この記事の3行まとめ
- Anthropicは2026年10月26日にIPOを申請。ティッカーは「ANT」、Nasdaq上場予定
- 書類に日本での公募の記載はあるが、国内証券会社の個人向け取り扱いは10月27日時点で確認できず
- 上場日と公開価格は未確定。新NISAでのIPO申込も証券会社の発表待ち
Anthropic(アンソロピック)が2026年10月26日、米国でIPO(新規株式公開)を正式に申請しました。申請書類には日本でも公募を行うと書かれていますが、日本の個人投資家がSBI証券や楽天証券などから申し込めるかどうかは、2026年10月27日時点では分かっていません。
「日本で公募」と「個人が申し込める」は別の話です。この記事では、SEC(米国証券取引委員会)の書類と公式発表を確認し、今決まっていること、まだ決まっていないこと、これから確認すべき発表を整理します。
アンソロピックがIPO申請!現在何が決まっている?

まず事実を並べます。基準日は2026年10月27日です。Anthropicの公式発表とSECに出された書類(Form S-1)で確認できたものと、確認できなかったものを分けました。
| 項目 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| IPO申請日 | 2026年10月26日にForm S-1を提出 | 正式決定 |
| 上場予定市場 | Nasdaq Global Select Market | 正式決定(上場申請中) |
| ティッカー | 「ANT」 | 正式決定(予定) |
| 売り出す株式 | Class A普通株式 | 正式決定 |
| 引受証券会社 | Goldman Sachs、Morgan Stanleyなど多数。Mizuho Securities USA、MUFG Securities Americasも名を連ねる | 正式決定 |
| 上場日 | 書類に記載なし。11月中旬とする報道もあるが公式ではない | 未確定・報道上の観測 |
| 公開価格・株数 | 価格帯も株数も空欄(「未定」と明記) | 未確定 |
| 調達額・時価総額 | 数字は書類にない。巨額になるとの観測報道のみ | 報道上の観測 |
上場日も公開価格も、今は誰にも確定できません。 今後提出される修正書類(S-1/A)で価格帯と株数が出て初めて、具体的な話ができます。
「申請」と「上場」は別物
IPO申請は、上場の準備が表に出た段階です。SECの審査や価格の決定を経て、初めて売買が始まります。私は最初、申請の翌日にでも申し込めるのかと思っていましたが、実際はここから数週間のプロセスがあります。
日本の主な論点は3つ
読者が気にしているのは次の3点でしょう。日本の公募は個人に開かれるのか、どの証券会社が窓口になるのか、NISAは使えるのか。以降の章で順に答えます。
アンソロピック株は日本の個人投資家でも買える?

結論から言うと、上場後に市場で買う道は開かれる見込みですが、IPOの抽選・配分に参加できるかは別です。
「日本でも公募」の意味
S-1には、この募集が米国のほかオーストラリア、カナダ、EEAの一部、日本、スイス、英国での公募を含むと書かれています。同時に、これらの国で株式を上場する予定はないとも書かれています。
つまり日本での公募は、日本の法令に沿って株を売るための枠組みです。ただ、その枠を機関投資家向けにだけ使うのか、個人投資家にも配るのかは、書類から読み取れません。
機関投資家向けと個人向けの違い
IPOの株は、まず年金や運用会社などの機関投資家が大きな割合を引き受けます。個人投資家向けは、証券会社ごとに用意される小さな配分枠です。米国の引受団に日本の金融機関グループが入っても、日本の個人に株が回ってくる保証はありません。
抽選に外れても買える?
IPOの配分に当たらなくても、上場後は通常の米国株と同じく、取扱いのある証券会社から買えるはずです。ただし初日は値動きが大きくなりやすく、IPO価格より高い値段で買うことになる可能性もあります。
投資を始めたばかりで迷っている人は、当サイトの投資を始めるのは本当に遅い?今から大丈夫な理由とロードマップも読んでみてね。
みずほ・MUFG幹事入り!SBI・楽天証券の取り扱いは?

S-1の引受団の一覧には、「Mizuho Securities USA LLC」と「MUFG Securities Americas Inc.」が載っています。ただしこれは米国にある子会社の名前で、日本のみずほ証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券がそのまま日本の個人に売ると決まった話ではありません。
5社の取り扱い状況(2026年10月27日時点)
私が確認できた範囲では、国内5社のいずれからもAnthropic IPOの個人向け取り扱い発表は見つかりませんでした。
| 証券会社 | 取扱発表 | 個人向けIPO申込 | NISA対応 | 確認先 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| みずほ証券 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 公式サイトのお知らせ、担当者 | 米国子会社の引受参加と国内販売は別 |
| 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 公式サイトのお知らせ、担当者 | 同上 |
| SBI証券 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 外国株式のIPO案内ページ | 過去案件の条件は今回に当てはまらない |
| 楽天証券 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 米国株式IPOの案内ページ | 同上 |
| マネックス証券 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 未発表・未確認 | 米国株式の案内ページ | 同上 |
過去の案件から断定してはいけない
他の米国IPOでは、国内のネット証券が需要申告を受け付けた例があったと報じられています。しかしその条件(円で払えるか、ドルのみか、申込期間は何時間か)は案件ごとに違います。「前回できたから今回もできる」と書かれたブログを見かけても、公式発表が出るまでは確定情報として扱わないでください。
申込期間が短い可能性
米国IPOでは、公開価格が確定するタイミングに合わせて、日本側の申込が短時間で締め切られる場合があります。実際に取扱いが出たら、口座の準備と資金の用意を前もって済ませておくのが現実的です。
アンソロピックの上場日はいつ?公開価格はいくら?

確定していること・していないこと
S-1に上場日の記載はありません。公開価格の欄は空で、書類には「価格帯はまだ決定していない」旨があります。11月中旬の上場を予想する報道もありますが、これは公式な日程ではありません。
申請から上場までの一般的な流れ
一般的には、次の順に進みます。
- S-1の提出と公開(今回ここまで)
- SECからのコメントを受け、S-1/Aで内容を修正
- 価格帯と株数の発表、投資家向け説明(ロードショー)
- 需要を集めて公開価格を決定
- 取引所で売買開始
日本時間の取引開始と「初値」の違い
11月1日以降の米国は冬時間です。通常取引は現地の午前9時30分、日本時間の23時30分に始まります。ただしIPO銘柄は、通常の開始時刻に売買が成立するとは限りません。 最初の値段がつくまでに注文のマッチングに時間がかかり、日本時間の深夜から未明にずれ込む例があります。書類にはこの点の記載がないため、実際の時刻は当日にならないと分かりません。
公開価格は空欄でも必要資金は想像できる
1株の価格が決まっていないので正確には計算できませんが、目安は作れます。仮に1ドル150円として、1株50ドルなら7,500円、100ドルなら15,000円、200ドルなら30,000円です。これはあくまで計算例で、実際の価格を予想したものではありません。
アンソロピック株は新NISAで買える?

ここは混同しやすいので、3つに分けます。
米国株をNISAで買うことと、IPOをNISAで申し込むことは別
米国の上場株は、新NISAの成長投資枠で買えるのが一般的です。しかしこれは「上場後に市場で買う」場合の話です。AnthropicのIPO株をNISA口座で申し込めるかは、各証券会社が決める事項で、今は未発表です。
上場後の購入と証券会社の条件
上場後は、取扱銘柄に追加されるかどうかを確認する必要があります。大手ネット証券は米国株の主要銘柄を広く扱いますが、新規上場銘柄の追加の時期は会社ごとに異なります。口座の画面でティッカー「ANT」が検索できるか確認してください。
配当課税と為替の注意
S-1の配当方針には、当面は現金配当を出す予定はなく、稼いだお金は事業の成長に回すと書かれています。ですから配当目当ての株ではありません。一般論として、米国株の配当には現地で課税され、NISA口座では日本側の税の軽減があっても、米国で引かれた分は戻りにくいとされています。為替の面では、円からドルに替える際の手数料と、為替レート変動の影響を受けます。
為替の見方に不安がある人は、ドル円153円台の円高はなぜ?レートチェックの意味・NISA・電気代までやさしく解説も参考にしてみてね。
Anthropicの売上14倍、807億ドル赤字の理由とは?
SEC書類の数字を確認してみた
S-1にある2026年1〜6月(上半期)の数字を、前年同期と並べてみました。
| 項目 | 2025年上半期 | 2026年上半期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11億6,300万ドル | 162億8,600万ドル |
| 計算・インフラ費用 | 23億3,400万ドル | 89億4,500万ドル |
| 営業損失 | 21億3,500万ドル | 6億9,300万ドル |
| 転換社債などの評価損 | 109億ドル | 724億ドル |
| 純損失 | 約130億ドル | 807億ドル |
私が電卓代わりにPythonで計算してみると、売上は16,286÷1,163で約14.0倍でした。売上に対する計算費用は、2,334÷1,163で約200.7%から、8,945÷16,286で約54.9%へ下がっています。営業損失も2,135百万ドルから693百万ドルへ約67.5%縮みました。
807億ドルの赤字の中身
純損失807億ドルのうち、約724億ドルは「転換社債などの公正価値の変動」という会計上の評価損です。 約89.6%を占めます。企業の評価額が上がると、将来株に変わる権利のある社債の価値も上がり、その分が損失として計上されます。現金が出ていったわけではありません。
ただし「評価損だから問題ない」とは言えません。評価損を除いても、純損失は約84億ドル残ります。さらにS-1には、上半期の営業活動によるキャッシュフローが約39億ドルのプラスと書かれている一方で、データセンター投資などで今後も現金の出が増える見通しも書かれています。営業損失(会計上の本業の損益)と営業キャッシュフロー(実際の現金の出入り)は別物なので、混ぜないよう気をつけてください。
売上比較で気をつけること
他社との売上比較の記事には、四半期の売上、年換算の売上、ARR(年間経常収益)が混ざっているものがあります。今回、私はAnthropicの上半期売上162億8,600万ドルだけをS-1で確認したので、他社の数字は並べません。
IPO株を購入する前に知っておきたいリスク
値動きとインフラ費用
IPO直後は、上昇も下落も大きくなりがちです。また、S-1は巨額の計算資源への投資を続ける方針を示しており、今後も現金の出が増える可能性があると明記しています。
競争と規制
AI分野は競争が激しく、価格競争や技術の変化で業績が左右されます。FTC(米連邦取引委員会)については、S-1に2026年10月に民事調査要求(CID)を受けたと書かれています。結果次第では事業の進め方に影響する可能性があると、会社自身が書いています。
議決権とガバナンス
一般の株主が持つのはClass A株です。創業者7人が組織するFounder LLCのClass F株は議決権の50.1%を持ち、独立信託のLTBTが持つClass T株は取締役の過半数を選ぶ権限を持ちます。株を持っていても、経営への影響力は創業者や信託とは大きく違います。 会社は「支配会社」にあたるとも書いています。
未公開株詐欺への注意
金融庁は、未公開株や新規公開株の勧誘で「上場確実」「必ず儲かる」といった文句が典型だと注意しています。金融庁のページにAnthropicの名前は出てきません。Anthropicを名乗る詐欺が増えていると断言できる一次情報は、私は確認できませんでした。 ただ、話題の大型IPOは便乗されやすいので、正規の証券会社以外からの勧誘には近づかないでください。
株の持ち方や売却の判断で迷う人は、新NISA乗り換え問題をスッキリ解決!特定口座の銘柄を売るべきかも参考にしてね。
まとめ|日本の個人投資家が今確認すべきこと
今できること、まだできないこと
今できるのは、証券口座の準備と、S-1の内容の確認です。まだできないのは、日本からIPO抽選に申し込むことです。取扱いの発表がないためです。
今後確認すべき発表
- S-1/Aで出る価格帯と株数
- 正式な上場日
- 国内5社の取り扱いと、NISA・決済通貨の条件
- 引受団の追加書類
判断は自分で
この記事は投資を勧めるものではありません。 損をする可能性もあります。数字や条件は変わるので、最新の公式発表を見て、自分で判断してください。
よくある質問

Q. 日本人でも買えますか?
上場後は取扱いのある証券会社から買える見込みです。ただしIPOの配分に参加できるかは、国内の取り扱い発表待ちです。
Q. いつ上場しますか?
上場日は公式には発表されていません。S-1は2026年10月26日に提出されましたが、日程の記載はありません。
Q. SBI証券から申し込めますか?
2026年10月27日時点で、取り扱いの発表は確認できませんでした。SBI証券の案内ページでの発表を待ちましょう。
Q. 楽天証券で買えますか?
こちらも取り扱いの発表は確認できていません。上場後に市場で買える可能性はありますが、取扱開始の案内を確認してください。
Q. 新NISAで購入できますか?
上場後の購入は成長投資枠で買えるのが一般的です。IPOへの申込がNISA対応かは、証券会社の発表を待つ必要があります。
Q. 最低何株から購入できますか?
最低株数は公開価格や各社の条件で変わります。現時点では価格も条件も出ていません。
Q. IPOに落選したらどうする?
上場後に市場で買う方法があります。ただし初日は値動きが大きくなりやすいので、慌てず条件を確認しましょう。
Q. みずほ・MUFGが幹事なら日本で買えますか?
引受団に入っているのは米国の子会社です。日本の個人への配分があるかは、国内の発表で確認が必要です。
Q. 売上14倍なのに赤字なのはなぜですか?
純損失の大部分は評価損です。ただし評価損を除いても損失は残り、投資負担も大きい点に注意が必要です。
Q. 「上場前に買える」という勧誘は信じていいですか?
正規の証券会社以外の勧誘は近づかないでください。金融庁も未公開株の勧誘に注意を呼びかけています。
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参考・出典
- Anthropic「Anthropic files S-1 with the SEC for proposed initial public offering」
https://www.anthropic.com/news/s1-sec - 米国証券取引委員会(SEC)「Anthropic, PBC Form S-1(2026年10月26日提出)」
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2130357/000162828026067168/anthropicpbc-sx1.htm - 金融庁「投資詐欺等に関する注意喚起」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html
※本記事の情報は2026年10月27日時点のものです。内容は予告なく変更されることがあります。投資の判断は、最新の公式発表を確認のうえ、必要に応じて専門家や各証券会社にご相談ください。
