この記事の3行まとめ
- 早稲田の強さは「1年生トリオ」「花田監督の育成方針」「全区間4位以内の層の厚さ」の3つ
- 全日本大学駅伝は5時間03分31秒の大会新で、2位に3分34秒差の圧勝
- 2027年1月2日・3日の箱根駅伝で、16年ぶりの三冠に挑む
早稲田大学の駅伝が強い理由は、入学直後から全国トップの走力をもつ1年生トリオ、花田勝彦監督の「圧倒的な個」を育てる考え方、そして全区間4位以内でまとめた上級生の安定感の3つがそろったからです。出雲駅伝(10月12日)と全日本大学駅伝(11月1日)を、どちらも大会新記録で制しました。
こんにちは、ちこです。全日本のレースを見ていた私は、正直「えっ、まだ4区なのに、もう勝負ついてない?」と声が出ました。この記事では、その強さの中身を、選手・監督・データの3つの方向から、できるだけやさしく整理します。
早稲田大学の駅伝はなぜ強い?2026年の強さを生んだ3つの理由
先に結論から言うと、強さの土台は「才能のある1年生」「育て方」「チームの層」の3つです。ひとつずつ短く説明しますね。
理由①:1年生トリオが入学直後から全国トップの走力を発揮している
本田桜二郎選手、増子陽太選手、新妻遼己選手の3人は、全日本大学駅伝の1区から3区を任されました。大学1年生が序盤の主要区間を3つ並べるのは、かなり思い切った起用です。
結果は、2区と3区で区間新記録。「令和の三羽烏」と呼ばれる理由が、数字ではっきり出ました。
理由②:花田監督の「圧倒的な個」を育てる考え方が競技力につながっている
花田監督は、駅伝で勝つことだけをゴールにしない指導で知られています。世界で戦える選手を育てる、という視点が、結果として駅伝の強さにつながっている。これは私の見方ですが、今季の早稲田を見ているとそう感じます。
理由③:工藤慎作ら上級生と中間層が安定していた
全日本の8区間で、早稲田に区間5位以下の選手は1人もいませんでした。派手な区間新の裏で、「崩れる区間がない」ことが一番大きな強みだったと思います。
2026年全日本大学駅伝の圧勝はどれほどすごかった?

まずは数字を見てみましょう。タイム差、区間新の数、そして区間ごとの中身を順番に確認します。
大会記録を3分16秒更新、2位に3分34秒差
早稲田大学のゴールタイムは5時間03分31秒。従来の大会記録は2022年の駒澤大学が出した5時間06分47秒だったので、3分16秒も縮めたことになります。2位は國學院大學の5時間07分05秒で、その差は3分34秒でした。
総距離は106.8kmです。1kmあたりの平均は約2分50秒5。これは私が計算した値で、あとで詳しく見ますね。
8区間中3区間で区間新、工藤慎作は日本人最高記録
区間別の結果は、早稲田大学競走部の公式発表を元にまとめるとこうなります。
| 区間 | 距離 | 選手(学年) | タイム | 区間順位 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1区 | 9.5km | 本田桜二郎(1年) | 27分47秒 | 2位 | |
| 2区 | 11.1km | 増子陽太(1年) | 30分51秒 | 1位 | 区間新 |
| 3区 | 11.9km | 新妻遼己(1年) | 32分45秒 | 1位 | 区間新 |
| 4区 | 11.8km | 小平敦之(4年) | 33分24秒 | 4位 | |
| 5区 | 12.4km | 鈴木琉胤(2年) | 34分31秒 | 1位 | 区間新 |
| 6区 | 12.8km | 堀野正太(2年) | 36分55秒 | 3位 | |
| 7区 | 17.6km | 山口竣平(3年) | 50分58秒 | 3位 | |
| 8区 | 19.7km | 工藤慎作(4年) | 56分20秒 | 1位 | 日本人最高記録 |
ひとつ注意点があります。増子選手の2区の区間1位は、帝京大学の楠岡由浩選手と同タイムです。単独の区間賞ではないので、そこは正確に書いておきますね。
8区の工藤選手は、2025年に自分で出した56分54秒を34秒更新して、日本人最高記録をマークしたと報じられています。
区間ごとの1kmペースを計算してみた
「すごい」と言われても、実感が湧きにくいですよね。そこで、公式の区間タイムを距離で割って、1kmあたりのペースをPythonで計算してみました。
- 1区:1,667秒÷9.5km=約2分55秒5
- 2区:1,851秒÷11.1km=約2分46秒8
- 3区:1,965秒÷11.9km=約2分45秒1
- 5区:2,071秒÷12.4km=約2分47秒0
- 8区:3,380秒÷19.7km=約2分51秒6
チーム全体では、18,211秒÷106.8km=約2分50秒5。2位の國學院大學は18,425秒÷106.8km=約2分52秒5なので、1kmあたり約2秒の差です。この2秒を106.8km続けた結果が、合計214秒(3分34秒)の差になりました。
2位のペースで換算すると、早稲田がゴールした時点で、國學院大學はまだ約1.24km後ろにいた計算です。
おもしろいのは、このペースをフルマラソン(42.195km)に置き換えた場合。約1時間59分55秒になります。もちろん駅伝は選手が交代するので、フルマラソンの記録とは別物です。それでも、私は「1kmを2分50秒で、8人がリレーして走り切る」という事実に驚きました。
早稲田の黄金の1年生トリオは誰?

「令和の三羽烏」と呼ばれる3人は、本田桜二郎選手、増子陽太選手、新妻遼己選手です。ここでは出身校と実績を表にまとめます。
本田桜二郎・増子陽太・新妻遼己のプロフィール
| 選手 | 出身高校 | 実績(報道で確認できたもの) | 全日本での役割 |
|---|---|---|---|
| 本田桜二郎 | 鳥取城北高校 | ロード1マイルで4分00秒2の日本新記録(高校時代と報じられた) | 1区・27分47秒(区間2位) |
| 増子陽太 | 学法石川高校 | 5000m 13分27秒26(高校時代)、2026年5月に13分20秒35 | 2区・30分51秒(区間1位・区間新) |
| 新妻遼己 | 西脇工業高校 | 5000m 13分35秒33(高校時代) | 3区・32分45秒(区間1位・区間新) |
調査時点は2026年11月2日です。5000mの記録は、報道で確認できたものだけを載せました。本田選手の5000mは、照合できる数字が見つからなかったため、あえて載せていません。
高校時代の才能は、ロードでどう生きたのか
3人に共通するのは、トラックのスピードが突き抜けていることです。5000mで13分台のタイムは、実業団の選手と比べても見劣りしません。
ただ、駅伝区間は10km前後。速いだけでなく、集団の中でペースを刻む力も必要です。ここは私の分析ですが、3人とも「速いのに、無理に飛ばしていない」印象でした。
たとえば1区の本田選手は、スローペースからのスパート合戦にも対応して、トップと2秒差の2位で2区へつなぎました。この「出遅れない1区」があったから、増子選手と新妻選手が気持ちよく走れたのだと思います。
なぜ1年生を序盤に3人並べられたのか
後ろに頼れる上級生がいたから、というのが私の見立てです。5区には鈴木琉胤選手、8区には工藤慎作選手が控えていました。
「多少うまくいかなくても、後ろが取り返してくれる」。そう思えるから、1年生は思い切って突っ込めます。起用のうまさというより、チームの厚みが生んだ配置だと感じました。
花田勝彦監督は何を変えた?早稲田復活を支える育成方針

花田監督の育成を、事実と私の分析に分けて見ていきます。
2022年の監督就任
花田勝彦監督は早稲田大学のOBで、現役時代はオリンピックにも出場した元ランナーです。2022年に駅伝監督へ就任しました。
当時の早稲田は、箱根駅伝でシード権争いにも巻き込まれる時期でした。そこから4年で出雲と全日本の2冠まで来たことになります。
「圧倒的な個」を育てるという考え方
花田監督は、チーム全体の底上げだけでなく、一人ひとりが世界を見据えて走ることを大切にしている、と各メディアで伝えられています。全日本の優勝後には、月刊陸上競技が「勝ち方を覚えてきたのが収穫」という趣旨のコメントを報じました。
ここから先は、私の分析です。「箱根が最終ゴール」ではなく「世界が目標で、駅伝は通過点」と考えると、区間賞も大会新も、目指す水準が自然と上がります。目標の置き方が、そのまま走りに出ているように見えます。
高校時代の才能を、大学で伸ばす環境
早稲田は、他大学のように学費免除などを前面に出す大量採用とは違う、と報じられています。スポーツ推薦では競技実績に加えて、学力面や小論文・面接も求められるという内容です。
そのため、自分で考えて練習を調整できる選手が集まりやすい、というのが私の想像です。ただし、練習の細かい中身や寮の日常まで、私が取材で確かめたわけではありません。ここは断定せずに、「そういう環境が想像できる」程度にとどめておきますね。
1年生だけではない!早稲田を支える主力選手
勝因を1年生だけに押しつけると、ちょっと不公平です。上級生と中間層の働きも、数字を見るとよくわかります。
工藤慎作と鈴木琉胤
工藤慎作選手(4年)は、最長19.7kmの8区を56分20秒で走り、区間1位でゴールしました。箱根駅伝では5区の山上りを担ってきた選手でもあり、「山の名探偵」という呼び名で親しまれています。
鈴木琉胤選手(2年)は5区で34分31秒。区間新記録をマークして、中盤で2位以下との差を一気に広げました。
山口竣平・小平敦之・堀野正太
山口竣平選手(3年)は最長級の7区を50分58秒、区間3位でまとめました。4区の小平敦之選手(4年)は33分24秒の区間4位。派手さはなくても、流れを止めない走りです。
6区の堀野正太選手(2年)も36分55秒で区間3位に入りました。
「全区間4位以内」が意味すること
ここで正確に整理しておきます。全日本の8区間を見ると、早稲田には区間5位以下の選手が1人もいませんでした。つまり「全区間で区間4位以内」です。
区間賞が4つ(増子選手の同タイムを含めて)あって、残る4区間も3位か4位。駅伝は1人の失敗で大きく順位が動くスポーツなので、この「穴のなさ」は数字以上に価値があると、私は思います。
2010年の三冠チームと2026年の早稲田はどう違う?

早稲田が前回、大学駅伝三冠を達成したのは2010年度です。当時のチームには、のちに日本のトップランナーになる大迫傑選手がいました。
2010年度の三冠と大迫傑選手
2010年度は、出雲、全日本、箱根のすべてを制した年でした。1年生だった大迫傑選手が活躍した点は、今季の1年生トリオと重なります。
全日本の優勝タイムは、記録では5時間13分02秒と伝えられています。ただ、同じ8区間・106.8kmでも、年によってコースの細かい条件は変わるので、単純な比較はおすすめしません。
2026年チームの選手層
今季の特徴は、「誰か1人に頼らない」ところです。8区間のうち4区間で区間1位、残りも3位か4位。エース1人が走るチームというより、全員がエース級というイメージに近いと感じました。
とはいえ、これは2026年の全日本1レースの結果です。「だから現代のほうが絶対に強い」と言い切るのは、早すぎると思います。
シューズや環境の違いも大きい
15年以上前と今では、シューズの技術も、トレーニングの考え方も変わりました。タイムの差をそのまま「実力の差」と受け取ると、不公平な比較になります。
ざっくり言うと、「当時の最強」と「今の最強」は、それぞれの時代の中で見るのがちょうどいい。私はそう考えています。
箱根駅伝そのものにまだなじみがない方は、こちらもあわせてどうぞ。三冠のうち箱根がなぜ特別なのかが、よくわかります。
2027年箱根駅伝で早稲田の三冠は実現する?

三冠の最後のピースは、2027年1月2日・3日の箱根駅伝です。ここからは公式の発表ではなく、あくまで私の予想です。
出雲・全日本と箱根の決定的な違い
距離を並べると、違いがよくわかります。
| 大会 | 区間数 | 総距離 | 早稲田の結果 |
|---|---|---|---|
| 出雲駅伝 | 6区間 | 45.1km | 2時間05分56秒で優勝 |
| 全日本大学駅伝 | 8区間 | 106.8km | 5時間03分31秒で優勝 |
| 箱根駅伝 | 10区間 | 217.1km | 2027年1月2日・3日 |
箱根は全日本の約2倍の距離で、主力10人ぶんの調子をそろえる必要があります。スピード勝負だった前半2戦より、アップダウンと20km超の区間をこなす力が問われます。
工藤慎作の5区適性と、6区山下りの重要性
2027年の正式な区間配置は、まだ発表されていません。そのうえで、5区の山上りに工藤選手を置ければ、大きな武器になるはずです。山上りの経験者がいる強みは、他校が簡単に真似できません。
一方で、直後の6区山下りが、予想では重要なポイントになります。5区で作ったリードをここで削られないことが、復路へつなぐ条件だと思います。
青山学院大学・國學院大學など、ライバルとの比較
出雲と全日本での主なライバルの順位をまとめると、こうなります。
| 大学 | 出雲 | 全日本 |
|---|---|---|
| 早稲田大学 | 1位 | 1位 |
| 國學院大學 | 2位 | 2位 |
| 創価大学 | 3位 | |
| 青山学院大学 | 11位 | 4位 |
| 駒澤大学 | 6位 | 6位 |
青山学院大学は出雲で11位でしたが、全日本では4位に上げました。箱根に強い大学なので、油断はできません。なお、昨季の青山学院大学のエースだった黒田朝日選手は、2026年3月に卒業しています。今季の戦力としては数えないほうが正確です。
10区間を走り抜く層の厚さ
箱根に出られるのは、16人のエントリーからの10人。1年生トリオ、工藤選手、鈴木選手、山口選手が中心になるのは間違いなさそうです。
ただ、冬は体調を崩しやすい時期。本番直前のけがや風邪で、予想が崩れることもあります。エントリーが出る12月の発表に注目したいと思います。
2027年箱根駅伝の優勝候補や最新の戦力比較はこちらで詳しくまとめています。
まとめ|早稲田の強さは偶然ではない
早稲田が強い理由は、3つの軸にまとめられます。
- 1年生トリオが、入学直後から全国トップの走力を見せたこと
- 花田監督が、世界を見据える「圧倒的な個」を育ててきたこと
- 工藤慎作選手らの上級生と中間層が、全区間4位以内で支えたこと
出雲での優勝は、まぐれではありませんでした。全日本の大会新記録が、それをはっきり裏づけた形です。
2冠のあとに待つのは、2027年1月2日・3日の箱根駅伝。16年ぶりの三冠を見られるのか、私もテレビの前で静かに応援したいと思います。
よくある質問

Q. 2026年の早稲田大学駅伝はなぜ強い?
1年生トリオの高い走力、花田勝彦監督の「圧倒的な個」を育てる考え方、上級生と中間層の安定感が重なったためです。全日本では全区間で区間4位以内に入りました。
Q. 早稲田の1年生トリオは誰?
本田桜二郎選手(鳥取城北)、増子陽太選手(学法石川)、新妻遼己選手(西脇工業)の3人です。全日本大学駅伝では1区から3区を走り、2区と3区で区間新記録を出しました。
Q. 花田勝彦監督はどんな指導をしている?
世界を見据えて走る「圧倒的な個」を育てる考え方で知られています。2022年に監督へ就任し、駅伝での勝利を、その先の成長の通過点にしていると報じられています。
Q. 工藤慎作は2027年箱根駅伝で何区を走る?
2027年の区間配置は正式には発表されていません。これまで5区の山上りを担ってきたため、私の予想では5区が有力ですが、12月のエントリー発表と当日の変更に注意が必要です。
Q. 早稲田は大学駅伝三冠を達成できる?
出雲と全日本を制した今季は、有力な候補のひとつです。ただし箱根は217.1kmで10人の力が必要です。山下りの6区や、直前の体調管理が三冠のカギになると予想しています。
Q. 早稲田が最後に三冠を達成したのはいつ?
2010年度です。この年は出雲、全日本、箱根のすべてを制しました。当時のチームには大迫傑選手もおり、2026年の三冠挑戦は16年ぶりのチャレンジになります。
Q. 全日本大学駅伝2026の優勝タイムは?
早稲田大学が5時間03分31秒の大会新記録で優勝しました。従来の大会記録を3分16秒更新し、2位の國學院大學には3分34秒の差をつけました。
Q. 出雲駅伝2026の結果はどうだった?
早稲田大学が2時間05分56秒の大会新記録で優勝しました。2010年以来、16年ぶりの優勝です。全日本とあわせて、今季の大学駅伝は2冠になりました。
Q. 工藤慎作の8区の日本人最高記録とは?
全日本8区(19.7km)を56分20秒で走った記録です。2025年に自身が出した56分54秒を34秒更新したと報じられました。区間1位でゴールしています。
Q. 箱根駅伝2027はいつ開催される?
2027年1月2日(往路)と3日(復路)に開催されます。10区間・217.1kmのレースで、12月にチームエントリーが発表される予定です。
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参考・出典
- 早稲田大学競走部「秩父宮賜杯第58回全日本大学駅伝対校選手権大会 他(結果速報)」
https://waseda-ac.jp/news/detail/1046 - 早稲田大学競走部「出雲全日本大学選抜駅伝 結果」
https://waseda-ac.jp/competition/detail/1039 - 全日本大学駅伝 大会公式 ニュース
https://daigaku-ekiden.com/news/ - 早稲田大学 競技スポーツセンター「増子陽太がまたもU20日本記録を樹立」
https://www.waseda.jp/inst/athletic/news/2026/05/08/57726/ - Number Web「早稲田大学“令和の三羽烏”」関連記事
https://number.bunshun.jp/articles/-/869670 - Sportiva「【大学駅伝】早稲田大ルーキーズ」関連記事
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/rikujo/2026/04/30/01/
※本記事の情報は2026年11月2日時点のものです。2027年箱根駅伝の区間配置は公式発表ではなく筆者の予想です。順位やタイムは大会公式・各チームの発表をご確認ください。
