2025年12月8日の夕方、私たちのおやつタイムに激震が走りましたね。
グリコのポッキー自主回収のニュース、皆さんも驚かれたのではないでしょうか？
私も仕事の合間に、いつものように「冬のくちどけポッキー」で一息つこうと思っていた矢先の出来事だったので、本当にびっくりしてしまいました。ニュースを見て、慌てて手元の箱の裏側を確認した方も多いと思います。
今回の回収規模は約600万個。対象商品も20品目と非常に多岐にわたっています 。
この記事では、ネットショップの運営やライターの仕事をしている私の視点も交えつつ、今回の騒動の全容を分かりやすくまとめました。「手元のポッキーは食べて大丈夫なの？」「返金はどうすればいいの？」といった疑問はもちろん、なぜこんなことが起きてしまったのかという背景まで、女性ならではの目線で噛み砕いてお話ししますね。
まさかの自主回収！一体なにが起きたの？
まずは、今回の事件のあらましを整理しておきましょう。
2025年12月8日、江崎グリコは主力商品である「ポッキー」シリーズを含むチョコレート菓子20品目の自主回収を発表しました 2。その数はなんと約600万個。これだけの数が店頭から消えるとなると、スーパーやコンビニの棚が少し寂しくなってしまいそうですね。
原因は「倉庫のリフォーム」だった？
私たちが普段食べているお菓子が、なぜ回収されることになったのでしょうか。
原因は、物流倉庫での「移り香（うつりが）」でした 。
少し詳しく説明すると、当時この倉庫では改修工事が行われていたそうです。その際、本来は分けて保管しなければならない「カカオ豆」と「香辛料（スパイス）」が、一時的に同じ空間や空調がつながっている場所に置かれてしまったんですね 。
カカオ豆には、周りのにおいを吸収しやすい性質があります。そこに、シナモンやクローブといった香りの強いスパイスが近くにあったことで、カカオ豆がその香りを吸い込んでしまったのです 。
お料理をする方ならイメージしやすいかもしれませんが、冷蔵庫の中でカレーの鍋の近くにチョコレートやケーキを置いておくと、カレーのにおいが移ってしまうことがありますよね。あれと同じことが、もっと大規模な倉庫レベルで起きてしまったと考えてください。
健康への害はないの？
一番気になるのは、もし食べてしまった場合の安全性ですよね。
結論から言うと、健康への被害はありません 。
グリコの発表によると、今回混入したのは食品に使われる香辛料の香り成分だけです 9。毒物が入ったわけでも、アレルギー物質が混ざったわけでもないので、その点は安心してください。
ただ、食べてみると「辛味」を感じたり、「いつもと違う変なにおい」がしたりするそうです 。
「冬のくちどけ」のような繊細な味わいを楽しみにしていたのに、口に入れた瞬間にスパイシーな香りがしたら、やっぱりショックですよね。グリコとしても、お客様が期待するおいしさを提供できない以上、回収せざるを得なかったというわけです 。
あなたのポッキーは大丈夫？対象商品の見分け方
では、実際にどの商品が対象なのか、どうやって見分ければいいのかを確認していきましょう。
回収対象の主なラインナップ
今回の回収は、グリコの看板商品たちがずらりと並んでいます。特にショックなのが、今の時期だけの楽しみである「冬限定」商品が含まれていることですね。
主な対象商品は以下の通りです 。
- ポッキーチョコレート（いつもの赤箱）
- ポッキー＜極細＞
- 冬のくちどけポッキー
- 神戸ローストショコラ
- メンタルバランスチョコレート GABA（ギャバ）
これ以外にも、100円ショップなどで売られている小袋タイプや、アソートパックなども含まれています 13。
賞味期限と製造番号をチェック！
手元にポッキーがある方は、箱の裏面や底面を見てください。チェックするポイントは2つです。
- 賞味期限2026年5月 から 2026年8月 のものまたは2026年9月 のもの
- 製造ロット番号（2026年9月のものだけ確認が必要）賞味期限の後に続く記号が 「SS」 で始まっているもの
もし、賞味期限が2026年5月から8月の間であれば、記号に関わらず回収対象になります。9月のものだけ、記号の確認が必要ということですね。
「あれ？これ昨日買ったばかりだけど…」という方も、念のため確認してみてください。お店によっては、回収の連絡が届く前に店頭に並んでいた可能性もゼロではありません。
なぜチョコににおいが移るの？簡単な科学のお話
ここで少しだけ、なぜこんなことが起きたのか、豆知識として知っておきましょう。
「たかがにおい」と思うかもしれませんが、チョコレートの主成分である「カカオバター（油脂）」は、実はとってもにおいを吸着しやすいんです 。
香辛料の成分は、空気中をふわふわと漂っています。これを「揮発性有機化合物」なんて難しい言葉で呼ぶこともありますが、要はにおいの粒です 。この粒が、脂質たっぷりのカカオ豆に出会うと、磁石のように吸い寄せられて、中に入り込んでしまうのです 。
一度脂に取り込まれたにおいは、豆を焼いたり練り上げたりしても完全には消えません。そして、私たちが口に入れてチョコが溶けた瞬間、閉じ込められていたスパイスの香りが「ふわっ」と鼻に抜けるわけです 。
本来なら甘くてまろやかな香りのはずが、予期せぬスパイシーな香りになってしまったら、脳が「これ、変だぞ？」と警告を出してしまいますよね 。これが今回の「異味・異臭」の正体です。
手元のポッキー、どうすればいい？返金手続きガイド
もし、対象商品を持っていた場合、どうすればいいのでしょうか。
「レシート捨てちゃったし、数百円だから諦めようかな」
そう思う方もいるかもしれません。でも、今回はレシートがなくても返金してもらえます。捨ててしまうのはもったいないので、正しい手順で手続きをしましょう。
手続きの3ステップ
返金の手順はとてもシンプルです 。
現物を確保するまず、商品は捨てずに取っておいてください。中身を食べてしまっていても、箱やパッケージが残っていれば対応してもらえる可能性がありますが、基本は「現物確認」が必要です。
受付窓口へ連絡するグリコの特設サイトにある「Web受付フォーム」か、専用のフリーダイヤルに連絡します
着払いで送る指定された住所へ、商品を「着払い」で送ります。送料はかかりません。宅配便の伝票に、自分の住所・氏名・電話番号をしっかり書きましょう。
返金は「QUOカード」で
後日、商品代金相当額が「QUOカード」で送られてきます 。
現金書留や振込ではないのは、事務処理をスムーズにするためです。QUOカードならコンビニやドラッグストアで使えるので、実質現金と同じように使えますよね。
100円ショップで買ったバラ売り商品は？
ここで困るのが、ダイソーなどで買った「2個で100円」のような小袋タイプです 。
外箱を捨ててしまって、個包装しか残っていない場合、賞味期限が印字されていないことがあります。この場合も、まずは窓口に相談してみてください。おそらく、個包装の状態でもロット番号などが分かれば対応してもらえるはずですが、購入店舗を伝えるとスムーズかもしれません。
冬の楽しみが…市場への影響とこれからのこと
今回の回収で一番悲しいのは、やっぱり「季節の楽しみ」が減ってしまったことではないでしょうか。
冬のくちどけポッキーが消える？
「冬のくちどけポッキー」は、冬にしか会えない特別な存在です。口の中でとろけるあの食感を楽しみにしていたファンは多いはず。
しかし、今回の回収でかなりの在庫がなくなってしまいました。12月はまさに書き入れ時。これからクリスマスやお正月に向けて、お店の棚からポッキーが消えてしまう期間が続くかもしれません 。
他のメーカーのチョコ、例えば「フラン」や「トッポ」に浮気しちゃう…なんて人も増えそうですね。
経済的な損失はどれくらい？
少し仕事柄の視点でお話しすると、今回の損害額は相当なものです。
単純計算してみましょう。
600万個 × 原価60円 = 3億6000万円
これだけでもすごい金額ですが、これに加えて、商品を回収する宅配便の送料（1件1000円くらいかかります）、QUOカードの発行手数料、廃棄処分する費用などがかかります 。
さらに、「ポッキーがないなら他を買おう」という機会損失も含めると、数十億円規模のダメージになるという試算もあります 。企業としては本当に痛手ですが、それでも「安全性」と「ブランドの信頼」を守るために、全数回収という決断をしたグリコの姿勢は評価できるかもしれません。
プロの視点：なぜ防げなかったのか
今回の件は「人災」に近い部分があると感じます 。
倉庫の改修工事という「いつもと違う状況」が、判断を狂わせてしまったのでしょう。「工事中だから場所がない、少しの間だけなら大丈夫だろう」という油断があったのかもしれません 。
食品を扱う現場では、においの強いものと吸着しやすいものを分けるのは鉄則（ゾーニングと言います）です 。でも、現場の忙しさや物理的な制約の中で、そのルールが一時的に崩れてしまった.
これは大企業に限らず、私たちのような個人の仕事でも起こりうることです。「まあいいか」という小さな妥協が、後で大きなトラブルになる。今回のニュースを見て、私自身も改めて気を引き締めなければと思いました。
最後に：またおいしいポッキーに会える日を待って
今回のニュースは残念でしたが、健康被害がないことだけは不幸中の幸いでした。
もし対象商品を持っていたら、面倒くさがらずに送ってあげてください。それが、企業にとっても原因究明や再発防止の役に立ちます。
そして、安全な新しいポッキーがまたお店に並んだら、その時はぜひ手に取ってあげたいですね。やっぱり、あのおいしさは他のお菓子では代わりがききませんから。
それまでは、手元に戻ってくるQUOカードで、別のおやつを楽しむことにしましょうか。
皆さんも、お買い物の際はちょっとだけ賞味期限をチェックしてみてくださいね。
