日本経済新聞 今日の日付(2025年11月4日月曜日)朝刊春秋の要約と登山用語
今日の日本経済新聞朝刊「春秋」で取り上げられていたのは、登山家 田部井淳子さんの言葉を通して山の文化と厳しさを語る内容でした。
登山家らが口にする「ピーカン」という言葉がある。もとは映画のロケ撮影で「快晴」を意味する業界用語。やがて〝山の隠語〟にもなったのだ。一方の「シャリバテ」はご飯(シャリ)を食べず空腹で力が出なくなることを指すという(田部井淳子著「山の単語帳」)。
▼女性として世界初のエベレスト登頂に7大陸の最高峰を制した田部井さん。「エベレストも裏山も一緒」が口癖だった。どんな山も登山の楽しさは準備あってこそ、の思いだろう。
この記事では、このコラムにも出てきた山の隠語や、田部井さんが大切にされていた「準備」というキーワードから、登山初心者やこれから山に挑戦したい女性が知っておきたい「山の常識」と「安全な登山」のポイントを深掘りします。
🏔️ 山の文化を知る!基本の「山の隠語」
コラムで紹介された「ピーカン」や「シャリバテ」のように、登山には特有の言葉、いわゆる「隠語」があります。これらの言葉を知っておくと、ベテラン登山者の会話を理解でき、山への親近感もわきますよ。

🔎 検索キーワード:「山の隠語」「ピーカン 意味」「シャリバテ 対策」
| 山の隠語 | 一般的な意味 | 補足・使用例 |
| ピーカン | 快晴、雲ひとつない晴天 | 「今日はピーカンだね!絶好の登山日和」と、良い天気を喜ぶ時に使われます。 |
| シャリバテ | 著しい空腹による体力の消耗 | 「シャリ(ご飯)」を「バテ(力尽きる)」で、低血糖による脱力や疲労のこと。遭難の原因にもなります。 |
| 一本立てる | 休憩する、一休みする | コラムにも出てきた言葉。「ちょっと一本立てて、おやつにしよう」といった使い方で、無理せず休むことは安全のためにとても重要です。 |
| デポ | 荷物を一時的に置いていくこと | 「デポ」はもともと「貯蔵」の意味。テント場や山小屋に大きな荷物を一時的に置いて、身軽になって頂上を目指す際などに使います。 |
| マキ | 食料や行動食のこと | 非常食や行動食のことを指します。「マキが少なくなってきたから、次は多めに持って行こう」など。 |
| テン場 | テントを張る場所、キャンプ指定地 | 「テント場所」の略。山小屋の周辺などに設定されたテント泊専用の場所です。 |
🥾 田部井淳子さんが語る「エベレストも裏山も一緒」の意味
偉大な登山家である田部井さんが口にしていたという「エベレストも裏山も一緒」という言葉は、「どんな山でも準備が大切」という教えに繋がります。
| 💡 準備の心得 | なぜそれが大切なの? | 具体的な対策・行動 |
| 体力づくり | 登山は思った以上に全身運動。特に下りは足腰に負担がかかります。 | ウォーキング、スクワットなどで足腰を鍛え、登る山の標高差を意識したトレーニングをしましょう。 |
| 情報収集 | 山の気象は変わりやすく、道も整備されていない場合があります。 | 登山口の最新情報、天気予報、コースタイム、危険箇所を必ず確認。特に季節や時間帯によって難易度が大きく変わります。 |
| 装備の用意 | 命を守るための装備は、保険と同じ。ケチるべきではありません。 | レインウェア(防寒着代わりにもなる)、ヘッドライト(必須)、登山靴、地図とコンパスなど、山の環境に適したものを揃えましょう。 |
| 食料・水分 | シャリバテや脱水症状を防ぐために、計画的に摂取する必要があります。 | 摂取しやすい行動食(飴、チョコレート、ゼリーなど)と、十分な量の水分をザックの取り出しやすい場所に用意します。 |
🚫 遭難を防ぐ!富士山から学ぶ「閉山中の入山」の危険性
コラムでは、閉山中の富士山への立ち入りが増えているという懸念が示されていました。富士山のような名峰は、季節によって全く異なる表情を見せます。

1.閉山中の山は「初級」ではない
田部井さんが11月の富士山で訓練をしていたというエピソードが示すように、閉山後の富士山は冬山であり、非常に厳しい環境です。
- 救護所の閉鎖: 登山道が通行禁止になっている間は、山小屋や救護所も閉まっています。万が一の事故の際に、すぐに助けを求めることができません。
- 危険な気象条件: 標高が高いため、夏場でも気温が急降下しますが、冬期は一気に氷点下になり、強風、吹雪、凍結に見舞われます。滑落や凍死の危険性が高まります。
- 「手ぶら登山」の悲劇: コラムにあったように、観光気分で軽装で入山し、遭難するケースも少なくありません。景色がきれいでも、山は常に危険と隣り合わせです。
2.山に登る前の最低限のルールと行動
山は個人の自由な行動が尊重されますが、同時に「自己責任」が強く問われます。安全を確保するために、これだけは守りたいルールです。

| 守るべきルール | 具体的な行動 | 目的と重要性 |
| 登山届の提出 | 登山口のポストやオンラインで、必ず登山届を提出する。 | 遭難時に、捜索隊がコースや予定を把握し、早期発見に繋げるため。山に入る者の義務です。 |
| 無理をしない | 疲労を感じたら「一本立てる(休憩する)」、天候が悪化したら引き返す勇気を持つ。 | 遭難の多くは「あと少し」という無理や判断の遅れが原因です。命を守るため、登山を中止することも選択肢です。 |
| 計画の遵守 | 事前に立てた行動計画(タイムテーブル)を守る。 | 日没前に下山を完了させるため。山の中で道に迷うのは、疲労と暗闇が重なる夕方が多いです。 |
| 山のルール | コース外を歩かない、ゴミは持ち帰る、山でのあいさつを忘れない。 | 環境保全のため、また遭難や異変に気づいてもらうためのコミュニケーションです。 |
🌸 まとめ:「山を楽しむ」ための心構え
田部井淳子さんは、晩年、がん闘病中に被災地の高校生たちと富士登山を続けました。彼女は無理せず途中で休憩し、若者たちを送り出すことで、「一本立てる」という山の隠語の意味、すなわち「自分のペースを守り、限界を知る」という山のルールを身をもって示しました。

登山を楽しむためのチェックリスト
- 知識を身につける: 山の隠語や文化を知り、山への理解を深める。
- 準備を怠らない: 装備、体力、情報収集。特に「装備は命綱」と心得ること。
- ルールを守る: 登山届の提出、悪天候での引き返し、閉山中の危険な場所への立ち入りの禁止。
山は私たちに素晴らしい景色と感動を与えてくれますが、同時に厳しさも持っています。山を長く、安全に楽しむためには、常に謙虚な気持ちで「準備と無理をしない勇気」を大切にしましょう。









