・アイロボットの倒産は「会社がなくなる」わけではなく、再建のための手続きなので、今あるルンバはそのまま使えます。
・敗因はAmazon買収の失敗と、中国メーカー(Roborockなど)の圧倒的な技術進化・低価格化にありました。
・新しい親会社は中国のPICEA。今後はデータプライバシーの管理や、次世代機への乗り換え判断が重要になります。
こんにちは。
先日、飛び込んできた「アイロボット社、倒産」というニュース。
私もスマホを見ていて、思わず「えっ!」と声が出てしまいました。
リビングで健気に働いてくれているルンバを見て、「この子はもう動かなくなっちゃうの?」なんて、急に不安になった方も多いのではないでしょうか。
SNSを見ても、「アプリは使えるの?」「修理は?」といった心配の声がたくさんあふれています。
でも、結論から言うと、明日すぐにルンバが動かなくなるわけではありません。
今回は、毎日ルンバに助けられている一人のユーザーとして、そしてライターの視点から、今回のニュースが私たちの生活にどう影響するのかを分かりやすくまとめました。
専門的な難しい話は抜きにして、私たちが一番知りたい「これからのこと」について、友人とカフェでおしゃべりするような気持ちでお話ししますね。
まず結論!私たちの「ルンバ」は明日からどうなるの?
一番気になるのは、今お家にあるルンバがどうなってしまうのか、ということですよね。
まずは、既存ユーザーへの影響について、安心していい点と注意すべき点を整理しました。
「倒産」したのに、なぜ大丈夫なの?
ニュースで「倒産」という言葉を聞くと、お店のシャッターがガラガラと閉まるイメージを持ちますよね。
でも、今回アイロボットが申請したのは、アメリカの「連邦破産法第11条(チャプター11)」というものです。
これは、日本でいう「民事再生法」に近いもので、「会社を潰す」のではなく「借金を整理して、もう一度やり直す」ための手続きなんです。
実際に、過去にはアメリカン航空やGM(ゼネラル・モーターズ)といった大企業もこの手続きを経て、今も元気に営業しています。
つまり、アイロボットという会社自体が消えてなくなるわけではないので、まずは深呼吸して安心してくださいね。
サポートや消耗品はどうなる?一覧でチェック
「じゃあ、具体的に何が変わるの?」という疑問に答えるために、今の状況を表にまとめてみました。
| 気になる項目 | 今後の状況 | ユーザーへの影響 |
| 製品の使用 | そのまま使える | いつも通りお掃除してくれます |
| スマホアプリ | 継続して使える | アプリも今まで通り起動します |
| 修理・保証 | 原則維持される | 故障しても修理受付は続きます |
| 消耗品の購入 | 継続して買える | ブラシやフィルターも購入可能です |
| カスタマーサポート | 窓口は継続 | 分からないことは問い合わせOK |
このように、私たちユーザー側での目に見える変化は、当面の間は「ほぼない」と言って良さそうです。
消耗品のブラシや紙パックが急に店頭から消えることもないので、買い占めに走る必要はありませんよ。
なぜ「ロボット掃除機の王様」が転落してしまったの?
「ルンバといえばロボット掃除機」と言われるほど圧倒的だったアイロボット。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
実は、ここ数年で業界の常識がガラリと変わっていたんです。
少しだけビジネスの裏側をお話ししますね。

1. Amazonとの結婚破談が痛すぎた
一番のきっかけは、Amazonによる買収の話がなくなってしまったことです。
2022年に「Amazonがアイロボットを買収するよ!」という大きなニュースがありましたが、これに待ったをかけたのがEU(ヨーロッパ)でした。
「Amazonがルンバを優遇して、他のメーカーを締め出すんじゃない?」
そんな懸念から、結局この話は2024年1月に白紙に戻ってしまったんです。
問題なのは、この審査を待っていた「空白の1年半」です。
アイロボットは「Amazonの傘下に入るから」と、大きな資金調達や大胆な新製品開発をストップしていました。
その間に、ライバルたちは猛スピードで進化してしまい、気づいた時には取り返しのつかない差がついてしまったのです。
2. 「目」の良さで負けてしまった
皆さんは、最近のロボット掃除機がどうやって部屋を見ているかご存知ですか?
ここが勝負の分かれ目でした。
- アイロボット(ルンバ):カメラ派カメラで部屋を撮影して間取りを把握する方法です。情報は多いのですが、暗い部屋が苦手だったり、処理に時間がかかったりします。
- 中国メーカー(Roborockなど):レーザー派「Lidar(ライダー)」というレーザーセンサーを使って、真っ暗な部屋でも一瞬で正確な地図を作ります。
市場が選んだのは、残念ながら「レーザー派」でした。
「ルンバは丁寧だけど、ちょっと動きが遅いし、暗いと迷うよね」
「中国製のほうが、キビキビ動いて掃除が早い!」
そんな口コミが増える中、アイロボットはカメラにこだわりすぎてしまい、技術のトレンドに乗り遅れてしまったのです。
3. 売上が半分以下に…衝撃の数字
数字で見ると、その落ち込みは明らかです。
- 2021年の売上:約15億6000万ドル
- 2024年の売上:約6億8000万ドル
なんと、たった3年で売上が半分以下になってしまいました。
さらに、アメリカと中国の貿易摩擦の影響で、関税(税金)が高くなり、コストも跳ね上がってしまったのです。
「売れないのに、作るお金はかかる」という、家計で言えば一番苦しい状態が続いていたんですね。

新しい持ち主「PICEA」ってどんな会社?
さて、アイロボットを買い取って新しい親会社になるのが、「PICEA(ピセア)」という中国の企業です。
「聞いたことない会社だけど、大丈夫?」と思いますよね。
実はこの会社、ポッと出の新人ではありません。業界では知る人ぞ知る「影の実力者」なんです。
実は「ルンバを作っていた」工場だった
驚くことに、PICEAはこれまでもアイロボットの下請けとして、ルンバの製造を行っていたパートナー企業なんです。
つまり、「設計図を渡して作ってもらっていた工場」が、これからは「オーナー」になるということ。
これは、製造現場を知り尽くしている企業がトップになるという意味で、製品の品質維持という点ではプラスの要素とも言えます。
彼らはXiaomi(シャオミ)などのロボット掃除機も手掛けており、技術力は世界トップクラス。
もしかすると、これからのルンバは今まで以上に高性能になるかもしれません。
ここが一番心配…「プライバシー」は大丈夫?
主婦目線で一番気になるのが、やっぱり「家のデータ」のことではないでしょうか。
ロボット掃除機は、家の中を動き回って、間取りや家具の配置を記憶しています。いわば「走るカメラ」のようなもの。
親会社が中国企業になることで、「家の情報が海外に送られちゃうんじゃないの?」という不安の声が、ネット上でもたくさん上がっています。
過去にはセキュリティの懸念も

正直にお伝えすると、セキュリティの研究者からは、PICEAの前身企業が作った製品に、過去に外部からアクセスできる「抜け穴」があったという報告もあがっています。
もちろん、今のアイロボットがすぐに危険になるわけではありませんが、警戒するに越したことはありません。
私たちにできる対策としては、以下のようなことがあります。
- 見られたくない部屋(寝室や書斎)には入れない
- 心配な場合は、アプリを使わずに本体のボタンだけで動かす
- Wi-Fiの設定を見直す(詳しい方向け)
「便利さ」と「安心」のバランスを、これからは私たち自身が考えていく必要がありそうです。
【本音レビュー】今、ルンバを買うのは「あり」?「なし」?
「そろそろロボット掃除機が欲しいな」と思っていた方や、「買い替えようかな」と迷っている方へ。
今の状況でルンバを選ぶべきか、正直なアドバイスをまとめました。
「あり」なのはこんな人
- とにかく安く手に入れたい人今後、在庫処分やブランド再編で、これまでの高級モデルがセール価格になる可能性があります。「憧れのルンバが半額!」なんてことがあれば、チャンスかもしれません。
- 「ゴム製ブラシ」が好きな人ルンバ独自の「デュアルアクションブラシ(2本のゴムブラシ)」は、髪の毛が絡まりにくく、ペットのいるお家では今でも最強の武器です。ここだけは他社もなかなか真似できません。
「なし」なのはこんな人
- 最新の便利機能を求めている人「モップを自動で洗って乾燥までしてほしい」「障害物を賢く避けてほしい」という方には、正直に言ってRoborock(ロボロック)やDreame(ドリーミー)をおすすめします。今の市場では、同じ価格帯なら中国メーカー製のほうが、機能が2〜3歩進んでいます。
- プライバシーを最優先したい人やはり親会社の変更によるデータの扱いが気になる方は、慎重になったほうが良いでしょう。

比較表:ルンバ vs ライバルたち
今の立ち位置をざっくり比較してみました。
| 特徴 | アイロボット(ルンバ) | Roborock / Dreame(中国勢) |
| 得意なこと | カーペット掃除・毛の処理 | 水拭き・自動メンテナンス |
| ナビゲーション | カメラ(少しゆっくり) | レーザー(爆速・正確) |
| アプリの使い勝手 | シンプルで分かりやすい | 多機能で設定が細かい |
| 価格 | ブランド料含め高め | コスパが高い |
まとめ:ルンバはなくならないけど、時代は変わった

今回のニュースはショックでしたが、まずは「今あるルンバが急に使えなくなるわけではない」ということに安心してください。
サポートも続きますし、明日からのお掃除も任せて大丈夫です。
ただ、かつて私たちが憧れた「アメリカ生まれの最先端ロボット」という姿は、少しずつ変わっていくでしょう。
これからの家電選びは、有名なブランド名だけで選ぶのではなく、「中身は誰が作っているのか」「データはどこに行くのか」を、私たち消費者自身が賢くチェックする時代になったのかもしれませんね。
それでも、ルンバがこれまで私たちの家事を助け、自由な時間をくれたことには変わりありません。
これからの新生アイロボットが、また私たちをワクワクさせるような製品を作ってくれることを、ちょっぴり期待しつつ見守っていきたいと思います。









