みなさん、こんにちは。
毎日の暮らしの中で、ふとニュースを見たときに「南海トラフ」という言葉を聞くと、どうしても胸がざわついてしまいませんか？
特に2024年8月、日向灘で起きた地震のあとに初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」。あの時、スーパーからお米やお水が消えてしまったり、夏休みの旅行をどうしようか悩んだり……。正直なところ、「結局、どうすれば正解だったの？」とモヤモヤしたままの方も多いのではないでしょうか。
私も仕事柄、情報を集めるのは得意なはずなんですが、あの時は「どこまで怖がればいいの？」「逃げるべき？それとも家にいていいの？」と、判断に迷う瞬間がありました。
だからこそ今回は、国の報告書や最新の2025年被害想定見直しのデータなど、信頼できる資料をすみずみまで読み込んで、「女性として、生活者として、本当に必要なこと」だけをまとめてみました。
難しい専門用語はできるだけ使わず、友人とお茶を飲みながら話すような気持ちで書いていきますね。この記事を読み終える頃には、漠然とした不安が「これだけやっておけば大丈夫」という自信に変わっているはずです。
長くなりますが、命と暮らしを守るための大切な手引きです。ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも「南海トラフ地震臨時情報」ってなに？
まずは、一番基本的なところから整理していきましょう。
ニュースでよく聞くこの情報、実は「地震予知」ではないんです。「○月○日に地震が来ます」という天気予報のようなものではありません 1。
では、何かというと、「普段に比べて、巨大地震が起きる確率がちょっと高まっていますよ」というお知らせのこと。
例えるなら、風邪のひき始めに「なんとなく喉がイガイガするな、もしかしたら熱が出るかも？」と感じる状態に似ています。必ず熱が出るわけではないけれど、早めに薬を飲んだり、暖かくして寝たりしますよね？ それと同じで、「可能性が高まっているから、今のうちに備えを固めておこう」と呼びかけるための仕組みなんです [File 1: 情報発表の目的と基本原則]。
なぜ「臨時情報」が出るの？
「南海トラフ」というのは、日本列島の南側にある海底の溝のこと。ここでは、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいて、100年から150年くらいの周期で大きな地震を繰り返してきました 。
過去の歴史を見ると、ちょっと怖い特徴があるんです。それは「半割れ（はんわれ）」という現象。
長い南海トラフの震源域の、例えば東側半分で地震が起きると、その影響でバランスが崩れて、残っている西側半分でも時間を置いて地震が起きやすくなるんです 3。
実際に、江戸時代の1854年には、東側で地震が起きた約32時間後に西側でも発生しました。昭和の1944年・1946年のときは、約2年後に発生しています 。
このように、「片方で起きたら、もう片方も危ないかもしれない」という科学的な事実があるからこそ、「最初の地震が起きた直後の時間（タイムラグ）」を無駄にせず、みんなで備えようというのが、この制度の狙いです 。
2024年8月、私たちに何が起きたのか？
記憶に新しい2024年8月8日。宮崎県の日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生しました 。
この時、制度が始まって以来初めて「南海トラフ地震臨時情報（巨大地震注意）」が発表されましたね。
あの時の情報の流れ
地震が起きてから情報が出るまで、実際にはこんな流れでした。
- 地震発生（16時42分）： 宮崎県で最大震度6弱を観測。
- 調査中（17時00分）： 気象庁が「南海トラフ地震臨時情報（調査中）」を発表。これは「基準を超える地震が起きたので、巨大地震との関連を調べます」という合図です 。
- 評価検討会： 専門家が集まってデータを分析。
- 巨大地震注意（19時15分）： 「巨大地震注意」が発表されました 。
私たちが感じた戸惑い
初めてのことだったので、社会全体が少し混乱しましたよね。
「地震が必ず来るの？」と誤解してしまったり、お水や非常食の買い占めが起きたり。お盆の帰省や旅行をキャンセルした方も多かったと思います。実際、観光業や物流には経済的な影響も出ました 9。
でも、結果的に1週間後には「特別な注意の呼びかけ」は終了しました。
「なんだ、何も起きなかったじゃない」と思ったかもしれません。でも、防災の専門家たちはこれを「空振り」ではなく「素振り」だったと考えています。
「練習ができてよかった」と捉えて、次の本番に活かすことが大切なんです 。
一番大切な「警戒」と「注意」の違い
ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。
臨時情報には種類があって、その種類によって「逃げるべきか」「留まるべきか」が全く違います。これを間違えると、命に関わったり、逆に不要な混乱を招いたりします。
分かりやすく表にまとめてみました。
| 情報の名前 | キーワード | どんな状況？ | 私たちがとるべき行動 |
| 巨大地震警戒 | 警戒（Warning） | マグニチュード8.0以上の地震が発生。「半割れ」が起きて、残りの場所でもいつ地震が起きてもおかしくない状態 。 | 【事前避難】 津波がすぐに来る地域の人は、1週間、安全な親戚の家や避難所へ逃げてください 。 |
| 巨大地震注意 | 注意（Attention） | マグニチュード7.0以上の地震が発生（2024年のケース）。普段より確率は高いけれど、すぐに起きるとは限らない 。 | 【備えの再確認】 逃げる必要はありません。家で普通に生活しながら、すぐに逃げられる準備をしておいてください 。 |
マグニチュードの数字に注意！
ここで「あれ？」と思うかもしれません。
2024年の日向灘地震はマグニチュード7.1でした。だから「注意」だったんです。
もしこれが、マグニチュード8.0を超えるような巨大な地震だったら、「警戒」が出て、広い範囲で避難が必要になっていたかもしれません 。
この「境界線」を知っておくだけで、ニュース速報を見た時の落ち着き方が変わります。
「巨大地震警戒」が出たらどうする？（逃げるフェーズ）
もし今後、より緊急度の高い「巨大地震警戒」が出たら。
これは、もう片方の震源域でいつ巨大地震が起きてもおかしくないという、まさに非常事態です。
1週間、家を離れる覚悟を
対象になるのは、地震が起きてから津波が来るまでの時間が短い地域（30分以内に30cm以上の浸水が予想される場所など）に住んでいる方です 。
- どこへ？：頑丈な親戚や知人の家、ホテル、または自治体が開設する避難所。
- 期間は？：基本は1週間です。
- なぜ1週間？：過去のデータから、地震発生の確率は時間が経つとともに少しずつ下がっていくため、1週間無事なら一度警戒レベルを下げて、通常の生活に戻りつつ注意を続ける形になります 17。
小さなお子さんや高齢の方がいるご家庭にとって、1週間の避難生活は本当に大変だと思います。だからこそ、今のうちに「もし1週間家を空けるとしたら、どこに行く？」と家族で話し合っておくことが大切です
「巨大地震注意」が出たらどうする？（備えるフェーズ）
次は、2024年にも出された「巨大地震注意」のケース。
こちらは「事前避難」までは求められません。でも、「いつ揺れても大丈夫なように」生活スタイルを少しだけ防災モードに切り替える必要があります。
具体的に、私が実践しようと思っている「女性目線の防災アクション」をご紹介します。
1. 暮らしの「もしも」を整える
- 寝るときの服装： パジャマではなく、そのまま外に出られるスウェットやジャージにする。枕元には必ずスニーカーと懐中電灯を置いておく。これだけで、夜中の避難スピードが劇的に変わります 。
- お風呂： 浴槽にお水を溜めておく。断水した時にトイレを流す生活用水として役立ちます。
- スマホの充電： こまめに充電して、常にバッテリー残量をキープ。モバイルバッテリーもフル充電にしておきましょう。
2. 女性ならではの備蓄チェックリスト
スーパーに走る前に、まずは家にあるものを確認です。特に女性は、配給に頼れないものを優先して確保しましょう。
- 生理用品・おりものシート： ストレスで周期が乱れることもあります。多めにストックを。
- スキンケア・衛生用品： 水が使えない時のために、ふきとり化粧水やメイク落としシート、ボディシートがあると精神的に救われます。
- 常備薬： 頭痛薬や胃薬など、飲み慣れているものを。
- （お子さんがいる方）液体ミルク・おむつ： お湯が沸かせない状況を想定して、液体ミルクは神アイテムです。
3. 家の中の安全地帯をつくる
- 高いところに物を置かない： 地震で一番怖いのは、家具の転倒や物の落下による怪我です。
- 廊下を空ける： 玄関までの避難経路に、荷物や段ボールを置いていませんか？ 暗闇でも躓かずに走れるかチェックしてください 。
なぜ、ここまで備える必要があるの？
「結局、地震が来なかったら無駄になるんじゃない？」
そう思う気持ち、よく分かります。
でも、2025年3月に出された最新の被害想定報告書には、衝撃的なデータが載っていました。
もし先発地震のあとに「巨大地震警戒」が出て、私たちが適切に事前避難をしていた場合、後から来る地震による津波の死者数を、なんと95%以上減らせるという試算が出ているんです 。
何十万人もの命が助かるかもしれない。その中には、あなたや大切な人の命も含まれています。
臨時情報は、自然が私たちにくれた「猶予時間」です 21。この時間をどう使うかで、未来が大きく変わるんです。
お仕事をしている方へ：事業者はどう動く？
お勤めの方や、お店を経営されている方もいらっしゃると思います。
「お店は開けていいの？」「社員を出勤させていいの？」という判断も難しいですよね。
基本は「安全確保」と「事業継続」の両立
- 巨大地震警戒（Warning）の場合：津波リスクがある地域の事業所は、原則として休業や縮小を検討する必要があります。従業員の命を守るのが最優先です 22。
- 巨大地震注意（Attention）の場合：基本的には社会経済活動を続けます 。でも、まったくいつも通りというわけにはいきません。
- 在庫を減らす： 商品が散乱して被害が出ないように、在庫を最小限にする。
- 出張の見直し： 遠方への出張を控える、または延期する。
- 帰宅困難対策： 電車が止まった時に備えて、オフィスに水や食料があるか確認する 。
企業として「どこまでのリスクなら営業するか」というルール（BCP：事業継続計画）を、今のうちに決めておくことが大切です。「その時になったら考えよう」では、現場が混乱してしまいます 。
メンタルケアも忘れずに：正しく恐れるために
最後に、心のケアについてもお話しさせてください。
「巨大地震注意」が出ている1週間、ずっと緊張状態で過ごすのは本当に疲れますよね。
テレビやSNSでは不安を煽るような情報も流れてくるかもしれません。
でも、覚えておいてほしいのは、「調査終了」が出たら、一度気持ちをリセットしていいということ。
もちろん、地震のリスクがゼロになるわけではありませんが、いつまでも張り詰めていては心が持ちません。
「1週間、何事もなくてよかったね」と家族で美味しいものを食べる。
そんな風に、日常を取り戻していくことも防災の一つだと私は思います。
その日が来る前に、できることを一つずつ
長文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
ここまで読んでくださったあなたは、もう「なんとなく怖い」という状態からは卒業できているはずです。
今回のポイントのおさらい
- 臨時情報は予知ではない： 「確率が高まった」というアラート。
- 警戒（M8.0以上）なら逃げる： 1週間の事前避難が必要。
- 注意（M7.0クラス）なら備える： 避難はしなくていいけど、いつでも逃げられる準備をして生活する。
- 空振りは「素振り」： 何も起きなくても、準備した経験は必ず次に活きる。
防災グッズを全部揃えようとすると大変ですが、まずは「枕元に靴を置く」「水を1ケース買い足す」といった簡単なことから始めてみませんか？
「知っている」ことこそが、一番の防災です。
まとめ：今日からできる「愛する人を守る行動」
私たちには「備える」という武器があります。
- ハザードマップを見る: 自分の家が津波や土砂崩れの危険エリアに入っていないか確認する。
- 家具を固定する: L字金具や突っ張り棒で、寝室のタンスだけでも固定する。
- 家族と話す: 「夜中に地震が来たらどうする？」と、避難場所や連絡方法を決めておく。
今日、この記事を読んだことが、あなたとあなたの大切な人の命を守るきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
まずは今日、寝る前に寝室の頭上に落ちてきそうなものがないか、チェックすることから始めてみませんか？
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
みなさんの安全を、心から願っています。
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