📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- 2026年4月13日から、外食業への「特定技能」外国人の新規受け入れが停止。制度開始以来初めての措置。
- 磯丸水産など大手チェーンが営業時間短縮を検討するなど、現場への影響は深刻。
- 私たちの生活にも外食の値上げや営業時間縮小という形で影響が出てくる可能性がある。
近所の居酒屋が「営業時間を短縮します」と貼り紙をしていた。
行きつけのランチ店が「スタッフ募集中」の張り紙をずっと外せないでいる。
そういう光景、最近増えていませんか?
その背景に、ある制度変更がひっそりと関係しているかもしれません。
2026年4月13日、政府は外食業界への「特定技能」外国人の新規受け入れを停止しました。
ニュースで見た、という方も多いかもしれないけれど、「自分の生活にどう影響するの?」というところまで調べた方は少ないのでは?
今日はそこを一緒に、丁寧に整理していきたいと思います。

「特定技能」って何?外食を支えてきた制度の正体
2019年に始まった在留資格の仕組み
「特定技能」という言葉、聞いたことはあっても詳しくは知らない……という方、きっと多いはず。
簡単に言うと、人手不足の業種で外国人が働けるようにした在留資格のことです。
2019年に制度がスタートし、現在は外食業・建設・介護・農業など19の分野で活用されています。
普通の就労ビザに比べると取得しやすく、一定の試験をパスすれば比較的スムーズに在留できる仕組みになっています。
外国籍の方がレストランでテキパキ働いていたり、チェーン店のホールを担当していたりする光景——それが「特定技能」の外国人材である可能性が高いです。
外食業界にとって「なくてはならない存在」だった理由
外食業はもともと、日本人の採用が難しい業種のひとつです。
深夜や早朝のシフト、土日の拘束、体力勝負の仕事内容……。
他の業種に比べると、「割に合わない」と感じる日本人が多く、人手不足が慢性化していました。
そこに2020年以降のコロナ禍があり、一度人材が離れると戻ってこない状況に。
コロナ明けからはインバウンド(訪日外国人)の急増もあって、飲食店の需要は急回復したのに、働き手が全然足りないという状態が続いていました。
そんな業界を支えてきたのが、特定技能の外国人材だったのです。
コンビニや飲食チェーンで外国籍のスタッフを見かける機会が増えたのは、こういう背景があります。
5万人の壁——なぜ今、停止になったのか
実は、特定技能には分野ごとに「何人まで受け入れる」という上限が設けられています。
外食業の場合、2024年度から2028年度末までの5年間で5万人というのが上限でした。
ところが、コロナ明けの需要回復で採用ニーズが一気に高まり、想定より遥かに早いスピードで人材が増えていきました。
2026年2月末時点での在留者数は約4万6,000人。
このままいけば5月頃には上限の5万人を超えてしまう——。
そう判断した農林水産省と出入国在留管理庁が、2026年4月13日以降の新規受け入れを停止する方針を発表しました。
2019年に制度が始まって以来、外食業でこのような長期の停止が起きるのはこれが初めてのことです。
停止で何が起きる?居酒屋チェーンが感じた「衝撃」

磯丸水産が営業時間短縮を検討している背景
「磯丸水産」といえば、24時間営業が売りの海鮮居酒屋チェーンとして知られています。
その磯丸水産を展開するSFPホールディングスが、今回の特定技能停止を受けて「営業時間の短縮や出店計画の見直しを視野に入れている」と明らかにしました。
実はSFPホールディングスでは、特定技能の外国人材が全従業員の約4割を占めているとのこと。
それだけ依存度が高いと、新規採用ができなくなった影響は相当大きいはず。
「人が入らないなら、店を開けられる時間を短くするしかない」——現場の苦しさが伝わってきます。
採用計画が崩れた外食チェーンの現場
外食業というのは、半年〜1年先を見越して採用を組み立てる産業です。
「来月この店舗を新規オープンするから、今から採用を始めよう」というスケジュールで動いています。
ところが今回、3月27日の発表から4月13日の停止まで、わずか2週間ほどしか猶予がありませんでした。
準備を進めていた企業ほど、「急に話が変わった」という感覚は大きかったはず。
出店予定の店舗を開けられない、シフトが回らない、既存店の営業継続も難しくなる——そういう波紋が、今も業界の中に広がっています。
売上は好調なのに…人手不足という矛盾
業界団体のデータを見ると、2026年に入っても外食全体の売上は前年比で100%超が続いています。
つまり、需要側はまだまだ活発なのです。
お客さんは外食したがっている。なのに、働き手が足りなくて営業を絞らなければいけない——。
この「売上好調なのに経営が苦しい」という矛盾が、今の外食業界の実情です。
実は今も「採用できる」抜け道がある

国内転職ルートと技能実習移行というルート
「じゃあ、もう外国人を採用できないの?」という疑問を持った方も多いと思います。
実は全面停止ではなく、いくつかの例外ルートが残されています。
まず、すでに外食業の特定技能1号として国内で働いている外国人が転職する場合。
この「同業種内の転職」については、引き続き審査対象となります。
つまり、今いる特定技能の人材を引き抜くことは可能ということ。
もうひとつは、技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了して特定技能に移行するケース。
こちらは優先的に処理される扱いになっています。
例外措置はどんな場合に認められる?
いくつかの条件を満たせば例外として審査される場合もあります。
たとえば、すでに「特定活動(特定技能1号移行準備)」の許可を受けている外国人が、特定技能1号に変更する場合はその対象になります。
ただし、これらの例外ルートはあくまでも限定的なもの。
新たに海外から呼び寄せるルートや、留学生を特定技能に切り替えるルートは、原則として止まっています。
技能測定試験の予約手続きも当面停止されており、「これから目指そう」という人への道も閉じられている状態です。
2027年施行の「育成就労制度」とは何か
政府は2027年4月1日の施行を目指して、「育成就労制度」という新たな仕組みを進めています。
これは従来の技能実習制度に代わるもので、外国人材を「即戦力として使う」ではなく「育てながら定着させる」という考え方が根底にあります。
ただし、これはすぐに人手不足を解消してくれる即効薬ではなく、中長期的な制度の再編として位置づけるべきものです。
「今すぐ人が欲しい」外食業界にとっては、少し先の話になってしまうのが現実です。
日本の社会制度がこれからどう変わっていくのか、引き続き注目しておく必要がありそうです。
社会の変化については、こちらの記事でも振り返っています。 → 2025年 10大ニュース|昭和100年の節目を振り返る
私たちの外食体験はどう変わるのか

価格への転嫁は避けられないのか
「外食の値段、また上がるの?」と心配している方も多いと思います。
残念ながら、その可能性は十分にあります。
特定技能が止まったことで、外食業が日本人を採用しようとすれば、賃上げや待遇改善が必要になってきます。
そのコスト増は、どこかで吸収しなければなりません。
材料費やエネルギー費の上昇はすでに続いていて、経営の余裕はギリギリ。
そこにさらに人件費の上昇が重なれば、価格への転嫁——つまり値上げ——という選択を迫られる飲食店は増えるでしょう。
「なんか最近、外食が高くなった気がする」というのは、気のせいではないかもしれません。
営業時間短縮・休業日増加という選択肢
値上げと並んで、「店の時間を絞る」という対応も増えそうです。
深夜帯の営業をやめる、週に1日休むようにする、ランチのみに絞る——。
こうした判断をする飲食店が、今後じわじわと増えていく可能性があります。
「気に入っているお店が、行けない時間に閉まるようになった」という経験、すでにしている方もいるかもしれません。
家計への影響が気になる場合は、電気代などの光熱費と合わせて生活コスト全体を見直してみるのもひとつの方法です。
電気代の節約については、こちらの記事が参考になります。 → 電気代が高い今、やってはいけない節約と本当に効果がある対策

制度の「ズレ」が可視化した日本社会の課題
他の19分野との上限格差——なぜ外食だけが据え置きだったのか
実は2024年3月、政府は特定技能全体の受け入れ見込み数を今後5年間で約82万人に拡大する方針を閣議決定しています。
造船や建設など多くの分野で上限が大きく引き上げられました。
ところが外食業だけは、制度創設時の5万人のまま据え置かれていたのです。
コロナ後に外食業界がいかに急速に外国人材を必要としていたか、その現実が制度の想定を大きく超えてしまいました。
「制度と現場のズレ」——今回の停止は、その矛盾を一気に表面化させたとも言えます。
地方の外食現場が受けるダメージ
上限の管理は全国一律で行われているため、都市部と地方で同じ制約がかかっています。
でも実際には、都市部の外食業者が先行して人材を確保してきた分、地方の飲食店にしわ寄せが来やすい構造になっています。
「これから受け入れを増やそうとしていたのに、スタート時点で止められた」という地方の飲食店も少なくありません。
人手不足が都市より深刻な地域ほど、影響を受けやすいというのは、なんとも皮肉な現実です。
私たちに求められる「外食への目線」の変化
この問題を通じて見えてくるのは、「安くて、いつでも、どこでも食べられる外食」が当たり前ではない、ということかもしれません。
居酒屋でも定食屋でも、スタッフの方々が丁寧に料理を運んでくれて、笑顔で対応してくれる——その裏側には、人を集め、育て、繋ぎ止める経営者の努力があります。
今回の特定技能停止は、その「努力のコスト」を改めて私たちに問いかけているような気がします。
特定技能の停止が解除されるには、政府が上限数を引き上げる閣議決定が必要です。
日本フードサービス協会は政府に対して受け入れ枠の拡大を申し入れると表明しており、今後の動きが注目されます。
外食業界の先行きを関心を持って見守りながら、ちょっとだけ「食べることの背景」にも目を向けてみてほしいな、と思います。
コストを見直すヒントという観点では、こちらの記事もあわせてどうぞ。 → 電気代はいつまで高い?2026年以降も高値が続く理由と今後の見通し
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よくある質問
Q. 今すでに働いている外国人スタッフは解雇されるの?
A. 今回の措置は「新規受け入れの停止」であり、すでに在留している特定技能の外国人はそのまま働き続けられます。在留期間の更新も通常通り可能です。急に職を失うということはありません。
Q. 停止はいつ解除されるの?
A. 解除には政府が上限数を引き上げる閣議決定が必要です。日本フードサービス協会が受け入れ枠の拡大を政府に申し入れると表明していますが、具体的なスケジュールは現時点では未定です。
Q. 外食が値上がりするのは確定なの?
A. 確定ではありませんが、人件費の上昇分をどこかで吸収しなければならないため、値上げに踏み切る店舗が増える可能性は十分にあります。材料費・エネルギー費の上昇と重なることで、価格転嫁の圧力は高まっています。
Q. 他の分野(介護・農業など)も同じように停止になるの?
A. 今回停止したのは外食業だけです。ただし同じ特定技能制度を使っている分野は19あり、需要の変化によっては他の分野でも同様のことが起きる可能性はゼロではありません。各分野の動向を注視する必要があります。
Q. 「育成就労制度」が始まったら問題は解決する?
A. 2027年4月施行予定の育成就労制度は、外国人材を「育てながら長く働いてもらう」ことを目的とした仕組みです。ただし即効薬ではなく、制度が軌道に乗るまでには時間がかかります。短期的な人手不足の解消には直結しない可能性が高いです。
まとめ
2026年4月13日、外食業への「特定技能」外国人の新規受け入れが停止されました。
これは2019年の制度創設以来、初めてのことです。
直接のきっかけは、外食業の在留者数が上限の5万人に近づいたことですが、背景にはコロナ後の需要急回復と、更新されなかった上限数という「制度と現実のズレ」があります。
磯丸水産をはじめ、多くの外食チェーンが営業時間の短縮や出店計画の見直しを余儀なくされています。
私たちの生活への影響という観点では、外食の値上げや営業時間の縮小という形で、じわじわと実感する場面が増えてくるかもしれません。
「安くていつでも食べられる外食」が当たり前でなくなりつつある今、食を支える人たちへの目線も少しずつ変わっていくことが求められているのかもしれません。











