皆さん、こんにちは!
突然だけど、最近「ビール離れ」ってよく聞くと思いませんか?
「ビールって、苦くてキレがあるピルスナーしかないんでしょ?」
「甘いサワーとか、フルーティーなカクテルの方が好きかな」
私も正直、そう思っていました。
でも、ちょっと待って! 2025年10月にキリンビールから発売された「キリン グッドエール」が、そんな私たちの常識をガラリと変えようとしているんです。
このグッドエール、実はめちゃくちゃ面白い戦略で作られていて、業界では「盲点を突いた」って言われているんですよ。
この記事では、
- なぜグッドエールが「盲点を突いた」と言われるのか?
- 私たちの味覚はどう変わってきているの?
- 大ヒットの秘密は「枯れた技術の水平思考」ってどういうこと?
こんな疑問をスッキリ解決しながら、グッドエールが教えてくれる「新しいヒットの生み出し方」について、一緒に見ていきましょう。
なぜ「今さらエール?」が逆に新しいヒットを生んだのか?
まず、グッドエールが「盲点」と言われる最大のポイントは、その製法にあります。
ビールは大きく分けて2種類あるって知ってた?
スーパーでよく見かける大手メーカーのビール(アサヒスーパードライ、一番搾りなど)は、ほとんどが「下面発酵」で作られるピルスナータイプです。
| タイプ | 発酵方法 | 特徴 | イメージ |
| ピルスナー | 下面発酵 | 苦みとキレのあるのどごし。スッキリ系。 | 日本の居酒屋の定番 |
| エール | 上面発酵 | フルーティーで芳醇な香り。まろやか系。 | クラフトビールに多い |
これまで、日本のビール市場は圧倒的にピルスナーが主役でした。エールタイプは、クラフトビールとしてじわじわ人気が出てきたとはいえ、あくまで「脇役」の立ち位置。
キリンにも「スプリングバレー」という美味しいエールタイプのクラフトビールがありますが、今回グッドエールは、これを主役の定番ビールとして大々的に売り出したんです。
これを見た業界の人は、「え?今さらエールを定番に?」と驚いたわけです。
【ここで疑問を先取り解決!】
「でも、エールってクラフトビールで飲めるんだから、新しくないんじゃ?」って思いますよね。
そうなんです、エールという製法自体は古い、成熟した技術です。だからこそ、業界人は「今さら」と思った。
でも、キリンの狙いはそこじゃなかった!
業界の常識こそが「盲点」だった!
キリンは、「ビールの主戦場はピルスナーである」という業界の常識こそが、実は最大の「盲点」だと気づいたんです。
- 業界人の視点: ピルスナーが当たり前。エールはマニア向け。
- 一般消費者の視点: 「ピルスナーとかエールとか、別に意識しないな。美味しいか、そうじゃないかだけ。」
私たちがビールから離れた理由って、「苦くてキレがある」というピルスナーの単調さに飽きたからかもしれません。
だから、キリンはあえてフルーティーなエールを、「まったく新しいおいしさ」として、旬のアーティスト(綾瀬はるかさん、Mrs. GREEN APPLEなど)を使った大々的なCMで訴求しました。
「なんだか新しいビールが出たらしいよ」「フルーティーで飲みやすいらしいよ」
このアピールは、まさに「ビールは苦いもの」というイメージで離れていた若年層や女性層の心に響いたんです。
私たちの味覚は変わっている!データが示す「甘さ」と「香り」への傾倒
キリンのこの戦略は、私たちの味覚の変化をしっかり捉えています。感覚的な話だけでなく、データで見ても明らかです。
1. 若年層・女性層は「甘さ」と「香り」を求めている
最近のアルコール市場を見れば、この傾向は明らかです。
- 甘めのチューハイ、果実酒の販売量が伸び続けている。
- クラフトビール(エールタイプが多い)が、少しずつ飲まれ始めている。
ビール特有の「苦味」を「個性」と捉える人もいますが、「ちょっと苦手」と感じる人も増えています。
2. 「クラフトビール」が味覚の基準を変えた
以前は、日本のビール=ピルスナーでした。しかし、クラフトビールのブームにより、
「ビールって、柑橘系の香りがするものもあるんだ!」
「こんなにまろやかで飲みやすいビールもあるんだ!」
という新しいビールの美味しさを知る人が増えました。
グッドエールは、この「エール的な美味しさに慣れてきた」という市場の変化を捉え、「ごくごく飲める」ように独自の製法で調整し、ピルスナーと同じようにゴクゴク飲める定番品として提供したんです。
この「脇役だったエールを、大衆向けに飲みやすくして主役に引き上げる」という発想の転換が、発売後すぐに想定の1.5倍のペースで売れるという大ヒットにつながっています。

ヒットの裏にある「枯れた技術の水平思考」って何?
グッドエールの大ヒットの背景には、「枯れた技術の水平思考」という開発哲学があります。これは、任天堂の天才クリエイター、横井軍平氏が生み出した考え方です。
任天堂を救った「水平思考」の秘密
横井氏は、大ヒットした「ゲーム&ウオッチ」や「ゲームボーイ」を開発した人です。彼が提唱したのは、「最新の、高価で新しい技術」を使うのではなく、「すでにありふれた、安価で成熟した技術(枯れた技術)」を、「これまでとは違う用途」に当てはめて、新しい価値を生み出す、という考え方です。
例えば、「ゲーム&ウオッチ」は、電卓に使われていた液晶ディスプレイ技術を、時計機能とゲーム機能に転用することで大ヒットしました。液晶自体は目新しい技術ではありませんでしたが、「持ち運べるゲーム」という新しい価値を生み出したのです。
グッドエールで言う「枯れた技術」とは?
グッドエールの場合、これに当てはめるとこうなります。
| 要素 | 枯れた技術(成熟していたもの) | 水平思考(新しい用途・価値) |
| 製法 | 上面発酵(エール) | **「ピルスナーの代わり」**として定番ビール市場へ投入 |
| 市場 | 若年層・女性層の「ビール離れ」 | **「甘さ・香り好き」**という新しいニーズをエールで満たす |
エールという古い製法を、「クラフトビール」という特殊なジャンルから引っ張り出し、「ビールは苦手だけど、これは美味しい!」という新しいターゲット層に届けたこと。これがまさに「枯れた技術の水平思考」なんです。
最新の技術や、誰もやったことのない製法を開発するのには、時間もコストもかかります。でも、すでにみんなが知っている技術を違う角度から見直すだけで、こんなに大きなヒットが生まれるなんて、本当に面白いですよね。
2026年酒税法改正!ビール業界は「戦国時代」へ突入

グッドエールの登場は、この先のビール業界の大きな変化とも深く関わっています。
2026年10月には、酒税法が改正されます。これによって、これまで税率が分けられていたビール、発泡酒、第三のビールの税率が一本化されるんです。
価格はどう変わるの?
簡単に言うと、「ビール」は安くなり、「発泡酒」「第三のビール」は少しずつ高くなります。
| 品目 | 2026年以降の税率(350mlあたり) |
| ビール | 約54.25円に値下げ |
| 発泡酒・第三のビール | 約54.25円に値上げ |
この改正で、今まで「第三のビール」を愛飲していた人たちが、「どうせなら、値段が下がった本物のビールを飲もうかな」と考えるようになります。
これを見据えて、各社が新戦略を打ち出しています。
| メーカー | 戦略 | 意図 |
| キリン | グッドエールで新客層を囲い込み | 新しい客層を取り込み、ビール市場のパイを広げる |
| サントリー | 「金麦」をビールに変更と発表 | 既存のブランド力を活かし、第三のビール顧客をそのままビールへ誘導 |
サントリーの「金麦」は、今とても支持されている第三のビールです。これをビールに切り替えるのは、既存の「金麦ファン」を取り込むための手法です。
でも、「製法を変えることで味が変わってしまうんじゃないか?」という不安もありますよね。味が変わってファンが離れてしまうのか、それとも新しいビールとして受け入れられるのか、まさに「浅知恵か、深慮か」の結果は来年以降に出る、というわけです。
【ライターのつぶやき】
キリンのグッドエールは、新しい挑戦で市場自体を広げようとしています。一方、サントリーの金麦は、既存の強みを活かしつつ市場の変化に対応しようとしています。どちらも理にかなった戦略ですが、私たち消費者が下す「審判」がどうなるのか、見逃せませんね。
グッドエールが教えてくれる「私のキャリア」の見直し方
グッドエールの話は、ただのビールのお話で終わりません。私たちの働き方やキャリアにも、ヒントをくれる気がするんです。
1. 「ピルスナー=主流派」でなくてもいい
あなたは今、主流の仕事や、みんなが「これが王道!」というキャリアを歩んでいますか?
- みんなと同じ道を進むことだけが正解じゃない。
- 自分の「好き」や「得意」が、たとえマイナーな分野(エールタイプ)だとしても、それを「新しい価値」としてアピールすれば、新しい市場が生まれるかもしれない。
グッドエールのように、「私はフルーティーな香りが好き」というニーズを持つ新しい顧客(企業や仕事)は、きっと存在します。
2. 過去の経験を「水平思考」で活かす
「枯れた技術の水平思考」を私たちのキャリアに置き換えてみましょう。
- あなたの「枯れた技術」: 以前の職場で培った経験、古い資格、若い頃に夢中になった趣味や特技。
- 水平思考: それを「まったく別の分野」や「今の仕事」に当てはめてみること。
例えば、「総務で培った人脈リスト作成スキル」を、「個人ブログのSNSフォロワー獲得戦略」に転用してみるとか。誰もやっていない組み合わせに、新しい価値が生まれる可能性は無限大です。

3. 「常識」を疑う勇気を持つ
「ビールは苦くてキレがあるもの」という業界の常識を疑い、大成功したキリン。
私たちも、「仕事はこうあるべき」「女性のキャリアはこう」といった世間の常識や、自分の中の固定観念を、一度疑ってみる勇気が必要かもしれません。
あなたが「盲点」だと気づいた、世の中の当たり前は何ですか?
その当たり前を逆手にとって、新しい価値を生み出すチャンスは、今この瞬間にもゴロゴロ転がっているかもしれませんよ!
最後に、記事にもあったMrs. GREEN APPLEの「ライラック」のフレーズをもう一度。
「古いものは棚の奥に埃を被っているのに誇りが光って見えるように」
古いエールタイプを主役に抜擢したキリンのように、あなたの中の「埃を被ったもの」を、勇気を出して輝かせてみませんか?

まとめ
キリンの「グッドエール」の戦略は、
- 業界の常識(ピルスナーが主役)を疑う。
- 新しい客層(若年層、女性層)の味覚の変化に寄り添う。
- 既存の技術(エール製法)を「枯れた技術の水平思考」で新しい価値に転換する。
という、シンプルだけど強力なものでした。
この新しい風が、2026年以降のビール業界をどう変えていくのか、本当に楽しみです!







