この記事の3行まとめ
- インドカレー店が消えるという噂は、すべての店に一律に当てはまる話ではありません
- 影響が大きいのは「経営・管理」ビザで営業する店主で、資本金要件は500万円から3,000万円へ引き上げ。既存店には2028年10月16日までの経過措置があります
- 永住者・日本人配偶者などが経営する店や、厨房の技能ビザのコックさんは今回の基準の対象外です
「え、あの大きなナンとカレーのお店がなくなるかもしれないの?」
テレビやSNSで「インドカレー店が消える」という話を見て、正直ちょっとびっくりした。近所のインドカレー店、ランチによく行くあのお店も、もしかしてなくなっちゃうの?って。
でも調べてみると、すべてのお店が一斉に消えるという話ではありませんでした。
先に結論を言うね。すべてのインドカレー店が消えるわけではないよ。新しい基準が直接関わってくるのは、主に「経営・管理」という在留資格でお店を経営している外国人の方たち。しかも今すでに営業しているお店には、いきなり基準を満たせなくても大丈夫な「経過措置」の期間が用意されているから、直ちに全店が閉店するわけじゃないの。
ただし、正直に言うと、この基準に対応するのが難しい小規模なお店は、これから数年の間に閉店したり、お店を誰かに譲ったりする道を選ばざるを得なくなる可能性はある。だから今日は、「つまり私たちの近所のカレー店はどうなるの?」を軸に、私が調べて分かったことを整理していくね。
インドカレー店が消えると言われているのはなぜ?

まず「なぜ今、こんなに話題になっているのか」から整理していくね。私も最初は「え、いつの間にそんな話に?」って思ったんだけど、理由は大きく2つある。
経営・管理ビザの基準が大きく変わった
外国人が日本でお店を経営したり、会社の経営に携わったりするために必要な在留資格を「経営・管理」というの。この在留資格の許可基準を定めた省令が、2025年10月16日に改正・施行された。
私は最初「省令」って言葉だけでピンとこなかったんだけど、簡単に言うと「このお店を経営していいですよ、という許可を出すための国のルール」だと思ってもらえればOK。このルールが、これまでよりぐっと厳しくなったの。
資本金500万円から3000万円へ引き上げ
一番大きな変化が、お店や会社を経営するために必要な「事業の規模」の基準。これまでは資本金(会社を作るときに用意するお金)が500万円以上あれば、この条件はクリアできた。
それが新しい基準では3,000万円以上に引き上げられた。500万円から3,000万円だから、単純計算で6倍。私はこの数字を見て「え、6倍!?」って声が出ちゃった。しかも以前は「資本金500万円」か「常勤の職員を2人雇う」かのどちらかを満たせばよかったのに、今は両方に近い条件を同時に満たさないといけなくなっている。
物価高や光熱費の上昇も重なっている
そしてこれ、意外と見落とされがちなんだけど、ビザの基準が厳しくなったタイミングと、原材料費や光熱費が上がっているタイミングがちょうど重なってる。スパイスや小麦粉、食用油、チーズなどの乳製品の仕入れ値、それにお店のガス代・電気代も、ここ数年でじわじわ上がってきているよね。
つまり「制度が厳しくなったから」という理由だけじゃなくて、「経営そのものが以前より大変になっている」という背景も一緒に重なっているの。この記事では、この2つを分けて考えていくね。
すべてのインドカレー店が閉店するわけではない

ここ、今日いちばん伝えたいところ。「外国人が経営しているお店だから、みんな今回のルールの対象」というのは、実は誤解なの。
新基準の影響を受けるのはどんな店?
今回の新しい基準が直接関わってくるのは、「経営・管理」という在留資格を使ってお店を経営している外国人の方たち。具体的には、
- これから新しく経営・管理ビザを取って開業しようとしている外国人
- 留学など別の在留資格から経営・管理ビザに切り替えようとしている人
- すでに経営・管理ビザでお店を営業している既存の店主
こういった方たちが対象になる。逆にいうと、この在留資格を使っていないお店には、そもそも今回のルールは関係がないの。
永住者や日本人の配偶者が経営する店は対象外
これ、私が調べていて「あ、そうだったんだ」と思ったポイント。日本には「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」という在留資格を持っている方や、日本国籍を取得した帰化者、それに日本人のオーナーがいる。
これらの方たちがお店を経営している場合、今回の経営・管理ビザの基準は関係がないの。永住権を持っていたり、日本人と結婚していたりする方は、日本での就労や事業に法律上の制限がほとんどなくて、これまでどおり自分の資金で小さなお店を開いて経営を続けられる。
つまり「外国人が経営しているお店=すべて資本金3,000万円が必要」というわけではまったくない、ということ。お店の見た目や店主の国籍だけで「このお店も危ない」と判断するのは、正直ちょっと早すぎるかなと思う。
厨房で働くコックの技能ビザとは別の話
もうひとつ大事なのが、お店で腕をふるっているコックさんの在留資格。多くのインド・ネパール料理店では、厨房でカレーやナンを作っている方が「技能」という在留資格を持っていることが多い。
この「技能」ビザと、お店を経営する人が持つ「経営・管理」ビザは、まったく別の制度。だから今回の基準見直しは、経営する人側のルールが変わったという話であって、厨房で働くコックさんの在留資格そのものに直接影響するものではないの。
ちなみに、お店の店主がどの在留資格を持っているかは、私たちお客さん側から見た目や雰囲気で判断できるものじゃない。だから「このお店は大丈夫かな」と店員さんに直接ビザの種類を聞いたりするのは、あまりおすすめしないよ。プライベートなことだしね。
経営管理ビザは何が変わった?新旧基準を比較

じゃあ具体的に、何がどう変わったのかを表で整理してみるね。
| 比較項目 | 改正前(〜2025年10月15日) | 改正後(2025年10月16日〜) |
|---|---|---|
| 事業規模 | 資本金500万円以上、または常勤職員2名雇用のどちらか | 事業用財産3,000万円以上(選択制は廃止) |
| 常勤職員の雇用 | 資本金要件を満たせば雇用は不要 | 常勤職員1名以上の雇用が必須 |
| 経営者の学歴・経験 | 特に問われない | 関連分野の学位、または3年以上の経営実務経験 |
| 日本語能力 | 明確な基準なし | 一定水準の日本語能力が求められる |
| 事業計画書 | 自分で作成すればよい | 税理士・公認会計士など専門家の確認が必要 |
事業規模は500万円から3000万円へ
さっきも書いたけど、ここが一番のインパクト。以前は資本金か雇用人数のどちらかを満たせばよかったのが、今は事業規模の要件そのものが3,000万円まで引き上げられている。
常勤職員1人の雇用も必要に
しかも、資本金3,000万円を用意すれば雇用は不要、というわけでもない。新基準では常勤職員を1名以上雇うことも同時に求められる。ここで大事なのが、この常勤職員には日本人や永住者などの方をあてる必要があって、厨房で働く技能ビザのコックさんはこの人数にカウントできないという点。
日本語能力や経営経験も審査対象
以前は特に問われていなかった経営者本人の日本語能力や、経営・管理の実務経験、学歴なども審査の対象に加わった。「お金さえあれば経営できる」という時代から、「経営者としての実力もあわせて見る」という方向に変わったイメージかな。
個人事業主は何を3000万円として数える?
私も最初「法人じゃないお店はどうなるの?」と気になったんだけど、法人化していない個人事業主の場合、そもそも「資本金」という概念がない。だから代わりに「事業のために使われる財産の総額」が3,000万円以上あるかどうかで判断される。
具体的には、お店を借りるときの保証金や敷金、内装工事にかかった費用、厨房の設備費、雇う職員の1年分の給与、それに仕入れや運転資金として実際に使われているお金などを合計して見ていく、というイメージ。法人か個人かで数え方は違うけれど、求められる規模感はどちらも大きく変わらない、ということになる。
資本金の引き上げ幅と雇用コストを実際に計算してみた
数字だけだとピンとこなかったので、私は電卓アプリで実際に計算してみた。
まず資本金の差額。3,000万円から500万円を引くと2,500万円。3,000万円÷500万円で6倍。私が想像していたよりずっと大きい差だった。
次に、常勤職員を1人雇うコスト。仮に年収300万円で1人雇うとすると、会社が負担する社会保険料をおおよそ15%として計算すると、300万円×0.15=45万円。給与と合わせると年間345万円。これを5年分にすると345万円×5=1,725万円になる。
つまり資本金2,500万円の上乗せに加えて、5年間で1,725万円くらいの新しい人件費負担が重なってくる計算になる。私はこの数字を並べてみて、「小さなお店にとって、これは相当に大きな壁だな」と実感した。
既存店にはいつまで猶予がある?

「じゃあ、今すでに営業しているお店はすぐに閉店させられちゃうの?」って、これが一番気になるところだよね。私も最初そこが心配だった。
既存の経営者には経過措置がある
安心してほしいのが、施行日である2025年10月16日からすでに経営・管理ビザで営業している既存の店主には、3年間の経過措置(猶予期間)が設けられているということ。この期間は2028年10月16日まで続く予定になっている。
この経過措置の間は、新しい基準を完全に満たしていないということだけを理由にして、いきなり在留期間の更新が不許可になることはない、という運用方針が示されている。
猶予中でも必ず更新できるわけではない
ただし、経過措置があるからといって「何もしなくても自動的に3年間は安泰」というわけではないの。ここ、けっこう大事なポイント。
猶予期間中の更新審査でも、お店の売上や実際の経営実態、税金や社会保険料をきちんと納めているか、労働に関するルールを守っているかといった点は、これまで以上にしっかり確認される。もし税金や社会保険料の滞納があったり、事業の実態が見えなかったりすると、経過措置の期間中であっても更新が認められないケースは起こりうる。
本当の分岐点は2028年以降
私が調べていて感じたのは、今すぐの一斉閉店よりも、本当の分岐点は2028年10月の経過措置終了後にありそう、ということ。猶予が終わったあとの更新では、原則として新しい基準への対応が求められるようになる。
ただ、それでも「2028年になった瞬間に一律で強制的に閉店させられる」と決めつけるのは、ちょっと言い過ぎかなと思う。経営状況が良好で、税金もきちんと納めていて、これから新しい基準に近づいていける見込みがある場合には、個別の事情を含めて総合的に判断される余地があるとされているから。「絶対」ではなく「厳しくなる可能性が高い」くらいの温度感で受け止めておくのがいいと思う。
なぜインド・ネパール料理店への打撃が大きいの?
ここまで読んで「じゃあなんでインドカレー店ばかりがこんなに話題になるの?」と思った人もいるかもしれない。私も同じ疑問を持ったので、背景を調べてみたよ。
家族経営と低価格ランチで成り立つ店が多い
日本にあるインド・ネパール料理店、いわゆる「インネパ店」と呼ばれるお店は、家族や親戚同士で経営している小規模なお店がとても多い。使われなくなった喫茶店や居酒屋の物件をそのまま活用して開業するケースも多くて、比較的少ない資金でスタートできる業態として広がってきた歴史がある。
しかもランチは800円〜1,000円くらいの手頃な価格で、ナンやライスのおかわり自由をウリにしているお店が多い。つまり「薄利多売」で成り立っているビジネスモデルなの。
常勤職員の雇用は年間の固定費を増やす
そういうお店にとって、新しく常勤職員を1人雇うというのは、想像以上に大きな負担になる。正社員として法律どおりに雇うと、給料だけでなく社会保険料の会社負担分も発生するから、年間で見るとそれなりの固定費が新しく発生することになる。ギリギリの利益でやりくりしてきたお店にとって、これは軽くない金額だと思う。
スパイスや小麦粉、光熱費も値上がりしている
さらに、さっきも触れたとおり、スパイスや小麦粉、食用油、チーズなどの原材料費、それにガス代や電気代も上がってきている。制度の変更だけでなく、こうした経営環境の悪化が同時に進んでいることが、インド・ネパール料理店への打撃を大きく見せている要因だと思う。
ここで大事にしたいのが、「外国人経営者だから」とひとまとめにして考えないこと。今回のような基準見直しの背景には、実態のない会社を作って在留資格だけを取得するといった不正な利用への対策という側面があったことも、公平のために触れておきたい。制度を厳しくした側にも理由があって、それによって影響を受ける真面目に営業してきたお店もある、という両方の事実を見ていく必要があると思う。
私たちの近所のカレー店はこれからどうなる?

じゃあ結局、私たちがよく行くあのお店はどうなっていくのか。ここからは今後起こりそうな変化について、私なりに整理してみるね。
値上げやナン食べ放題の見直しが進む可能性
まず現実的に一番起こりやすいのが、価格の見直し。原材料費や光熱費が上がっている以上、これまでの「ナンおかわり無料」を維持し続けるのは正直厳しくなってきていると思う。「1枚までは無料、それ以上は追加料金」というスタイルに変わっていくお店が増えても、私は不思議じゃないと感じている。
地方や郊外の小規模店ほど影響を受けやすい
大都市の繁華街と違って、地方や郊外のロードサイド店は、客数や客単価をそこまで大きく上げられない事情がある。3,000万円規模の事業資金や、年間で数百万円規模になる常勤雇用のコストを吸収するのは、こうした立地のお店ほど難しくなりやすい。だから撤退が先に表面化するとすれば、地方や郊外の独立店からになる可能性が高いんじゃないかな、と感じている。
本格的な郷土料理に特化する店も
一方で、前向きな変化もあると思う。均一化された北インド風のカレーとナンだけじゃなくて、ネパールの定食「ダルバート」や、スパイスの炊き込みご飯「ビリヤニ」、南インドの「ミールス」など、専門性の高い郷土料理に特化していくお店も増えてきている。単価は少し上がるかもしれないけれど、「あの店でしか食べられない味」という強みを持つお店は、これからも選ばれていくと思う。
インドカレー店が消えるという噂についてよくある質問

Q. 近所のインドカレー店はすぐに閉店するの?
すぐに全部閉店するわけではありません。すでに営業しているお店には2028年10月16日までの経過措置があり、新基準を満たしていないというだけの理由で直ちに閉店に追い込まれるわけではないためです。
Q. 永住者が経営している店にも3000万円が必要なの?
原則として必要ありません。永住者や日本人の配偶者等、定住者、帰化した方、日本人経営者には、経営・管理ビザの基準そのものが適用されないためです。
Q. インド人やネパール人のコックさんも帰国することになるの?
コックさんの多くが持つ「技能」ビザは、今回見直された「経営・管理」ビザとは別の制度です。お店が適法に経営を続けている限り、直接的な影響を受けるものではありません。
Q. 2028年になると全店が一斉に閉店するの?
一律に強制閉店するとは限りません。経過措置終了後も、経営状況が良好で納税等がきちんとされていれば、個別の事情を含めて総合的に判断される余地があるとされています。
Q. 日本人を社長にすれば、お店を続けられるの?
出資や実際の経営権を外国人が持ったまま、形だけ日本人に代表を変える方法は「名義貸し」とみなされるおそれがあり、安易に行うべきではありません。発覚した場合は在留資格上・法律上、重い問題につながる可能性があります。
Q. なぜネパール人が経営するカレー屋がこんなに多いの?
以前は資本金500万円という比較的達成しやすい基準で開業できたことや、母国から調理師を招きやすかったことなどが背景にあるとされています。歴史的な経緯の積み重ねによるものです。
Q. 個人事業主でも資本金3000万円が必要なの?
個人事業主には資本金という概念がないため、代わりに事業のために使われている財産の総額が3,000万円以上あるかどうかで判断されます。
Q. 値上げはいつから始まるの?
一律の時期が決まっているわけではありません。原材料費や光熱費の高騰、人件費の負担増を背景に、各お店が個別のタイミングで価格を見直していく形になると考えられます。
Q. ナン食べ放題のサービスはなくなってしまうの?
すべてのお店で一斉になくなるわけではありませんが、原材料費の高騰を背景に、条件を見直すお店が増えていく可能性はあります。
Q. 報道された店主の事例は、資本金の基準だけが原因だったの?
詳しい不許可理由は、公表されている情報だけでは確認できません。報道では地域住民らの署名活動などが伝えられていますが、個別の審査の詳細な事情までは分かっていない点に注意が必要です。
まとめ|すぐ全滅ではないけれど、小さな店には厳しい変化
最後に、今日話したことを整理するね。
- すべてのインドカレー店が消えるわけではない
- 影響の大きさは、店主が持っている在留資格によって変わる
- すでに営業しているお店には2028年10月16日までの経過措置がある
- ただし小規模なお店にとって、資金と雇用の負担は決して軽くない
- 物価高や人件費の上昇も同時に進んでいる
- お気に入りのお店があるなら、営業している今のうちに、いつもどおり食べに行くこと自体が、ひとつの応援になると思う
大きなナンを前にして「これ、食べきれるかな」と笑える近所のお店。そんな日常の風景が、これからも残ってくれたらいいなと思います。
おすすめアイテム
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参考・出典
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html - 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf - NHK総合「所さん!事件ですよ」(インドカレーの店が消える?!をテーマにした特集回。2026年9月12日放送予定)
※本記事の情報は執筆時点のものです。制度の詳細や個別の在留資格の判断については、最新の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて行政書士など専門家にご相談ください。
