引き出しの奥の古いスマホ・PC、実は「都市鉱山」=資源のかたまり。
小型家電リサイクル法で、身近な機器も回収ルートが整ってる。
データ消去と電池の捨て方さえ押さえれば、安心・エコ・片付くの三拍子。
みなさん、こんにちは。
突然ですが、私たちの国、日本についてどんなイメージを持っていますか。
学校の社会の授業で「日本は資源のない国」だと習った記憶がある人は多いと思います。
石油もガスも、いろいろな資源を海外からの輸入に頼っている。
だからこそ、モノづくりで頑張らなきゃいけない。
そんなふうに思って育ってきましたよね。
でも、最近その常識が少しずつ変わり始めているのをご存知でしょうか。
実は日本は、ある特定の資源においては「世界有数の資源大国」に匹敵するポテンシャルを秘めているんです。
そのキーワードとなるのが「都市鉱山」。
なんだか少し硬い言葉に聞こえるかもしれませんね。
でもこれ、私たちの生活にとても身近な話なんです。
もっと言うと、今みなさんの家の引き出しの奥で眠っている「あれ」の話なんです。
今日は、知っているようで知らない「都市鉱山」について、そして私たちが今日からできるちょっと素敵なアクションについてお話しします。
読み終わる頃には、きっと家の片付けをしたくなっているはずですよ。

日本の地下ならぬ「地上」に眠るすごい資源
都市鉱山(アーバン・マイン)という言葉を聞いたことはありますか。
これは、自然の山にある鉱山のことではありません。
私たちが暮らしの中で使っている、たくさんの電化製品や電子機器のことです。
スマホ、パソコン、デジカメ、ゲーム機などなど。
これらの製品の中には、金や銀、銅、そしてレアメタルと呼ばれる貴重な金属がたくさん使われています。
使われなくなって廃棄されたり、家の押し入れにしまわれたりしているこれらの製品を、まるで鉱山のように見立てて「都市鉱山」と呼んでいるんです。
ここで、驚きのデータをご紹介しますね。
日本のこの「都市鉱山」に眠っている金の量は、なんと約6800トンもあると言われています。
この数字だけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは世界の金の埋蔵量の約16%にあたる量なんです。
すごくないですか。
世界の金の1割以上が、日本の、しかも私たちの生活圏内にあるかもしれないんです。
さらに、銀に関してはもっとすごいです。
その量は約6万トン。
これは世界の埋蔵量の約22%にもなると試算されています。(推計値です)
つまり、日本は資源がないどころか、リサイクルさえうまく回せれば、世界でもトップクラスの資源保有国になれる可能性を秘めているんです。
なんだかワクワクしてきますよね。

パソコンだけじゃない!小型家電リサイクル法って?
「でも、リサイクルってパソコンとか冷蔵庫みたいな大きな家電の話でしょ?」
そう思っている方もいるかもしれません。
実は2013年から「小型家電リサイクル法」という法律が始まっています。
これは、もっと身近な小さな家電たちも資源としてしっかり回収しましょう、という決まりです。
対象になるのは、なんと28品目もあります。
たとえば、こんなものが対象です。
携帯電話やスマートフォンはもちろんのこと。
タブレット端末。
デジタルカメラやビデオカメラ。
携帯音楽プレーヤー。
電子辞書や電卓。
家庭用ゲーム機。
そして意外と忘れがちなのが、ACアダプターやケーブル類です。
これらも立派な資源なんです。
今までは「燃えないゴミ」として捨ててしまいがちだったこれらの小さな家電。
これらをただのゴミとして埋め立ててしまうのは、本当にもったいないことなんです。
「ちりも積もれば山となる」という言葉がありますが、都市鉱山はまさにそれ。
私たち一人ひとりが持っている量は少なくても、日本全体で集めれば、巨大な鉱山になるんです。
捨てたいけど捨てられない…個人情報の不安を解決

ここまで読んで、「頭ではわかっているけど、なかなか手放せない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
その一番の理由は、やっぱり「個人情報」ですよね。
昔使っていたスマホやパソコンには、写真やメール、連絡先など、大切なデータがたくさん入っています。
「もし誰かに見られたらどうしよう」
「データが流出したら怖い」
そう思うと、どうしても引き出しの奥にしまい込んでしまいがちです。
その気持ち、痛いほどよくわかります。
でも、今はそんな不安を解消してくれる便利なサービスがあるんです。
たとえば、国の認定を受けた回収事業者にお願いする方法です。
有名なところでは「リネットジャパン」などがあります。
こういった認定事業者は、セキュリティ管理がとてもしっかりしています。
回収したパソコンやスマホのデータは、専用の設備で物理的に破壊したり、強力なソフトで上書き消去したりして、二度と復元できないようにしてくれます。
自分でデータを消すのが難しい、あるいは面倒だという人のために、お任せで消去してくれるオプションサービスを用意しているところも多いです。
しかも、消去が終わったら「データ消去証明書」を発行してくれるサービスもあります。
これなら安心ですよね。
申し込みもインターネットから簡単にできて、希望する日時に宅配業者が自宅まで回収に来てくれます。
重たい荷物を運ぶ必要もないので、女性や忙しい人にとっては本当に助かります。
さらに嬉しいポイントがあります。
パソコン本体を含んで回収に出す場合、回収用の段ボール1箱分の料金が無料になることが多いんです。
これは、パソコンの中に含まれている金などの貴金属に高い価値があるからこそできる仕組みです。
お金をかけずに、しかも家まで取りに来てくれて、部屋もスッキリする。
まさに一石三鳥ですよね。
レアアースの供給不安が強まると、国内回収の重要性が一段と高まります。
▶ 中国のレアアース輸出禁止が日本の調達と産業に与える影響を整理

回収された後はどうなるの?日本のすごい技術

私たちが手放した古いスマホやパソコンは、その後どうなるのでしょうか。
回収された小型家電は、リサイクル工場へと運ばれます。
そこで待っているのは、日本が誇る「静脈産業」の職人技と最新技術です。
静脈産業というのは、製品を作る「動脈」に対して、使い終わったものを資源に戻す産業のことです。
まず、工場では人の手によって丁寧に解体作業が行われます。
バッテリーやプラスチックなどを手際よく分別していきます。
この選別作業はとても重要で、ここでしっかり分けることで、後の工程での資源回収率が変わってくるんです。
さらに最近では、AI(人工知能)やセンサーを使った自動選別機も活躍しています。
プラスチックの種類を瞬時に見分けたり、細かい部品を選り分けたり。
そして、取り出された基板などは、製錬所(せいれんじょ)という場所に運ばれます。
ここでは、高温で溶かしたり、化学薬品を使ったりして、不純物を取り除き、純度の高い金や銀、銅などを抽出します。
日本のこの製錬技術は、世界でもトップレベルだと言われています。
驚くほど高い純度で貴金属を取り出すことができるんです。
こうして生まれ変わった金や銀は、また新しいスマホやパソコンの部品として、あるいはジュエリーとして、私たちの手元に戻ってくるのです。
これが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」と呼ばれる流れです。
資源を掘って、使って、捨てるという一方通行ではなく、ぐるぐると回し続ける。
これがこれからの時代の当たり前になっていくんですね。
【重要】これだけは気をつけて!電池の出し方

都市鉱山リサイクルに参加する上で、一つだけ、どうしても気をつけてほしいことがあります。
それは「リチウムイオン電池」の扱いです。
最近のコードレス掃除機やハンディファン、モバイルバッテリーなどには、軽くてパワフルなリチウムイオン電池が使われています。
とても便利なのですが、捨て方を間違えると大変なことになります。
実は今、ゴミ収集車やゴミ処理施設での火災事故が急増しているんです。
その原因の多くが、このリチウムイオン電池です。
燃えるゴミやプラスチックゴミに混ざって出されてしまうと、収集車の中で押しつぶされた瞬間に発火してしまうことがあるんです。
一度火がつくと、消火するのが難しく、周りのゴミに燃え移って大きな火事になってしまいます。
こうなると、ゴミの収集が止まってしまったり、処理施設の修理に多額の税金が使われたりすることになります。
なにより、収集作業員の方々の命に関わる危険な事故につながります。
ですので、リチウムイオン電池が内蔵されている製品を捨てるときは、絶対に一般のゴミに混ぜないでください。
製品から電池が取り外せる場合は、電池を外して、家電量販店やスーパーなどに置いてある「リサイクルBOX」に入れてください。
電池が取り外せない製品の場合は、無理に外そうとせず、自治体の指示に従って「有害ごみ」や「危険ごみ」として出すか、先ほど紹介した認定事業者の回収を利用してください。
正しい出し方をすることは、資源を守るだけでなく、私たちの街の安全を守ることにもつながるんです。
読者のギモン解決!Q&Aコーナー

ここで、リサイクルについてよくある質問にお答えしますね。
Q. 画面が割れて動かないスマホでも回収してもらえますか?
A. はい、大丈夫です!
画面が割れていても、電源が入らなくても、中の金属資源の価値は変わりません。
安心して回収に出してくださいね。
ただし、膨張してしまっているバッテリーなどは回収不可の場合もあるので、事前に回収業者のサイトで確認することをおすすめします。
Q. データの消去、自分でもできますか?
A. 可能です。
スマホなら設定メニューから「工場出荷状態にリセット」を行えば、基本的にはデータは消去されます。
パソコンの場合は、専用の消去ソフトを使うのが確実です。
無料のソフトもありますが、不安な方はやはりプロにお任せするのが一番安心だと思います。
Q. 回収にお金はかかりますか?
A. 事業者や自治体によります。
多くの認定事業者では、パソコンを含む回収なら無料になるキャンペーンを行っています。
パソコンを含まない場合(スマホや小型家電だけ)は、1箱あたり1,500円〜2,000円程度の手数料がかかることが一般的です。
もし古いパソコンが家にあるなら、他の小型家電も一緒に段ボールに詰めて送るのが一番お得ですよ。
Q. 違法な回収業者ってどうやって見分ければいいですか?
A. 街中をスピーカーで流しながら走っているトラックや、空き地に「無料回収」と書かれた看板を出している業者は注意が必要です。
これらは無許可の業者の可能性が高く、回収されたものが不法投棄されたり、不適切な処理で環境汚染を引き起こしたりするリスクがあります。
必ず、自治体の案内や、「環境省・経済産業省認定」と書かれた事業者を利用するようにしましょう。

家の片付けが、日本の未来へのエールになる

ここまで、日本の都市鉱山の可能性についてお話ししてきました。
日本は資源がない国だと思っていましたが、実は私たちの足元に、いえ、私たちの家の中に、たくさんの資源が眠っていることがわかりました。
古いスマホやパソコンをリサイクルに出すこと。
それは、単に家の中が片付いてスッキリするだけではありません。
日本の貴重な資源を守り、環境汚染を防ぎ、そして未来の製品作りを支えることにつながります。
なんだか、ちょっと誇らしい気持ちになりませんか。
私たちの小さな行動が、国の力を支えることにつながるなんて。
大げさではなく、本当にそういうことなんです。
次の休日は、ぜひ一度、引き出しの奥や押し入れの中を探してみてください。
「あ、これ懐かしい!」という思い出の品が出てくるかもしれません。
でも、もう使わないのであれば、その思い出を感謝とともに手放して、次の資源として送り出してあげましょう。
あなたのそのアクションが、日本の未来を少しだけ明るくするはずです。
まずは一台、古い携帯電話を探すところから始めてみませんか。












