📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- W杯2026の全試合の約4分の1は、熱中症リスクが高い環境下で行われると予測されている
- 日本代表のモンテレイ戦は屋外会場のため、猛暑が選手のパフォーマンスに直結する
- 今大会のCO2排出量は日本人約100万人の1年分——スポーツと環境問題は無関係じゃない
いよいよサッカーワールドカップ2026が開幕しますね。
史上最強とも言われる今の日本代表。グループFの突破から、その先のベスト8へ——そんな期待を胸に開幕を待ちわびている方も多いはず。
でも最近、あるニュースを読んで、ちょっと立ち止まって考えてしまいました。
今大会には、実は「猛暑と気候変動」という見えないリスクが静かに忍び込んでいるんです。
選手たちの華やかな活躍の裏で、何が起きているのか。知っておいて損はない話だと思うので、今日はそのあたりをまとめてみます。

試合の4分の1が「厳しい暑さ」の中で行われる現実

暑さ指数(WBGT)って何?
熱中症のリスクを測る指標に「暑さ指数(WBGT)」というものがあります。
気温だけでなく、湿度・風速・熱放射を組み合わせて算出するもので、体感温度をより正確に表す数値です。
- WBGTが28℃以上:国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が「プレーは危険」と位置づける水準
- WBGTが32℃以上:FIFA(国際サッカー連盟)の試合延期判断基準
この「2つの基準の差」が、今大会をめぐる議論の核心にあります。
全104試合のうち何試合が「危険ゾーン」に?
欧米の気候学者たちによる国際研究チームが今年発表した分析によると、今大会の全104試合のうち、約4分の1がWBGT26℃以上という厳しい環境下で行われると予測されています。
さらにそのなかの5試合は、FIFPROが「プレーは危険」とする28℃以上に達する見込みです。
この数字、実は32年前の1994年にアメリカで開催されたW杯と比べると約2倍に増えているんです。
人為的な気候変動の影響が、スポーツの現場にまで忍び込んできているわけですね。
1994年大会と比較すると何が変わった?
1994年のアメリカ大会は、当時も暑さが話題になった大会でした。
でも今回は開催規模も拡大して参加国が32から48に増え、そのうえ地球の気温そのものが上がっている。
「暑かった大会」の記憶がある人ほど、今大会の深刻さは想像以上かもしれません。
日本代表の試合会場、ダラスとモンテレイで何が起きる?

ダラスのスタジアムは空調完備——でも
日本代表が第1戦を戦うアメリカ・テキサス州ダラスのスタジアムは、開閉式の屋根と空調システムが完備されています。
気温35℃近い猛暑が予想されるテキサスですが、室内での試合となるため、選手のパフォーマンスへの直接的な影響は比較的抑えられそうです。
ひとまず安心——と言いたいところですが、話はそれだけじゃありません。
屋外スタジアムのモンテレイが最大のリスク
問題は第2戦、メキシコ・モンテレイです。
チュニジアと戦うこの試合の会場「エスタディオBBVA」は、屋根も空調もない完全な屋外スタジアム。
気候の専門家たちの分析では、このモンテレイの会場が今大会で「熱中症リスクが最も高い会場の一つ」として名指しで指摘されています。6月のメキシコ北部は、WBGTが28℃を超える可能性がある時期です。
ちなみに、日本代表がどんな条件でグループFを突破できるのかについてはこちらの記事が詳しいです。
→ 日本代表はグループFを突破できる?突破確率72%と鍵のチュニジア戦を解説
連戦疲労+猛暑という二重の試練
W杯のグループリーグは、中4〜5日で3試合をこなすハードなスケジュールです。
第1戦から疲労が蓄積した状態で、第2戦は屋外の猛暑と戦わなくてはならない。
アフリカ出身の選手が多いチュニジアは、こうした高温環境に体が慣れていると言われています。日本代表にとって、暑さ対策は戦術以上の課題になるかもしれません。
FIFAの対策は十分なのか?

選手会の基準とFIFAの基準に大きなギャップ
気になるのが、試合延期の判断基準の違いです。
- FIFPRO(国際プロサッカー選手会)の推奨基準:WBGT28℃
- FIFAの試合延期基準:WBGT32℃
この差は、決して小さくありません。
FIFPROが「危険」と言う水準でも、FIFAのルール上は試合が行われてしまう可能性があるということです。
選手の安全を第一に考えるなら、もう少し基準を見直せないのかな、と率直に思います。
選手だけじゃない——審判・ファン・ボランティアへの影響も
高温環境での健康リスクを負うのは、選手だけではありません。
ピッチの上で走り続ける審判、スタンドで声を上げるファン、大会を支えるボランティアスタッフ——現地に関わるすべての人が、同じ暑さにさらされます。
特に屋外会場では、熱中症対策が不十分なまま長時間過ごすリスクが高まります。観戦に現地へ向かう方は、水分補給と日差し対策を念入りに準備してほしいと思います。
「試合延期」はどんな条件で起きる?
FIFA規則では、WBGT32℃に達した場合、試合を延期または時間帯を変更できるとされています。
ただし、判断はその都度の現地状況をもとに行われるため、実際にどう運用されるのかは大会が始まってみないとわかりません。
今大会の観戦については、放送・配信の準備も早めにしておくといいですね。
→ 【2026年W杯】ワールドカップ放送はどうなる?無料テレビ・DAZN配信・時差とスマホ対策まとめ
「CO2排出量は日本人100万人の1年分」——大会と環境問題

今大会の温暖化ガス排出量はどれくらい?
英国のメディアによると、今大会の温暖化ガスの総排出量は、控えめに見積もっても約900万トンのCO2相当に達すると予測されています。
これは、平均的な日本人が1年間で排出するCO2の約100万人分に相当します。
「大きなイベントだからしょうがない」と思いたくなりますが、その数字を聞くと、さすがに少し立ち止まってしまいます。
参加国拡大で飛行機移動が爆増した背景
排出量の大部分を占めるのが、人々の移動——特に飛行機です。
今大会は参加国が32から48に増え、しかもアメリカ・カナダ・メキシコという広大な3カ国にまたがって試合が行われます。
都市間の移動手段がほぼ飛行機に限られる中、選手・スタッフ・ファン・メディア関係者が大勢移動することになります。飛行機による排出量は過去4大会の平均の4倍以上になるという試算もあります。
サウジアラムコがスポンサーという矛盾
もうひとつ気になるのが、今大会の最上位スポンサーです。
サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコが最上位スポンサーに就いています。同社は1965年以降の全世界の温暖化ガス排出量の約4%を単独で排出してきたと言われる企業です。
FIFAは国連の「スポーツを通じた気候行動枠組み」に署名し、2030年までに排出量を半減、2040年までに実質ゼロにするという目標を掲げています。
でも、そのFIFAが化石燃料企業を最上位スポンサーに置くというのは、言葉と行動の間に大きな矛盾があるように感じてしまいます。
スポーツ界全体が模索する「持続可能な大会のかたち」

五輪はどんな環境対応をしている?
国際スポーツ界では今、「サステナブルな大会」をどう実現するかという議論が活発になっています。
オリンピックでは、競技会場へのアクセスに公共交通機関を積極的に活用したり、大会で使うエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えたりする取り組みが進められています。
また、新しく施設を建てるより既存の施設を活用する方針が広まりつつあり、大会の「カーボンフットプリント」を意識する動きは確実に強まっています。
2030年大会はどうなる?
次の2030年大会は、モロッコ・ポルトガル・スペインの3カ国共催が決まっています。
今大会に比べると移動距離は縮まりますが、やはり複数国にまたがる広域開催は続きます。
FIFAの姿勢がすぐに変わるとは思えませんが、世論や選手・ファンからの声が少しずつ変化を促していくことを期待したいと思います。
私たちファンにできること
遠く離れた日本にいる私たちにできることは、決して多くはないかもしれません。
でも、こうした現実を「知る」こと、「議論する」こと——それだけでも、意味があると思います。
選手の活躍を心から応援しながら、その背景にある問題にも目を向ける。そんなW杯の楽しみ方も、あっていいんじゃないかな、と感じます。
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Q&A
Q. 「暑さ指数(WBGT)」と普通の気温はどう違うの?
A. 気温は空気の温度だけを測りますが、WBGTは湿度・風・日射も加味した体感ベースの指標です。湿度が高い日は同じ気温でも体感が大きく上がるため、熱中症リスクの評価により適しています。
Q. 日本代表の試合で「試合延期」になることはある?
A. FIFAの基準ではWBGT32℃を超えた場合に試合の延期・時間変更が可能とされています。ダラスは屋内スタジアムなので問題は少ないですが、屋外のモンテレイは可能性がゼロではありません。
Q. CO2排出量900万トンというのは多いの?
A. 日本人1人が1年間に排出するCO2は約9トンとされているので、900万トンは約100万人分に相当します。1つのスポーツイベントとしては非常に大きな数字です。
Q. FIFAは環境対策をしていないの?
A. スタジアムでの再生可能エネルギー活用など一部の対策は施されています。ただし、広域開催による移動排出量の増大やスポンサーの選定方法については批判も多く、対策が十分かどうかは議論が続いています。
Q. 選手の熱中症リスクに対して何か対策はある?
A. FIFAはウォーターブレイクの設置や医療スタッフの増員など一定の対策を用意しています。ただし試合延期の判断基準が32℃と高めに設定されているため、選手団体からはより厳しい基準を求める声も上がっています。
Q. 来年以降の大会で改善される見込みはある?
A. 国際スポーツ界全体でサステナビリティへの意識は高まっており、長期的には改善される可能性があります。2030年大会は欧州・アフリカ中心の開催で移動距離は縮まる見込みです。ただし根本的な構造変化にはFIFAの方針転換が必要で、まだ時間がかかりそうです。
Q. 日本のファンができることは何かある?
A. まずは「知ること」「話すこと」が第一歩です。大会の楽しさと課題を同時に見つめることで、スポーツと環境の未来についての議論が少しずつ広がっていきます。
Q. 選手会(FIFPRO)はどんな立場をとっている?
A. FIFPROはWBGT28℃以上での試合に対して延期を推奨するという明確な立場を表明しており、FIFAの基準(32℃)との差についても改善を求めています。選手の安全を最優先した姿勢は、ファンからも支持されています。
Q. 今大会でサウジアラムコがスポンサーについていることへの反応は?
A. 国際メディアや環境団体からは「グリーンウォッシュ(見せかけの環境対応)ではないか」という批判が出ています。FIFAが環境目標を掲げながら化石燃料企業を最上位スポンサーに置くことへの矛盾を指摘する声は国際的に広がっています。
Q. 試合を見ながら環境問題を考えるなんて難しくない?
A. 難しく考えなくていいと思います。日本代表の試合に熱狂しながら、「そういえばモンテレイの暑さ大丈夫かな」と頭の片隅に置いておくだけでも十分。知っているか知らないかで、見え方が変わってきますよ。
まとめ
今日お伝えしたことを整理するとこうなります。
- 今大会の全試合の約4分の1は、熱中症リスクが高い環境下で行われる
- 日本代表のモンテレイ戦は、屋外会場での猛暑リスクに特に注意が必要
- FIFAの試合延期基準と選手会の推奨基準には大きなギャップがある
- 今大会の温暖化ガス排出量は、日本人約100万人の1年分に相当する試算
- スポーツ界全体でサステナブルな大会づくりへの模索が続いている
選手たちの活躍を目一杯応援しながら、その裏にあるリスクや課題にも少しだけ目を向けてみる。
それが、スポーツをもっと深く楽しむことにもつながると思います。
日本代表、暑さに負けずがんばれ!
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