源泉徴収票は、ただの給与明細ではありません。
見方を知るだけで、還付金・ふるさと納税・住宅ローン審査まで損を防げる重要書類です。
2025年(令和7年)の税制改正で何が変わるのかも、女性目線でわかりやすく解説します。
年末年始、会社からさらっと渡されるあの細長い紙。「給与所得の源泉徴収票」。みなさん、どうされていますか?
「とりあえず手取り額だけ見て、あとは引き出しの奥へ……」
「むしろ、中身も見ずに捨ててしまったかも」
もしそうなら、ちょっと待ってください!
実はその紙、ただの紙切れではありません。見方を知っているだけで、払いすぎた税金が戻ってきたり、お得な制度をフル活用できたりする、いわば「お金の引換券」のようなものなんです。
逆に、これがないといざという時に住宅ローンが組めなかったり、転職の手続きでつまずいたりと、人生の重要な局面で困ってしまうことも。
この記事では、プロの視点からではなく、働く私たち女性の視点で「これだけ知っておけば大丈夫」というポイントに絞って、源泉徴収票の活用法をわかりやすくお話しします。
さらに、ニュースで話題の「令和7年(2025年)からの税制改正」についても、私たちの手取りにどう影響するのか、最新情報を噛み砕いてお伝えしますね。
最後まで読めば、きっとあの細長い紙が「宝物」に見えてくるはずです。

そもそも「源泉徴収」ってなに?(3分でわかる基礎知識)
まずは、言葉のイメージから変えていきましょう。「源泉徴収」なんて漢字が並ぶと難しく感じますが、仕組みはとてもシンプルです。
毎月の「仮払い」と年末の「答え合わせ」
日本の税金システムは、会社員の場合、自分で計算して納めるのではなく、会社が代わりにお給料から天引きして国に納めてくれる仕組みになっています。これが「源泉徴収」です。
でも、毎月引かれている税金は、あくまで「概算(仮払い)」なんです。
1年の間には、結婚したり、子どもが生まれたり、生命保険に入ったりと、税金が安くなる事情(控除)が発生しますよね。
そこで、1年の終わりに「この人は本当はいくら税金を払うべきだったのか」を正しく計算し直す作業を行います。これが「年末調整」です。
- 毎月の天引き(仮払い) - 正しい年間の税金 = 差額
この差額を計算して、払いすぎていれば戻ってくる(還付)、足りなければ追加で払う。この「答え合わせの最終結果通知表」こそが、源泉徴収票なんです。
住民税との深い関係
もう一つ大事なことがあります。源泉徴収票は「所得税(国税)」の計算書ですが、このデータはお住まいの市区町村にも送られています。
そして、この源泉徴収票の数字をもとにして、翌年の6月から払う「住民税」や、お子さんの「保育料」が決まるんです。つまり、この紙一枚が、来年の私たちの固定費を左右していると言っても過言ではありません。
どこを見ればいい? 4つの数字でわかる「あなたの本当の年収」
「数字がたくさん並んでいて、どこを見ればいいかわからない」
そんな声をよく聞きます。でも、見るべきポイントはたったの4つだけです。ここさえ押さえれば、自分の経済状況が手に取るようにわかりますよ。
お手元に源泉徴収票がある方は、ぜひ見比べながら読んでみてください。
1. 支払金額(いわゆる額面年収)
一番左上にある大きな数字です。
これは、基本給や残業代、ボーナスなどをすべて足した総支給額です(通勤手当などの非課税分は除きます)。
銀行で住宅ローンの審査をする時や、転職サイトに登録する時に「年収はいくらですか?」と聞かれたら、手取り額ではなく、この「支払金額」を答えます。
2. 給与所得控除後の金額(会社員の経費を引いた額)
ここが少しややこしいですが、とても重要です。
自営業の人は売上から経費を引けますが、会社員はスーツ代や文房具代を経費として細かく申請できませんよね。その代わり、「年収に応じてこれくらいは経費がかかっているはず」として、無条件で差し引いてくれる枠があります。これを「給与所得控除」と言います。
つまり、この欄の数字は「額面年収 - みなし経費」です。税金の計算は、この数字をスタート地点として行われます。
3. 所得控除の額の合計額(あなたの節税努力の結晶)
ここが一番の注目ポイントです!
ここには、個人的な事情で税金を安くしてもらえる金額の合計が入っています。
- 基礎控除(みんな一律)
- 社会保険料控除(払った保険料全額)
- 配偶者控除や扶養控除
- 生命保険料控除やiDeCo(イデコ)の掛金など
この数字が大きければ大きいほど、課税される対象が減り、最終的な税金が安くなります。もし年末調整で保険料の証明書を出し忘れていたら、ここの数字が少なくなってしまい、結果として損をしていることになります。
4. 源泉徴収税額(確定した所得税)
一番右端にある数字です。これが、1年間働いて国に納めた所得税の「最終確定金額」です。
もし年末調整で還付金があった場合、それはすでに計算済みで、ここの数字は「還付金を返した後の、純粋に納めた税額」になっています。
この数字が「0円」でない限り、医療費控除などで確定申告をすれば、まだ税金が戻ってくる可能性があります。「まだ取り戻せる余地があるか」を知るための数字、と覚えておいてください。
絶対に捨てないで!人生の「3大必要シーン」
「見方はわかったけど、やっぱり保管するのは面倒…」
そう思う気持ちもわかります。でも、人生の節目には必ずと言っていいほど「源泉徴収票の原本(またはコピー)」を求められる瞬間が訪れます。
特に重要な3つのシーンをご紹介します。
シーン1:転職・退職するとき
今の時代、キャリアアップのための転職は当たり前ですよね。
年の途中で転職した場合、新しい会社で前の会社の分も合わせて年末調整を行います。その時、「前の会社でいくら給料をもらって、いくら税金を引かれたか」という正確なデータ(源泉徴収票)がないと、新しい会社は計算ができません。
もし手元にないと、自分で確定申告に行かなければならなくなり、平日に税務署へ行く手間が発生してしまいます。退職時に受け取ったら、絶対にクリアファイルに入れて保管しましょう。
シーン2:住宅ローンを組むとき
「そろそろマンションを買いたいな」と思った時、銀行はあなたに数千万円ものお金を貸して大丈夫かどうか、厳しく審査します。
この時、銀行員が最も信頼する証明書が源泉徴収票です。
審査では、単に年収が高いかどうかだけでなく、「安定しているか」が見られます。そのため、直近2〜3年分の提出を求められることが一般的です。過去の分も捨てずに取っておくことで、「私は安定して働いています」という強力なアピールになります。
シーン3:保育園の申し込み(働くママ必見)
認可保育園の保育料は、世帯の住民税(所得割額)によって決まります。
自治体によっては、入園申し込みの際に源泉徴収票の提出を求められることがあります。また、提出が不要な場合でも、自分の源泉徴収票を見れば「来年の保育料はどの階層の金額になりそうか」を事前にシミュレーションできます。
家計の予算を立てる上でも、捨てずにチェックすることをおすすめします。
知らないと損!「ふるさと納税」と「医療費控除」の計算
源泉徴収票があれば、受け身ではなく「攻め」の節税もカンタンにできます。
ふるさと納税の限度額が正確にわかる
実質2,000円の負担で各地の特産品がもらえる「ふるさと納税」。
でも、自分の限度額を超えて寄付してしまうと、ただの高い寄付になってしまいます。
限度額シミュレーションサイトを使う時、適当な年収を入力していませんか?
源泉徴収票の「支払金額」と「給与所得控除後の金額」を正確に入力すれば、1円単位まで正確な限度額がわかります。「あと1万円分寄付できたのに!」という損を防げますよ。
ふるさと納税の仕組みや、お得なふるさと納税の方法などを詳しくこちらで紹介しています。ご覧下さい。
医療費控除で税金を取り戻す
「今年は歯医者や通院でお金がかかったな…」
自分や家族の医療費が年間10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告で税金が戻ってきます。
この時、戻ってくる税金の上限は、源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額までです。自分が最大いくら取り戻せるのかを知っておくことは、領収書を集めるモチベーションにもなりますよね。
【最新情報】令和7年(2025年)から手取りが変わる?税制改正のポイント
さて、ここからは少し未来の話。ニュースでも話題になっている「税制改正」についてです。
令和7年(2025年)以降、私たちの税金や手取りに影響する大きな変更が予定されています。ここでは特に働く女性に関係が深いポイントをピックアップしました。
1. 「基礎控除」の見直し
今まで一律だと思われていた「基礎控除」ですが、合計所得金額に応じて控除額が変わる仕組みが強化されます。
特に高所得の方(合計所得2,400万円超など)は段階的に減額されますが、一般的な収入層(2,350万円以下)では、基礎控除が現在の48万円から引き上げられる方向で調整が進んでいます。これは減税(手取りアップ)につながる嬉しいニュースですね。
2. 「扶養の壁」が変わる?(特定扶養親族控除など)
「年収103万円の壁」という言葉を聞いたことがあると思います。
これが見直され、扶養控除が受けられる所得要件が引き上げられる議論が進んでいます。
具体的には、これまで55万円だった給与所得控除の最低保障額が引き上げられたり、基礎控除が上がったりすることで、結果として「非課税で働ける枠」が広がる可能性があります。
パートタイムで働く方や、扶養内で働く学生のお子さんがいる家庭にとっては、働き方を考える大きな転換点になりそうです。
3. いつから変わるの?
これらの改正は、令和7年(2025年)分から適用される見込みです。
つまり、令和7年の年末調整(令和7年12月頃)から新しい計算式が使われることになります。
手取りが増えるのか、手続きが変わるのか。詳細は今後決まっていく部分もありますが、「制度が変わる=源泉徴収票の数字の意味も変わる」ということだけは頭の片隅に置いておいてくださいね。
よくあるトラブルQ&A
最後に、源泉徴収票にまつわる「困った!」を解決しておきましょう。
Q. 源泉徴収票をなくしてしまいました。再発行はできますか?
A. はい、できます!
会社には再発行する義務があります。「忙しいから申し訳ない…」と遠慮する必要はありません。総務や経理の担当者に「すみません、紛失したので再発行をお願いします」と伝えれば大丈夫です。
Q. 会社が倒産して連絡がつきません。どうすればいいですか?
A. 税務署に相談しましょう。
「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を提出すると、税務署から会社(または破産管財人など)へ指導が入ります。それでも発行されない場合は、給与明細をもとに確定申告ができるケースもあります。
Q. 紙ではなくPDFなどのデータでもらいました。これでも大丈夫?
A. はい、最近はデータ交付が主流になりつつあります。
住宅ローン審査や確定申告(e-Tax)でも、データのまま使えるケースが増えています。ただし、銀行によっては「社印が押された紙の原本」を求められることもあるので、その場合は会社に印刷・押印をお願いしましょう。
まとめ:まずはスマホで撮影することから始めよう
源泉徴収票は、難しい税金の書類ではなく、あなたの1年間の頑張りを証明し、未来の生活を守る大切なチケットです。
- 「支払金額(年収)」と「源泉徴収税額(払った税金)」をチェックする
- ふるさと納税の限度額を正しく計算する
- 捨てずにファイリング(またはスマホで撮影して保存)する
まずは、今年の源泉徴収票をスマホでパシャリと撮ることから始めてみませんか?
そのワンアクションが、将来の「損した!」を防ぐ最初の一歩になりますよ。
源泉徴収票を確認したあとは、その金額をもとに「確定申告が必要かどうか」を判断することになります。とくに年収178万円前後の場合は、申告不要・必要の分かれ目になりやすいため注意が必要です。具体的な判断基準は、以下の記事で整理しています。
👉 関連ガイド
→ 2026年版|確定申告と178万円の壁の判断ポイント









