子どもの世界のぞいてみませんか?大人は4メートルの巨人、ランドセルは19キロ!
先日、日経新聞に掲載された「くらしの数字考」という記事を読んで、ハッとさせられました。
子どもの世界を大人のサイズに置き換えたらどうなるか?という内容です。
記事によると、周囲の大人は身長4メートルの巨人、ランドセルは19キロに相当する、とのこと。
この記事を読んで、子どもの頃の記憶が鮮明に蘇ってきました。そして、今、子育てに奮闘している私自身のことも、改めて見つめ直すきっかけになりました。
今日は、この記事から私が感じたこと、そして子どもの世界を理解するためのヒントを、皆さんにもお伝えしたいと思います。
大人は4メートルの巨人、本当にそうだった

記事の冒頭にある「大人は4メートルの巨人」という言葉。これを見たとき、思わず「ああ、本当にそうだったな」と納得しました。
子どもだった頃の私は、大人を心から尊敬していました。同時に、その大きさや威圧感に、怖さを感じたことも覚えています。
親が怒ると、声は雷鳴のように大きく聞こえ、顔は普段の何倍にも膨れ上がったように見えました。
もし、あなたが身長160cmだとすると、4メートルの巨人は、バスケットボールのゴールより高い場所からあなたを見下ろしているようなものです。
そんな巨人から怒鳴られたら、どんなに怖いか、想像できますよね。
でも、巨人たちが時々見せてくれる笑顔は、とても温かくて安心させてくれるものでした。
私はそのギャップに、大人ってすごいな、と憧れを抱いていました。
ランドセルは19キロ、子どもにとっての「重み」
記事にあった「ランドセルは19キロに相当」という数字にも、衝撃を受けました。
毎日、子どもが背負っているランドセル。その重さが、大人の私たちにとってどれほど負担になるのか、具体的に示されています。
記事では、荷物の重さを5.7キロと仮定し、6歳女児の身長と体重を大人の男性に換算すると、重さは18.9キロに達したと説明しています。
では、これを私たち女性に置き換えてみましょう。
平均的な日本人女性(身長158cm、体重53kg)の場合、小学生の荷物の重さ5.7kgは、約20.5kgに相当します。
これは、2Lのペットボトルを10本以上、リュックに詰め込んで毎日持ち運んでいるようなものです。
想像してみてください。毎日、そんな重い荷物を背負って、長い坂道を登ったり、友達と鬼ごっこをしたり、時には雨の中を歩いたり…。
私たちが仕事の書類をたくさん詰めた重いカバンを持って出勤する日の憂鬱さと同じか、それ以上かもしれません。
子どもたちが「ランドセル重いよー」と言うとき、私たちはつい「大げさだなぁ」と思ってしまいがちです。
でも、それは私たちにとっての「ちょっと重い」とは全く違う、本当に身体に負担がかかる「重み」なのです。
ランドセル症候群って知ってる?

最近では、重すぎるランドセルが原因で、肩こりや腰痛、頭痛などの体調不良を起こす子どもが増えています。
これは「ランドセル症候群」と呼ばれ、子どもたちの心身に大きな影響を与えている社会問題です。
さらに、荷物が重いことで、転んで怪我をしたり、姿勢が悪くなったりすることもあります。
こうした子どもたちの体の不調は、集中力の低下や、登校を嫌がるようになるなど、心の不調にもつながりかねません。
私たちは、子どもの「ランドセル重い」という言葉を、真剣に受け止める必要があると痛感しました。
教科書やドリル、体操服…少しでも荷物を軽くしてあげられる工夫を、一緒に考えてあげたいですね。
なぜ、子どもは「待てない」の?その理由を考えてみよう
子育てをしていると、子どもに「早くして!」と急かしてしまう場面が何度もあります。
「保育園まで10分の道のりが40分かかる」という記事のエピソードは、多くの親が共感するのではないでしょうか。
なぜ、子どもは立ち止まってしまうのでしょうか?
それは、私たちの「当たり前」が、子どもたちの「当たり前」とは全く違うからです。
私たち大人は、目的地まで最短ルートでたどり着くことを優先します。
でも、子どもたちは、目的地にたどり着くまでの過程に、たくさんの「発見」を見出します。
- 道端に咲いている小さな花
- 地面を這っていくアリの行列
- 風に舞い落ちる木の葉
- マンホールにある不思議な模様
これらは、私たち大人が見過ごしてしまうような些細なものです。しかし、子どもたちにとっては、どれもが新しい発見であり、興味の対象なのです。
疑問を先取り!「でも、時間に間に合わないから急かしてしまうんです…」

そうですよね、わかります。仕事や保育園の送り迎えなど、時間に追われている毎日では、なかなか子どものペースに合わせることは難しいものです。
でも、ここで少しだけ、立ち止まって考えてみませんか?
もし、時間に余裕のある日があれば、ほんの数分だけでも、子どもの「立ち止まる時間」に付き合ってみてはどうでしょうか。
「これ、何だろうね?」
「アリさん、どこへ行くのかな?」
そんな風に、子どもの好奇心に寄り添ってみるだけで、子どもとのコミュニケーションがもっと深まるはずです。
そして、時間に余裕がない日は、前もって子どもにこう伝えてみましょう。
「今日は急いでいるから、帰り道にゆっくり見ようね」
そうすることで、子どもも納得して、大人に協力してくれるかもしれません。
「ベイビーボイス」から見えてきた、言葉を持たないつらさ
記事の中に、「ベイビーボイス」という装置が登場しました。
これは、何を話しても赤ちゃんの泣き声に変換されるというものです。
もし、あなたがこの装置を装着して、誰かに何かを伝えようとしても、相手に聞こえるのは泣き声だけです。
「お腹が空いたよ」「ママ、こっちを見て」そう言いたくても、伝わるのは「ギャーギャー」という泣き声だけ。
想像するだけで、すごくつらい気持ちになりますよね。
赤ちゃんが泣くのは、何かを訴えているサインです。
「お腹が空いた」「眠い」「オムツが濡れて気持ち悪い」
私たちは、赤ちゃんの泣き声から、そのメッセージを読み取ろうとします。
でも、時には「どうして泣いているんだろう?」と、途方に暮れてしまうこともあります。
そんな時、「ベイビーボイス」の体験は、私たちが赤ちゃんの気持ちを想像するきっかけを与えてくれます。
言葉を持たない、ということが、どれほどもどかしく、つらいことなのか。
それを知ることで、私たちはもっと、子どもの気持ちに寄り添えるようになるのではないでしょうか。
子どもの世界を「見る」ためのヒント
記事では、様々な研究や展示を通して、子どもの世界を体験する試みが紹介されていました。
でも、私たちは、わざわざ展示会に行かなくても、日々の生活の中で子どもの世界を「見る」ことができます。

1. 目線を下げてみよう
子どもの目線までしゃがんでみましょう。
すると、今まで見えなかった世界が広がっていることに気づきます。
テーブルや椅子の脚が、まるで森の木のように見えたり、床に落ちている小さなゴミが、まるで宝物のように見えたり…。
子どもの目線で世界を見てみることで、子どもが何に興味を持っているのか、何に夢中になっているのか、きっと新しい発見があるはずです。
2. 「なぜ?」と聞いてみよう
子どもが何か不思議な行動をしているとき、頭ごなしに怒るのではなく、「どうして、そんなことをしたの?」と優しく尋ねてみましょう。
- 壁に落書きをしているとき
- おもちゃを壊してしまったとき
- ご飯をわざと床に落としているとき
大人の私たちには理解できない行動も、子どもなりの理由があるかもしれません。
その理由を聞いてあげることで、子どもの気持ちを理解し、コミュニケーションを深めることができます。
3. 一緒に「初めて」を体験してみよう
子どもは、毎日が「初めて」の連続です。
初めて見る景色、初めて触るもの、初めて聞く音…。
その「初めて」を、一緒に体験してみましょう。
- 雨の日に、一緒に水たまりに入ってみる
- 落ち葉の上を、カサカサと音を立てて歩いてみる
- 初めての場所へ、探検に出かけてみる
そうすることで、私たちは子どもの新鮮な感動を共有することができます。
子どもの「謎」は、私たちの心を開く鍵
記事の後半では、東京大学の開一夫教授の「赤ちゃんラボ」が紹介されていました。
赤ちゃんの興味や好みを科学的に研究し、ベストセラーの絵本「もいもい」を生み出したという話は、とても興味深いです。
「赤ちゃんが、なぜその絵を長く見るのかは分からない」という開教授の言葉に、私たちは子どもの「謎」を解き明かすことの難しさを感じます。
でも、その「謎」を解き明かそうと努力することこそが、私たち大人の心を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
まとめ

日経新聞の記事をきっかけに、子どもの世界を「大人のサイズ」で考えてみました。
- 大人は、子どもにとって4メートルの巨人。威圧感を与えていないか、見つめ直すきっかけに。
- ランドセルの重さは、大人にとって19キロに相当。子どもの「重い」という言葉を真剣に受け止めよう。
- 子どもが立ち止まるのは、発見がいっぱいだから。時間に余裕のある日は、一緒に寄り道を楽しんでみよう。
子どもは、私たちとは全く違う世界を見て、感じています。
その世界を少しでも理解しようとすることで、子育てのイライラが減り、子どもとの関係がもっと温かいものになるはずです。
もし、あなたが今、子育てに悩んでいるなら、少しだけ立ち止まって、子どもの世界を想像してみてください。
きっと、新しい発見や、優しい気持ちが、あなたの心の中に生まれるはずです。
そして、それは私たち親にとっても、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれる、素敵な体験になるのではないでしょうか。