が水に変わる時に「潜熱」という熱を放出します。
これは、私たちが汗をかいて体が冷えるのとは逆の現象で、水蒸気が凝結することで空気が温まるのです。
そして、雨を降らせた風は水分を失ってカラカラに乾いた状態で山の反対側を降りていきます。
この時、山を降りる風は「断熱圧縮」という現象で、一気に温度が上がります。
この暖かく乾燥した風こそが、私たちが「熱風」として感じるフェーン現象の正体なんです。
段階 | 過程 | 結果 |
1 | 湿った風が山にぶつかる | 空気は上昇し、膨張する |
2 | 空気の上昇と膨張 | 温度が下がり、水蒸気が水滴に変わる(雲・雨) |
3 | 水蒸気の凝結 | 潜熱が放出され、空気が温められる |
4 | 雨を降らせて山頂を越える | 風は水分を失い、乾燥する |
5 | 山を下る | 空気は圧縮され、急激に温度が上がる |
「おろし」ってどんな風?地域によって違う「颪」
一方、「おろし」は、コラムにもあるように、主に冬に吹く強風です。
「フェーン現象」と似ていますが、大きな違いは、おろしは「冷たい風」であることが多いことです。
これはなぜなのでしょうか?
おろしは、冬型の気圧配置の時に発生しやすいとされています。
冬の日本列島は、北西のシベリア大陸に高気圧、南東の太平洋に低気圧という配置になりがちです。
このため、シベリア大陸から日本海を渡って、日本列島に向かって冷たい季節風が吹き込んできます。
この冷たい風が山にぶつかり、山を越えて吹き下りる際に、強風になります。
フェーン現象と違って、もともと乾燥していて水蒸気をあまり含んでいないため、潜熱による温度上昇が起こりにくく、冷たい風のまま麓に吹きおろすことが多いのです。
もちろん、コラムにもあったように、鳥取県の「大山おろし」のように、春に吹くものもあります。
これは、その地域の地形や、その時の気圧配置によって風の性質が変わるためです。
風の名前 | 発生地域 | 主な季節 | 特徴 |
赤城おろし | 群馬県 | 冬 | からっ風とも呼ばれる冷たい北風 |
六甲おろし | 兵庫県 | 冬 | 六甲山から吹きおろす強い風 |
伊吹おろし | 滋賀県 | 冬 | 伊吹山から吹きおろす冷たい風 |
大山おろし | 鳥取県 | 春 | 暖かく、トラックを横転させるほどの強風 |
「石破おろし」と「颪」の共通点
さて、コラムが本題とするのは、政治の世界で使われる「石破おろし」という言葉です。
「おろし」と聞くと、強い風を想像しますよね。
この言葉は、政治家をその地位から引きずりおろそうとする動きを、山から吹きおろす強風になぞらえているのです。
「石破おろし」は、石破茂氏を自民党の要職から引きずりおろそうとする動きを指します。
この政治の「おろし」と、天気の「おろし」には、面白い共通点があります。
それは、どちらも「見えない力」が働いているということです。
天気のおろしは、気圧配置や地形という「見えない力」によって生まれます。
政治のおろしも、支持率や世論、権力争いといった「見えない力」が背景にあるんですね。
私たちの生活に身近な「フェーン現象」
ここまで、コラムの内容をなぞってきました。
ここからは、私たちがもっと身近に感じられるように、天気の方のお話をもっと掘り下げていきましょう。
フェーン現象のメカニズムを分かりやすく
先ほどもお話ししたように、フェーン現象は、湿った空気が山を越えることで、暖かく乾燥した風に変わる現象です。
これを、私たちのお料理に例えてみましょう。
お料理の「煮物」って、最初は水分たっぷりで煮ますよね。でも、煮詰めていくと水分が蒸発して、味がぎゅっと濃くなります。
フェーン現象もこれに少し似ています。
風に含まれる水分が「雲」や「雨」として山で濾されて、乾燥した状態で山を降りてくる。
そして、その風が温められることで、まるで煮詰めたお料理のように、熱がぎゅっと凝縮されたような熱風になるんです。
このフェーン現象、特に日本海側で発生しやすいんです。
夏、太平洋から湿った空気が日本列島に流れ込みます。
この風が、日本アルプスなどの高い山脈を越えて日本海側に吹きおろす際に、フェーン現象が起こります。
夏の日本海側が異常な暑さになるのは、このためです。
どんな時に起こるの?フェーン現象が発生しやすい条件
フェーン現象は、いつでもどこでも起こるわけではありません。
次の3つの条件が揃った時に、特に発生しやすくなります。
- 山の高さと風の強さ: 山が高く、風が強いほど、空気の上昇や下降が活発になり、フェーン現象が起こりやすくなります。
- 湿った空気: 山を越える風が、海などから来た湿った空気である必要があります。
- 風の向き: 風が山に対して直角に吹くような、地形に沿った風向きであることが重要です。
フェーン現象が引き起こす影響

フェーン現象が引き起こす影響は、単に暑くなるだけではありません。
- 異常な暑さ: 夏の日本海側では、40度を超えるような記録的な猛暑になることがあります。
- 乾燥: カラカラに乾燥した風が吹くため、湿度が急激に下がります。
- 火災: 乾燥した空気が強風となって吹くため、火災が発生しやすく、いったん火が付くと大規模な山火事になりやすいです。
- 作物の被害: 高温と乾燥によって、農作物に被害が出ることもあります。
このように、フェーン現象は私たちの生活に大きな影響を与えることがあるんです。
だからこそ、天気予報で「フェーン現象が発生する可能性があります」という予報が出たら、注意が必要なんですね。
日本各地の「おろし」を知ろう
次に、コラムにもあった「おろし」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
代表的な「おろし」と、その特徴
「おろし」は、その地域の地形や気候によって、様々な名前で呼ばれています。
代表的なものをいくつかご紹介しますね。
風の名前 | 発生地域 | 主な季節 | 特徴 |
六甲おろし | 兵庫県 | 冬 | 六甲山地から吹きおろす、阪神タイガースの応援歌でも有名ですね。 |
赤城おろし | 群馬県 | 冬 | 赤城山から吹きおろす、群馬名物「からっ風」の代表格です。 |
筑波おろし | 茨城県 | 冬 | 筑波山から吹きおろす北風。関東平野では「からっ風」と総称されます。 |
伊吹おろし | 滋賀県 | 冬 | 伊吹山から吹きおろす、滋賀県や岐阜県に強い冷風をもたらします。 |
丹波おろし | 京都府 | 冬 | 丹波高地から吹きおろす風で、京都に冷たい空気をもたらします。 |
「おろし」は、その地域に住む人たちにとって、生活に密着した風物詩となっています。
冷たくて強い風は厄介に感じるかもしれませんが、その風に耐えるように、家屋や農作物を工夫してきた歴史もあるんですね。
なぜ「おろし」は強い風になるの?
「おろし」がなぜ強い風になるのか、そのメカニズムを簡単に見てみましょう。
これは「ボウリング」に例えると分かりやすいかもしれません。
ボウリングのボールを高いところから転がすと、転がっていくうちにどんどんスピードが上がりますよね?
それと同じように、山を越えた冷たい空気が、重力によって斜面を勢いよく吹き下りることで、非常に強い風になるんです。
さらに、山の両側で気圧に差がある場合、その気圧差を埋めるように風が吹くため、より一層強風になります。
コラムのもう一つのテーマ「石破おろし」
さて、ここからはコラムのもう一つのテーマである、政治の「おろし」について考えていきましょう。
そもそも「おろし」とは?政治の世界での意味
政治の世界で使われる「おろし」は、「〇〇おろし」という形で使われます。
これは、「〇〇という人物を、権力の座から引きずりおろす」という意味で使われる言葉です。
「おろし」という言葉が持つ、強い風、力強い力といったイメージが、権力争いを表現するのにぴったりなんですね。
例えば、
- 安倍おろし: 安倍晋三氏を首相の座から引きずりおろそうとする動き
- 麻生おろし: 麻生太郎氏を首相の座から引きずりおろそうとする動き
といった形で、過去にも使われてきました。
政治の「おろし」はなぜ起こる?

政治の「おろし」は、様々な理由で起こります。
今日のコラムでは、その背景として、物価高対策や農業、外交、政治とカネの問題など、様々な課題が山積していることが挙げられていました。
これらの課題に対して、国民の不満や不安が高まると、政治家への批判が高まり、リーダーを代えるべきだという声が大きくなります。
これが、政治の「おろし」に繋がる大きな要因です。
具体的な要因としては、
- 支持率の低下: 国民からの支持を失うと、リーダーとしての求心力が低下します。
- 政策の失敗: 経済政策や外交政策など、重要な政策で国民が納得できない結果が出た場合。
- スキャンダル: 政治とカネの問題や、個人的なスキャンダルなどが発覚した場合。
- 派閥間の対立: 所属する政党内の派閥同士の力関係も、大きな影響を与えます。
コラムが語る「見えない風」の読み方
今日のコラムは、天気と政治という、一見全く違うテーマを「おろし」という言葉で結びつけています。
これは、私たちに「見えない風」を読み解くことの大切さを教えてくれているように感じます。
天気の世界では、風向きや気圧配置といった「見えない力」が、私たちの生活に大きな影響を与えます。
政治の世界でも、世論や権力争いといった「見えない力」が、私たちの生活に深く関わっているのです。
私たちは、ニュースで目にする表面的な情報だけでなく、その背後にある「見えない風」を感じ取ることが大切です。
例えば、支持率の数字だけを見るのではなく、「なぜ支持率が下がっているのか?」という理由を考える。
政策の内容だけでなく、「なぜその政策が打ち出されたのか?」という背景を考える。
そうすることで、私たちは政治をより深く理解し、自分自身の考えを持つことができるようになります。
フェーン現象、おろし、政治の「おろし」…共通する「見えない風」の正体
最後に、フェーン現象、天気の「おろし」、そして政治の「おろし」に共通する「見えない風」の正体について、私なりの考えをまとめたいと思います。
共通点は「摩擦」と「熱」?
フェーン現象は、風が山にぶつかって上昇する「摩擦」によって、水蒸気が熱を放出し、温度が上がる「熱」を生み出します。
政治の「おろし」も、様々な思惑がぶつかり合う「摩擦」によって、議論が白熱し、「熱」を帯びた状態になります。
どちらも、目に見えない「摩擦」が、私たちの感覚で感じ取れる「熱」を生み出している、という点で共通しているのではないでしょうか。
天気の世界では、それが気温の上昇であり、政治の世界では、それが議論の白熱や、対立の激化です。
私たちにできること

今日のコラムは、「北風と夫婦喧嘩は日が入ればやむ」という諺で締めくくられていました。
夜になればおさまるという意味ですが、永田町(政治の中心地)の嵐はそうはいかないかもしれない、と心配しているようです。
私たちにできることは何でしょうか?
それは、この「見えない風」に注意を払い、自分自身で考えることです。
天気予報を注意深く見て、フェーン現象が起こりそうなら火の元に注意する。
政治ニュースを多角的に見て、様々な意見を知り、自分はどう考えるか、という視点を持つ。
そうすることで、私たちは「嵐」に振り回されることなく、賢く、そして冷静に日々を過ごせるのではないでしょうか。
まとめ
- 今日のコラムは、フェーン現象、おろし、そして政治の石破おろしという3つの「風」について語っていました。
- フェーン現象は、湿った風が山を越える際に、熱く乾燥した風に変わる現象です。
- おろしは、山から吹きおろす強い風で、地域や季節によって様々な種類があります。
- 政治のおろしは、権力者を引きずりおろそうとする動きを指します。
- これら3つの「風」に共通するのは、気圧配置や世論といった、目には見えないけれど、大きな力を持つ「見えない風」です。
- 私たちは、この「見えない風」を読み解くことで、天気や政治のニュースをより深く理解することができます。
今日のコラムは、天気の話から、私たちの生活に深く関わる政治の話まで、広い視野で物事を考えるきっかけを与えてくれました。
私たち一人ひとりが、この「見えない風」に注意を払うことで、より良い社会を築いていけるのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。