📌 この記事が30秒でわかる!3行まとめ
- ナフサは石油から作られる化学原料で、プラスチック・医療品・肥料など日常品のほぼすべての素材の出発点
- 日本はナフサの多くを中東に依存しており、ホルムズ海峡の情勢次第で幅広い産業に影響が出る可能性がある
- アメリカや中国はエタンや石炭由来の代替技術を活用しているが、日本はインフラ整備が遅れているのが現状
キッチンのラップフィルム、シャンプーのボトル、スマホカバー。
毎日当たり前のように使っているこれらのものが、実は「ナフサ」という原料なしには作れないって、知っていた?
ニュースで「ナフサ不足」という言葉を見かけるようになって、気になって調べてみたら、思った以上に私たちの生活と深くつながっていて、正直ちょっと驚いてしまった。
難しい話は抜きにして、できるだけわかりやすく整理してみるね。

ナフサって、そもそも何者?
石油からできる「万能素材の原料」
ナフサは、石油を精製するときに生まれる液体の一種。
ガソリンや灯油を作るのと同じプロセスの中で、ちょうど中間くらいの温度帯で取り出される成分のこと。
無色透明でさらっとしていて、においはちょっとシンナーに似ている感じ。これ単体では特に何かに使えるわけじゃないんだけど、これを分解・加工すると、とても多様な化学素材の「もと」になる。
そのため「石油化学産業の基礎原料」と呼ばれていて、産業の世界では欠かせない存在なんだ。
プラスチックも肥料もナフサから生まれる
ナフサを高温で分解すると、エチレン・プロピレンといった物質が生まれる。
この2つが、いわゆる「石油化学製品」のほぼすべての出発点になっていて、そこからさらに加工されてプラスチック、ゴム、合成繊維、塗料、洗剤、肥料、医薬品の原料……と、どんどん枝分かれしていく。
つまり、
- ペットボトルやタッパー → ナフサ由来
- 衣類に使われるポリエステル → ナフサ由来
- 農作物を育てる化学肥料 → ナフサ由来
- 病院で使われる医療器具 → ナフサ由来
こうして並べると、「ほぼ全部じゃないか」と思えてくる。
実際、ある調査によると、主要な石油化学メーカーを頂点としてサプライチェーンを分析すると、全国で数万社規模の企業が影響を受けるとも試算されている。食品・医療・住宅・日用品……業種を問わず広がっているのがよくわかる。
日本はどこからナフサを買っているの?
日本が使うナフサの多くは、中東の産油国から輸入されている。
サウジアラビア、UAE、クウェートといった国々が主な輸入先で、その割合は全体のかなり大きな比率を占めている。
これは原油と同じ構造で、日本のエネルギーや化学産業が中東に大きく依存しているということでもある。
もちろん、韓国やインドなどアジアの製油所から輸入するケースもあるけれど、その製油所自体が中東産の原油を使っている場合も多いから、間接的な依存という意味では変わらない面もある。
なぜ今、ナフサが注目されているの?

中東情勢と日本のエネルギー事情
2025年から2026年にかけて、中東情勢の緊張が続いている。
イランをめぐる問題が表面化したことで、ペルシャ湾の出口にあたる「ホルムズ海峡」の通行が難しくなっている。
ホルムズ海峡は、幅がいちばん狭いところで約50キロほどしかない小さな海峡。でも、世界で1日に取引される原油の約2割がここを通過するという、エネルギーの流れにとっての「のど元」にあたる場所。
ここが使えなくなると、中東から日本へ向かう原油・ナフサ・LNG(液化天然ガス)のルートが断たれてしまう。
ホルムズ海峡の機雷封鎖と日本への影響については、こちらの記事でも詳しくまとめているよ。 → ホルムズ海峡が機雷で封鎖中!日本のガソリン代・物価への影響はどうなる?
備蓄があるから「すぐには」困らない
じゃあ、今すぐナフサがなくなるの? というと、そういうわけではない。
日本には国家備蓄と民間備蓄のしくみがあって、原油・石油製品についてはある程度の量を蓄えている。政府が「ただちに供給が滞ることはない」と説明するのも、この備蓄があるから。
ただし、「備蓄がある」と「ずっと大丈夫」は別の話。
封鎖が長期化すれば、備蓄は少しずつ減っていく。並行して輸入先を切り替えたり、新しい調達ルートを開拓したりしないと、じわじわと厳しくなっていく。
もし供給が本当に止まったら何が起きる?
ナフサの供給が滞ると、石油化学メーカーが製品を作れなくなる。
その先にあるのは、プラスチック製品の出荷制限や値上げ、工場のライン停止、場合によっては医療用品や食品包材の不足にもつながりかねない。
「車が動かせない」というガソリン不足とはまた違う種類の困り方で、気づいたら日常の至るところで「あれが買えない」「これが手に入らない」という状態になる——そんなシナリオが懸念されている。
世界の「ナフサ離れ」が進んでいる理由

アメリカはシェール革命で方向転換した
実は、日本以外の国では少しずつ「ナフサ一択」から抜け出す動きが進んでいる。
その背景にあるのが、アメリカの「シェール革命」。
2000年代半ばから、アメリカでは岩盤の地層に閉じ込められた天然ガスを大量に採掘できる技術が実用化された。このシェールガスの中に「エタン」という物質が豊富に含まれていて、これがナフサの代わりにエチレンを作る原料として使える。
しかもエタンは、ナフサよりもエチレンに変換できる効率が高い。
アメリカの石油化学産業はこのエタンを活用するようになり、中東のナフサに頼らなくてよくなった。それどころか、余ったエチレンやエタンを他国に輸出するまでになっている。
中国はエタン輸入と石炭活用で備えている
中国は石油輸入の多くを中東に頼っているという点では日本と似た構造を持っている。
ただ、違うのはその「備え」の厚さ。
中国はアメリカから大量のエタンを輸入して、石油化学製品の原料として活用している。おもしろいことに、米中間でいろんな対立があっても、エタン取引だけは例外的に継続されてきた経緯がある。アメリカにとってはエタンが売れる、中国にとっては原料が手に入る——双方にとって利益があるからだ。
さらに中国は、石炭からオレフィン(プラスチックの原料となる化学物質)を製造する技術も実用化している。ラップフィルムやタッパーのふた、ペットボトルのキャップなどに使われる素材が、石炭から作れるわけだ。
複数の「引き出し」を持っておくことで、特定の原料に依存しすぎないようにしている。
日本はインフラ整備が課題
「じゃあ日本もエタンを輸入すればいいじゃないか」という話になるんだけど、そう簡単ではない。
エタンは常温では気体。輸送するには冷やして液化させる必要があり、それに対応した専用の大型船(VLEC)、受け入れ港湾、貯蔵タンク、パイプラインといったインフラが必要になる。
日本では長年、ナフサを使う設備がすでに整っていたこともあって、エタン受け入れのインフラはほとんど整備されてこなかった。「今の設備で困っていないのに、なぜ投資するの?」という判断が続いた結果でもある。
なお、信越化学工業はアメリカでのエタン活用に1990年代から取り組んでいて、エタン系の製品については一定の耐性を持っているとされる。これは日本企業の中では例外的なケースといえる。
私たちの日常生活への影響は?

食品包材・医療品・日用品……すべてつながっている
ナフサが足りないということは、具体的にどんな商品に影響が出るんだろう。
整理してみると、こんな感じ。
- 食品系:ラップフィルム、ペットボトル、パックのトレー
- 日用品:シャンプーボトル、洗剤の容器、マスク、ゴム手袋
- 医療系:点滴バッグ、注射器、カテーテル、医療チューブ
- 住宅・建材:壁紙、断熱材、塗料、接着剤
- 農業:農薬、化学肥料、農業用フィルム
これだけ幅広いから、「一部の工業品に影響が出る」というより、「日常のほぼすべてに波及する」という表現のほうが近い。
値上げが続く背景にある「見えないコスト」
すでに一部の建材メーカーや化学品メーカーから、値上げや出荷調整の動きが出始めているという報道もある。
でも、これは「ナフサが高いから値上げ」という単純な話ではなく、原料調達の不確実性が高まることでコスト計算ができなくなり、企業が慎重になる——という連鎖が起きている。
ガソリン価格の動きと家計への影響については、こちらの記事も参考にしてみてね。 → 【速報解説】ホルムズ海峡封鎖でガソリン値上げはいつから?価格反映の時期と家計への影響・備蓄の真実
原油やナフサの問題は、ガソリンだけでなく電気代・ガス代にも波及する。エネルギーコストが上がると、企業の生産コストも上がり、最終的に商品価格に転嫁される。
私たちが感じている「なんとなく何もかも高い」という感覚の背景には、こういう見えないところでのコスト上昇がある。
日本はこれからどう動く?
輸入先の多様化が急がれる
一番の短期的な対策は、ナフサの調達先を中東以外に広げること。
東南アジアやオーストラリアの製油所、アフリカの産油国など、選択肢は0ではない。ただ、品質・量・コストの面でまったく同じ条件にはならないことが多く、「すぐに全量を切り替えられる」わけではない。
輸送ルートの問題もある。ホルムズ海峡を使わない「喜望峰回り」のルートもあるけれど、日数がかかる分コストが上がる。それでも代替ルートとして活用できる可能性は探られている。
再生可能エネルギーの普及も長期的な鍵
少し先の話になるけれど、化石燃料への依存を減らすには、再生可能エネルギーの普及が不可欠。
日本の再エネ発電比率は世界平均よりまだ低い水準にある。デンマークやノルウェーなどは発電の80〜90%が再エネ。ドイツも50%を超えている。日本はここをもっと伸ばしていく必要がある。
「太陽光パネルが中国製だから」という理由で足踏みしてしまうより、エネルギー自給率を高めるという視点で前に進んでいくことが、長い目で見ると大事になってくる。
また、原子力発電の稼働状況も引き続き注目ポイント。電力の安定供給という意味では、複数の選択肢を組み合わせていくことが求められている。
2026年の電気代の見通しについては、こちらの記事もチェックしてみてね。 → 電気代はいつまで高い?2026年以降も高値が続く理由と今後の見通し
日常でできることはある?
「国レベルの話は難しくてよくわからないけど、自分に何かできることはある?」と思う人もいるかも。
大きなアクションでなくても、
- 必要以上にプラスチック製品を買い過ぎない
- 繰り返し使えるものを選ぶ
- 電力の使い方を意識してみる
こういった小さな積み重ねが、エネルギー需要の安定につながっていく。
ひとりひとりの行動が直接的に問題を解決するわけではないけれど、「知ること」と「意識を持つこと」から始まる変化は確実にある。
Q&A

Q. ナフサとガソリンは何が違うの?
A. どちらも石油を精製してできるものだけど、用途が違う。ガソリンは車の燃料として使われるのに対して、ナフサはプラスチックや化学製品の「原料の原料」として使われる。使い方がまったく異なる別々の製品だよ。
Q. ナフサが不足すると、最初に何が影響を受ける?
A. 石油化学メーカーが真っ先に影響を受けて、そこから食品包材・医療品・日用品など川下の産業に波及していく。ただし備蓄があるため、影響が出るまでには数週間〜数カ月のタイムラグがある。
Q. エタンってナフサの完全な代替品になるの?
A. エチレンを作るという用途では代替できる部分も多い。ただし、ナフサからは同時にプロピレンやブタジエンなど複数の化学物質が得られるため、エタンだけでは補えない用途も存在する。完全な代替ではなく「補完」という位置づけになる。
Q. 私たちが今すぐできる備えはある?
A. 過度な買いだめは逆効果になることもある。まずは情報を正確に把握しつつ、普段から「消費を見直す・繰り返し使えるものを選ぶ」という意識を持つことが、中長期的には合理的な備えになる。
まとめ
ナフサというと「工業の話でしょ」と思いがちだけど、調べてみると私たちの日常生活の至るところに深くつながっていることがわかった。
ラップフィルム、ペットボトル、洗剤の容器、薬の包み——これらすべてが、中東から来るナフサを出発点にして作られている。
日本は長年、エネルギーも化学原料も特定の地域や方法に頼りすぎてきた面がある。それはひとつのやり方として合理的だった時期もあったけれど、世界情勢が変わる中で、複数の「引き出し」を持つことの大切さが改めて問われている。
難しいことはたくさんある。でも、こういうことをちゃんと知って、自分なりに考えておくことは、決して無駄じゃないと思う。
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