H3ロケット8号機の打ち上げ失敗は、第2段エンジンの燃料タンクの圧力低下により、再着火ができなかったことが原因です。
これにより搭載していた準天頂衛星「みちびき5号機」を失い、日本独自の高精度なGPS体制(7機体制)の完成が数年遅れる見込みです。
過去のH-IIAのような高い信頼性を勝ち取るための「産みの苦しみ」の段階であり、次回の火星探査計画への影響が懸念されています。
2025年12月22日、なんだかざわざわとしたニュースが飛び込んできましたね。
もうすぐクリスマスだというのに、日本の宇宙開発にとっては少し切ない出来事がありました。
種子島宇宙センターから打ち上げられた、日本の新しい主力ロケット「H3ロケット8号機」。
みんなの期待を背負って宇宙へ旅立ちましたが、残念ながらミッションは失敗に終わってしまいました。
テレビの速報を見て、「えっ、また?」とドキッとした人も多いのではないでしょうか。
私もニュースを見ていて、思わず手を握りしめてしまいました。
今回は、難しい専門用語はできるだけ使わずに、
「結局、何が起きたの?」
「私たちのスマホのGPSはどうなっちゃうの?」
「日本のロケットは大丈夫なの?」
という疑問について、一緒に紐解いていきたいと思います。
【速報】H3ロケット8号機に何が起きたの?

まずは、当日の状況を整理してみましょう。
2025年12月22日の午前10時51分、H3ロケット8号機は美しい炎を引いて種子島の空へ上がっていきました。
ここまでは完璧でした。
青空に吸い込まれていくロケットを見て「いけー!」って応援していた人も多かったはずです。
第1段エンジン(一番下の大きなエンジン)も順調に燃え尽きて、ロケットは軽くなり、宇宙空間へと進んでいきました。
運命の分かれ道は「2回目の着火」
ロケットが衛星を目的の場所まで運ぶには、バケツリレーのようにエンジンを切り替えていきます。
今回問題が起きたのは、バトンを受け取った後の「第2段エンジン」でした。
一度目の燃焼はなんとかこなしたものの、地球をぐるっと回ったあと、最後に衛星を高い軌道へ押し上げるための「2回目のエンジン点火(再着火)」のタイミング。
打ち上げから約25分後のことでした。
ここで、エンジンがかからなかったのです。
正確には、火がつこうとしたけれど、すぐに止まってしまった。
マラソンで例えるなら、ゴール直前のラストスパートで足がもつれて転んでしまったような状態です。
その結果、大切に運んでいた「みちびき5号機」という衛星を、予定していた場所まで届けることができなくなってしまいました。
原因は「第2段エンジン」…1号機の悪夢ふたたび?
「H3ロケットって、前も失敗してなかったっけ?」と思った方、鋭いです。
実は2023年の試験機1号機も失敗してしまいましたが、その時も鬼門となったのは「第2段」でした。
ただ、今回の原因は前回とは少し違うようです。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の発表やデータを読み解くと、今回は「電気」ではなく「燃料の流れ」に問題があったことがわかってきました。
燃料タンクの圧力が下がってしまった
ロケットのエンジンは、ものすごい勢いで燃料(液体水素)を燃やします。
そのためには、タンクからエンジンへ、ポンプを使ってギュウギュウに燃料を押し込む必要があります。
ストローでジュースを飲む時を想像してみてください。
もしストローの途中に穴が空いていたり、コップの中の空気が足りなかったりすると、うまく吸い込めませんよね?
今回、打ち上げからわずか3分20秒後という早い段階で、第2段の燃料タンクの圧力が下がり始めていたそうです。
タンクの中の圧力が足りないせいで、エンジンに十分な燃料が届かず、ポンプの中で泡が発生してしまった(これをキャビテーションと言います)。
その結果、エンジンが「もう無理!」と判断して止まってしまった可能性が高いのです。
1号機と8号機の失敗の違い
わかりやすく表にまとめてみました。
| 号機 | 失敗した場所 | 主な原因 | 状況のイメージ |
| 試験機1号機 | 第2段エンジン | 電気・システム | スイッチを押しても電気が流れず、火がつかなかった |
| 8号機(今回) | 第2段エンジン | 燃料・圧力 | 燃料を押し出す力が弱くて、エンジンが息切れした |
同じ「第2段」での失敗ですが、今回はロケットの心臓部とも言える「燃料を送り出す仕組み」そのものの弱点が出てしまったのかもしれません。
失われた「みちびき5号機」…私たちのスマホやカーナビに影響は?
今回、ロケットと一緒に失われてしまった「みちびき5号機」。
この子は「日本版GPS」とも呼ばれる、私たちの生活にとってすごく大事な衛星でした。

今すぐGPSが使えなくなるわけではありません
まず安心してください。
「明日からGoogleマップが使えない!」なんてことにはなりません。
現在、すでに4機の「みちびき」が宇宙にいて、日本の空をカバーしてくれています。
今の4機体制でも、十分にカーナビやスマホの地図は機能します。
本当に痛いのは「未来の便利さ」が遅れること
では、何が問題なのでしょうか?
実は日本は、今の4機体制から、もっと高精度で安定した「7機体制」にバージョンアップしようとしていました。
今回打ち上げた5号機は、その7機体制のリーダー格になるはずだったんです。
7機体制になると何ができるようになるかというと…
- ビルの谷間でも迷わない: 銀座や新宿のようなビル街でも、今自分がどこにいるかピッタリわかる。
- 自動運転やドローン: 数センチ単位のズレも許されない自動配送ドローンなどが、より安全に動かせる。
- 災害時の安心: 万が一、アメリカのGPSが使えなくなっても、日本だけで位置情報がわかるようになる。
この「未来の当たり前」を作る計画が、今回の失敗で数年単位(おそらく1〜2年)遅れてしまうことになります。
これが、私たちにとっての一番の損失なんですね。
【過去の歴史】「失敗の時代」に逆戻り?それとも生みの苦しみ?
「日本の技術力って落ちちゃったの?」
そんな不安な声も聞こえてきそうです。
確かに、以前主力だった「H-IIAロケット」は、成功率98%という驚異的な安定感を誇っていました。
それと比べると、H3ロケットはまだ始まったばかりで、つまづきが目立ちます。
新しいことへの挑戦には失敗がつきもの
でも、少し視点を変えてみましょう。
今や世界最強のロケット会社と言われるアメリカの「スペースX」でさえ、最初の頃は何度も何度も失敗して、ロケットを爆発させていました。
H3ロケットは、これまでのロケットの「半額(約50億円)」で作ることを目指しています。
そのために、自動車の部品を使ったり、新しい設計を取り入れたりしているんです。
これは、世界と戦うためにどうしても必要な挑戦。
今は、その新しい仕組みを馴染ませている最中の「産みの苦しみ」の時期なのかもしれません。
過去にも1990年代後半、日本はロケット失敗が続いた「苦難の時代」がありました。
でも、そこから原因を徹底的に潰して、世界一信頼できるH-IIAを作り上げました。
歴史は繰り返すと言いますが、今回もきっと乗り越えてくれるはずです。
火星探査計画「MMX」もピンチ?今後のスケジュール
宇宙ファンとして一番心配なのが、次に控えているビッグプロジェクトへの影響です。
実は、H3ロケットを使って2026年に「火星の衛星(フォボス)」へ探査機を飛ばす「MMX計画」が予定されています。
火星への切符は「2年に1度」しかない
火星へ行くには、地球と火星が近づくタイミングを狙う必要があります。
それが「約2年2ヶ月に1回」しかありません。
もし、今回の失敗の原因究明に時間がかかってしまうと、2026年のチャンスを逃してしまうかもしれません。
そうなると、次は2029年頃まで待たなくてはいけなくなります。
海外のパートナーと一緒に進めている計画なので、延期になれば予算も膨らむし、国際的な信用にも関わります。
JAXAのエンジニアさんたちは今、とてつもないプレッシャーの中にいるはずです。
Q&A 読者の疑問にお答えします
ここで、よくある疑問についてQ&A形式でまとめてみました。
Q1. ロケットは爆発したんですか?
いいえ、爆発はしていません。
空へ上がって宇宙空間までは行けましたが、最後のスピードが足りずに、地球の重力に引かれて落ちてしまった(大気圏で燃え尽きた)という形です。
地上の人や建物への被害はありませんでした。
Q2. 税金の無駄遣いじゃないの?
確かに数百億円という大きなお金が消えてしまったのは事実です。
でも、宇宙開発は「未来への投資」です。
気象予報も、通信も、防災も、今の私たちの生活は宇宙技術なしでは成り立ちません。
失敗からデータを取って次に活かすことが、結果的に一番安上がりな道になることもあります。
Q3. すぐにまた打ち上げられるの?
いいえ、すぐには無理そうです。
原因を特定して、部品を直して、テストをして…となると、早くても1年はかかるのではないかと言われています。
H-IIAの時も、H3の1号機の時も、再開までには1年近くの空白期間がありました。
今はじっくり直す時間が必要です。
まとめ:信頼回復への道は険しいけれど、応援したい!

今回のH3ロケット8号機の失敗は、正直なところ、とてもショックな出来事でした。
技術的な課題はもちろん、ビジネスとして海外の衛星を運ぶ注文を取る上でも、厳しい状況になったのは間違いありません。
でも、失敗を失敗のままで終わらせないのが、日本の技術者のすごいところだと私は信じています。
原因となった「圧力低下」の謎を解き明かして、
「H3ロケットなら絶対に大丈夫!」
と世界中から言われる日が来ることを願っています。
私たちにできることは、失敗を責めることよりも、
難しい挑戦を続けている人たちに「次こそは!」とエールを送ることかもしれませんね。
夜空を見上げながら、次の打ち上げ成功を静かに祈りたいと思います。
最後にホッと一息
宇宙のニュースを追いかけていると、
なんだか少し気持ちが張りつめてしまうこと、ありませんか。
難しい話や真剣な話が続いたあとは、
ふっと肩の力を抜ける時間も大切ですよね。
そんなときにおすすめなのが、
「宇宙を身近に感じながら、ちょっと気分が上がるアイテム」。
ロケットが飛び立つ町として知られる種子島から届いたこの一品は、
見ているだけで心がふわっと軽くなるような存在です。
宇宙って、どこか遠い世界に感じがちですが、
こうして日常の中にそっと取り入れると、
不思議と前向きな気持ちをくれるんですよね。
がんばった自分へのご褒美に。
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