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50年ローンで老後は大丈夫?60歳・65歳で残る住宅ローンの金額

50年ローンで老後の住宅ローン残債がいくらになるかを解説する記事のイメージ

30秒でわかるこの記事のポイント

  • 50年ローンは「借りた年齢+50」が完済の年。35歳で組むと85歳まで返済が続きます。
  • 35歳で4,000万円を借りると、金利3.70%固定の試算で65歳時点の残債は約2,481万円残ります。
  • 危険なのは50年ローンそのものより、定年時の残債・教育費・修繕費の「出口」を決めずに借りることです。

「毎月の返済額が2万円近く下がるなら、50年ローンでもいいのかな」。住宅の見学に行った帰り道、そう考えている家庭は多いと思います。私も最初は、月々が楽になるならありがたい、という気持ちが先に立ちました。

でも住宅ローンは、毎月いくら払うかだけの話ではありません。定年を迎えたときにいくら残っているか、そのころ子どもの教育費や家の修繕費、固定資産税、マンションなら管理費と修繕積立金がどう重なるか。そこまで並べて考える必要があります。

先に結論を書きます。50年ローンが一律に悪いわけではありません。危険なのは、出口を決めないまま借りることです。この記事では、何歳で借りると何歳で完済するのか、60歳・65歳の時点で残債はいくらになるのか、そして今から何を確認しておけばいいのかを、暮らしの目線で整理します。金利や制度は2026年9月に確認した数字を使っています。

目次

50年ローンは老後まで返済が続く可能性が高い

50年ローンを組んだ人の完済年齢を年齢別に示したカレンダー

何歳で借りると何歳で完済する?

50年ローンは、借りた年齢に50を足した年が完済の年です。数字にするとはっきりします。

借入時の年齢 完済の年齢(50年で借りた場合)
20歳 70歳
25歳 75歳
29歳 79歳

20代で借りても、返し終わるのは70代です。私はこの表を作ってみて、「現役のうちに終わらない借金」という感覚が初めて具体的になりました。

完済年齢の上限にも注意

多くの住宅ローンには「完済時80歳未満」といった年齢の上限があります。フラット50は申込時の年齢が満44歳未満と決まっていて、借入期間は「80歳マイナス申込時の年齢」か「50年」の短いほうです。

つまり、30歳で申し込むと50年に届かない商品があり、35歳なら最長45年、40歳なら最長40年と、借りられる期間はどんどん短くなります。民間銀行でも完済時の年齢制限があり、条件は金融機関によって異なります。フラット50と民間銀行では申込年齢の上限がちがうので、必ず利用する金融機関の商品説明書で確認してください。「50年ローン」という名前でも、自分の年齢では50年借りられないことは珍しくありません。

60歳・65歳で住宅ローンはいくら残る?

60歳と65歳時点の住宅ローン残債を借入額別に比較した表

ここからは、実際に定年を迎えたときの残債を見ます。以下は、年齢の条件を満たしたと仮定して計算した数字です。実際にその年齢で50年借りられるとは限りません。元利均等返済、ボーナス返済なし、金利は固定で年3.70%、諸費用は含まない前提です。

3,000万円を借りたケースの残債

35歳で借りて50年ローンにすると、60歳(25年後)の残債は約2,147万円、65歳(30年後)でも約1,860万円残ります。30歳で借りても65歳時点で約1,515万円です。

4,000万円を借りたケースの残債

35歳で借りた場合、60歳の残債は約2,863万円、65歳で約2,481万円です。40歳で借りると、65歳時点でも約2,863万円が残ります。

5,000万円を借りたケースの残債

35歳で借りた場合、60歳の残債は約3,579万円、65歳で約3,101万円です。借入額が大きいほど、定年後に持ち越す金額も大きくなります。

我が家の数字に置きかえて計算してみた

表にまとめると、こうなります。金利は年3.70%固定、元利均等返済、ボーナス返済なしで計算しました。

借入額 借入年齢 60歳時点の残債 65歳時点の残債
3,000万円 30歳 約1,860万円 約1,515万円
3,000万円 35歳 約2,147万円 約1,860万円
3,000万円 40歳 約2,386万円 約2,147万円
4,000万円 35歳 約2,863万円 約2,481万円
4,000万円 40歳 約3,181万円 約2,863万円
5,000万円 35歳 約3,579万円 約3,101万円

計算式は「前月の残高 ×(1+月利)-毎月返済額」を毎月くり返すだけです。月利は年3.70%を12で割った約0.308%。4,000万円を35歳で借りると毎月の返済額は約14万6千円で、65歳から79歳までの15年間だけで、さらに約2,636万円を払う計算になります。私の場合、この「65歳以降に払う総額」を見て、退職後の家計にこの支出を組み込めるかを真剣に考えるようになりました。

定年後も住宅ローンが残ると何が大変?

年金生活で住宅ローンの返済と生活費が重なる家計のイメージ

年金生活でも毎月の返済が続く

退職後は収入の中心が公的年金になり、多くの家庭で手取りは現役時代の半分前後に下がります。その状態で毎月14万円前後の返済を続けるのは、家計にかなりの負担です。退職金で一括返済できればいいのですが、退職金をあてにした計画は、金額が想定より少なかったときに一気に崩れます。

老後資金そのものをどう準備するかは、こちらの記事で整理しています。

老後2000万円問題は「嘘」ではないが「正解」でもない?

修繕費や固定資産税はなくならない

家を持っている限り、固定資産税は毎年かかります。新築の軽減措置が終わると税額は上がります。一戸建てなら築10〜15年で外壁や屋根の修繕に100万〜200万円かかることもあります。ローンの返済とは別に、この出費が定期的にやってきます。

マンションでは管理費と修繕積立金も続く

マンションの場合、管理費と修繕積立金はローンを完済しても払い続けます。しかも修繕積立金は、築年数が進むと値上げされるのが一般的です。「ローンが終われば住居費が下がる」とは限らないことは、購入前に知っておきたいところです。

医療費や介護費と重なる可能性がある

60代、70代になると、自分や配偶者の医療費、親の介護費が増えてくる時期と重なります。返済が続いていると、こうした想定外の出費に回せるお金が減ります。返済期間が長いほど、この「重なる時期」に当たる確率は高くなります。

子育て世帯は教育費との重なりを確認

売却価格より住宅ローン残債が多いオーバーローンのイメージ

返済額を抑えても借入額を増やさない

50年ローンで月々が下がると、「もう少し高い家も買えるかも」と考えたくなります。でも借入額を増やせば、下がったはずの返済額はまた元に戻ります。月々の軽減は、借入額を据え置いて初めて意味があります。

子どもの進学時期と返済予定表を重ねる

高校・大学の学費がかかるのは、たいてい親が40代後半から50代です。この時期に住宅ローンの返済がフルで続いていると、家計の余裕がなくなります。返済予定表と、子どもが何歳で進学するかを1枚の紙に並べてみると、どの年が一番きついかが見えてきます。

共働きを前提にしすぎない

2人の収入があるうちは返せても、どちらかが働けなくなったら成り立たない返済計画は危ういです。私は、片方の収入が一定期間なくなっても最低限は回るか、という視点で数字を見るようにしています。

途中で家を売りたくなったらどうなる?

売却価格より住宅ローン残債が多いオーバーローンのイメージ

売却価格より残債が多いオーバーローン

50年ローンは元金の減りが遅いため、家を売っても残債を返しきれない「オーバーローン」になりやすいです。この状態だと、足りない分を貯金から出さないと売れません。住み替えの自由がきかなくなります。

転職・離婚・介護・相続で売却する可能性

家を売る理由は、前向きなものばかりではありません。転職での転居、離婚、親の介護のための実家移住、相続。50年のあいだには、こうした予想しにくい出来事が起きる可能性があります。「売りたくなったときに売れる状態か」は、借りる前に一度考えておきたいことです。

金利のタイプを変える借り換えという選択肢もあります。判断材料はこちらにまとめています。

住宅ローン、変動から固定に借り換えるべき?2026年の選択肢

将来売りやすい住宅か確認する

フラット50の対象になる長期優良住宅や管理計画認定マンションは、そもそも資産価値が保たれやすい住宅です。立地や管理状態がよく、10年後、20年後も買い手がつく物件かどうかは、老後の選択肢を左右します。

繰り上げ返済を前提にしてよい?

予定どおり貯蓄できない場合もある

「月々の軽減分を貯めて、あとで繰り上げ返済すればいい」という計画はよく聞きます。でも実際には、その分が生活費や教育費に消えて、思ったほど貯まらないこともあります。繰り上げ返済は「できたらやる」であって、前提にしすぎると計画が崩れます。

住宅ローン控除だけで判断しない

「控除がある13年間は返さず、14年目に一括で返すのがお得」という話も一律の正解ではありません。控除額、金利、手元資金の状況は家庭ごとに違います。控除が終わる年に必ず返せる保証もありません。控除の損得だけでタイミングを決めないほうが安全です。

手元資金を使い切らない

繰り上げ返済で貯金を使い切ると、急な出費や収入減に対応できなくなります。私も、繰り上げ返済に回すより先に、生活費の半年から1年分を「生活防衛資金」として確保することにしています。この分は必ず手元に残す、と決めておくと安心です。金利が上がっている局面での家計の考え方は、こちらも参考になります。

ついに金利1%時代へ!預金がうれしく増える一方で住宅ローンはどうなる?

なお、投資の運用益が住宅ローンの金利を上回るとは限りません。「返さずに運用したほうが得」という前提も、確実なものではない点に注意が必要です。

50年ローンを検討しやすい家庭

若く安定した収入がある

20代から30代前半で、勤務先が安定していて、定年まで長い年数がある家庭。返済期間を延ばしても現役のうちに完済のめどが立つなら、月々の軽減を活かせます。

借入額を増やさず月々の余裕を貯蓄へ回せる

50年にして下がった分を、生活のゆとりではなく貯蓄や繰り上げ返済に回せる家庭。この習慣があるかどうかで、50年ローンの結果は大きく変わります。

売却や繰り上げ返済を含む出口計画がある

「10〜15年住んで売る」「相続する資産がある」「退職金以外に完済の原資がある」など、完済までの道筋を具体的に描けている家庭は、50年ローンを道具として使えます。

50年ローンを慎重に考えたい家庭

定年までの年数が短い世帯が住宅ローンの返済を心配するイメージ

定年までの年数が短い

40代以降で借りると、定年までに返せる部分が小さく、退職後に大きな残債を持ち越します。ここは特に慎重に考えたいところです。

退職金での完済を前提にしている

退職金の金額は、制度変更や転職で変わります。「退職金で返すから大丈夫」という計画は、金額が減ったときの代替案がないと危険です。

教育費や介護費の見通しが立っていない

子どもの進学費用や親の介護費が読めない段階で50年の返済を確定させると、あとから調整がきかなくなります。

50年でなければ購入できない価格帯を選んでいる

35年では返済負担率がオーバーしてしまう物件を、50年にして無理に通そうとしている場合は、物件価格そのものを見直すサインです。

契約前に家族で確認したいチェックリスト

契約書にサインする前に、次の項目を家族で一つずつ確認してみてください。全部で10項目あります。前半は家計の数字、後半は制度や手続きに関する項目です。

家計の数字で確認する項目

まず、お金の流れがどうなるかを数字で押さえます。ここがあいまいなまま契約すると、あとから調整がききにくくなります。

  • [ ] 60歳時点の残債がいくらになるかを試算して確認した
  • [ ] 65歳以降の返済の原資(年金以外に何で返すか)を具体的に説明できる
  • [ ] 修繕費、固定資産税、管理費、修繕積立金を返済とは別に計算に入れた
  • [ ] どちらか一方の収入が一定期間なくなった場合の返済額を試算した
  • [ ] 繰り上げ返済をしても、生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)を残せる

制度と手続きで確認する項目

次に、契約の中身と将来の選択肢に関わる項目です。金融機関の担当者に質問して、あいまいな点をなくしておきます。

  • [ ] 子どもの進学時期と返済予定表を重ねて、いちばんきつい年を確認した
  • [ ] 団体信用生命保険の保障範囲と免責事由を確認した
  • [ ] 変動金利を選ぶ場合、5年ルール・125%ルールの有無を確認した
  • [ ] 家を売りたくなったときの残債リスク(オーバーローンの可能性)を確認した
  • [ ] 借りる金融機関によって、自分の年齢で50年借りられるかどうかを確認した

10項目のうち、はっきり「はい」と言えないものが複数あるなら、返済期間や物件の価格をもう一度見直す価値があります。私は、この10項目を紙に印刷して、夫婦それぞれが別々に答えてから答え合わせをするのがいちばん現実的だと感じています。数字の認識がずれていることに、そこで初めて気づけることもあります。

50年ローンについてよくある質問

50年ローンで老後の住宅ローン残債がいくらになるかを解説する記事のイメージ

Q. 50年ローンは定年後も返済が続きますか?

35歳で借りると完済は85歳です。多くの人は65歳前後で退職するため、退職後20年ほど返済が続く計算になります。若く借りても現役のうちに完済するのは難しいケースが多いです。

Q. 30歳、35歳、40歳で借りると何歳で完済しますか?

50年借りられれば、それぞれ80歳、85歳、90歳です。ただし完済時の年齢制限があるため、実際には35歳で最長45年、40歳で最長40年など、借入期間が短くなる商品が多くあります。

Q. 60歳や65歳の時点で残債はいくら残りますか?

金利年3.70%固定で試算すると、4,000万円を35歳で借りた場合、60歳で約2,863万円、65歳で約2,481万円残ります。借入額と借入年齢によって変わります。

Q. 退職後も返済できるか不安です。今から何を準備すればいいですか?

まず60歳・65歳時点の残債を試算し、その金額を退職金や貯蓄、運用資産で返せるかを確認します。返せない見込みなら、借入額を減らすか返済期間を短くする検討が必要です。

Q. 家を売りたくなったとき、ローンを完済できますか?

50年ローンは元金の減りが遅いため、売却額が残債を下回るオーバーローンになりやすいです。その場合は差額を自己資金で埋めないと売れません。

Q. 途中で契約者が亡くなったらローンはどうなりますか?

団体信用生命保険に加入していれば、保険金が残りのローンにあてられ、遺族に返済が残らないのが基本です。ただし、保障の対象や条件は加入する団信の種類によって差があり、どんな場合でも残債がゼロになると決まっているわけではありません。

Q. 50年ローンでも住宅ローン控除は受けられますか?

受けられます。2026年に入居した場合、借入残高の0.7%が所得税などから差し引かれ、対象となる年数は原則13年間です。14年目からは残債が大きくても差し引きの対象になりません。

Q. 繰り上げ返済を前提に50年で借りても大丈夫ですか?

繰り上げ返済は計画どおりにできないこともあります。手元資金を使い切らず、生活防衛資金を残せる範囲で行うことが前提です。あてにしすぎない計画にしておくと安全です。

Q. マンションの場合、ローン以外にどんな支出が続きますか?

管理費と修繕積立金は完済後も払い続けます。修繕積立金は築年数が進むと値上げされることが多く、固定資産税も毎年かかります。

Q. 結局、50年ローンはやめたほうがいいですか?

一律に悪いわけではありません。若く収入が安定し、借入額を増やさず、売却や繰り上げ返済の出口計画がある家庭なら選択肢になります。定年までの年数が短い場合は慎重に考えたほうがよいです。

まとめ

50年ローンで下がるのは「今の毎月の返済額」で、増えるのは「定年後に持ち越す残債」と「返済が続く年数」です。35歳で4,000万円を借りると、65歳時点でも約2,481万円が残ります。年金生活のなかで、この金額を返し続けられるかが問われます。

大事なのは、借りた時点の月額ではなく、60歳・65歳の自分にいくら残すかを先に見ておくこと。そのうえで、教育費・修繕費・介護費が重なる時期を1本の時間軸に並べ、収入が減っても払える計画にしておくことです。出口さえ決めておけば、50年ローンは怖いだけの制度ではありません。なお、実際の借入条件や適用される金利は、金融機関や契約内容、その時々の審査の結果によって一人ひとり変わります。心配なことは、契約前にファイナンシャルプランナーなど専門家にも相談してみてください。

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参考・出典

  • 住宅金融支援機構「【フラット50】」
    https://www.flat35.com/loan/lineup/flat50/index.html
  • 住宅金融支援機構「【フラット50】ご利用条件」
    https://www.flat35.com/loan/lineup/flat50/conditions.html
  • 住宅金融支援機構「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」
    https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
  • 日本経済新聞「フラット35、9月最低金利3.460%に上昇 現行制度で最高」(2026年9月)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL0133H0R00C26A9000000/
  • ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)プレスリリース「住宅ローン借入期間最長50年の取扱い開始」
    https://www.netbk.co.jp/contents/company/press/2023/0804_001806.html
  • 国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
  • 金融庁「住宅ローン利用者の実態調査アンケート調査結果」

※本記事の情報は2026年9月時点で確認したものです。金利・制度は予告なく変更されることがあります。返済計画に迷う場合は、金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。

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