🕐 30秒でわかるこの記事
- 2026年7月、建築士法が改正。一級建築士は大学在学中でも受験できるようになる。
- 実は影響が大きいのは二級建築士。実務要件が「7年」から「受験2年・免許登録4年」へ短縮。
- ただし「2年で建築士になれる」は誤解。受験と免許登録の違い、施行日はまだ未定な点に注意。
「大学生でも一級建築士の試験を受けられるようになる」
ニュースでそんな見出しを見かけたとき、私は正直「へえ、学生向けの制度がちょっと変わったんだな」くらいにしか思っていませんでした。
でも気になって詳しく調べてみたら、思っていたより大きな話でした。これまで建築学科を出ていない人が二級建築士を目指す場合、実務経験が7年も必要だったんです。それが今回の法改正で、2年で試験を受けられるようになる。
「これって建築業界へ転職したい人にも結構大きな話なのでは?」と思ったので、私が調べて分かったことを整理してみます。ちなみに最初に断っておくと、「2年で建築士になれる」わけではありません。ここ、誤解しやすいポイントなので記事の中でしっかり説明します。
建築士法が変わるってどういうこと?まず3つだけ

私も最初は全体像がつかめなかったので、ポイントを3つに絞って整理しました。
- 一級建築士は、大学等の建築系学科に在学中でも試験を受けられるようになる
- 二級建築士は、建築系の学科を出ていない人の実務要件が短縮される
- ただし、まだ新制度は始まっていない(施行日は未定)
2026年7月31日に「建築士法の一部を改正する法律」が公布されました。ここでいったん「公布」という言葉が出てきますが、これは法律が確定して国民に知らされた、という段階です。実際に制度が動き出す「施行」はまだ先で、公布から3年以内に政令で決まる日、とされています。つまり2026年8月時点では、いつから始まるのかまだ確定していません。
一級建築士は「受験の時期」が変わる
現行制度では、一級建築士試験を受けられるのは大学等を卒業したあとだけでした。改正後は、指定科目の単位を修得済みで卒業見込みの学生であれば、最終学年の在学中から受験できるようになります。あくまで「受験できる時期」が早まるという変更です。
二級建築士は「実務要件の年数」が変わる
建築系の学科を出ていない人が二級建築士を目指す場合、現行制度では実務経験7年が必要でしたが、改正後は実務経験2年で受験でき、通算4年で免許登録できるようになります。私が調べていて一番インパクトを感じたのがこちらでした。
「7年→2年」って本当?ここが一番気になった

私が一番驚いたのはここでした。
これまで、普通科高校卒や文系大学卒など、建築系の学科を出ていない人が二級建築士になろうとすると、実務経験が7年必要でした。就職してから7年間現場で働き続けないと、そもそも試験すら受けられなかったんです。
それが改正後は、実務経験2年で二級建築士試験を受けられるようになります。
ここで「え、2年で建築士になれるの!?」と思う人も多いと思うのですが、正確にはちょっと違います。
- 現行:実務7年 → 二級建築士試験 → 免許登録
- 改正後:実務2年 → 二級建築士試験 → 実務を継続 → 通算4年 → 免許登録
つまり、試験を受けられるようになるのは2年目からですが、実際に「二級建築士」として免許登録できるのは、通算で実務4年に達してからです。7年が4年になった、という理解が正確です。それでも3年短縮なので、十分大きな変化だと思います。
実際に年数を計算してみた
私も最初はピンとこなかったので、具体的な年齢で試算してみました。
例えば22歳で文系大学を卒業して建築会社に就職した場合。
- 現行制度:22歳+実務7年=29歳ごろにようやく資格取得
- 改正後:22歳+実務2年=24歳で受験、22歳+実務4年=26歳で免許登録
29歳と26歳、差は3年です。18歳で普通科高校を卒業して現場に入った人なら、現行では25歳、改正後は20歳で受験・22歳で免許登録になる計算です。実務を積む期間そのものが短くなるので、20代前半で二級建築士という人も今後は珍しくなくなりそうです。
属性別に見る変化の大きさ
自分に近い属性だとどれくらい変わるのか気になったので、いくつかのパターンで整理してみました。
文系大学卒でも20代で二級建築士を目指せる
私自身、文系出身なので余計に気になったポイントです。先ほどの計算の通り、22歳で就職した文系大学卒の人なら、改正後は24歳で受験、26歳で免許登録が視野に入ってきます。これまでは「建築士は理系・建築学科出身者の資格」というイメージが強かったと思うのですが、今回の改正で「実務を積みながら文系出身でも目指せる資格」に変わっていく印象を持ちました。
普通科高校卒ならさらに早い
18歳で建設会社に入り、対象となる実務経験を積んでいけば、20歳で二級建築士を受験、22歳で免許登録という可能性も出てきます。「20代前半で二級建築士」というのは、今までなかなか考えにくかったキャリアだと思います。現場でコツコツ経験を積んできた若い人にとって、資格取得までの距離がぐっと近くなる改正だと感じました。
現場監督の経験も使える?

調べていて気になったのが、「具体的にどんな仕事なら実務経験に入るのか」という点です。
対象になりそうな仕事
施工管理や現場監督のような、建築工事の技術的な業務は実務経験として認められる場合があります。設計補助、工事監理、積算なども対象になり得るようです。すでに現場で数年働いてきた人なら、その経験がそのまま資格取得のカウントダウンに変わる可能性があります。
対象外になりそうな仕事
一方で、「建設会社に勤めていればなんでもOK」というわけではないようです。営業だけを担当していたり、不動産の仲介業務だけだったりすると、実務経験として認められない可能性があります。あくまで、実際にどんな業務内容をしていたかが重要、ということでした。自分の担当業務がどちらに近いか、一度振り返ってみる価値がありそうです。
資格の話以外にも気になったこと
受験資格の話に夢中になっていたのですが、調べていくと他にも気になるポイントがいくつかありました。
実は契約のルールも変わるらしい
これまで、設計・工事監理の契約を結ぶときに書面を交わす義務があったのは、延べ面積300平方メートルを超える新築工事などに限られていました。改正後は、この規模の縛りがなくなり、すべての契約が対象になります。あわせて、見積書を作成する努力義務も明文化されるそうです。
正直、これは資格の話とは別軸なので見落としがちなのですが、小規模なリフォームや個人からの依頼であっても、きちんと契約書面を交わすのが当たり前になる、という意味で結構大きな変化だと感じました。こちらの部分は、公布から1年以内に施行されることになっています。
建築士ってどれくらいいるの?
ここまで「若手が足りない」という話をしてきましたが、そもそも建築士自体は少ないのか、と思って調べてみました。
全国の一級建築士の登録者数は約38.4万人、二級建築士は約79.6万人にのぼるそうです。数としては決して少なくありません。ただし、これは「登録されている人数」であって、実際に建築士事務所に所属して現役で働いている人の年齢構成を見ると、先ほど紹介したとおり50代以上が約7割を占めています。つまり「資格を持っている人」はたくさんいても、「これから長く現場を支えられる若い世代」が極端に少ない、というのが実態のようです。数の多さだけでは見えてこない偏りがある、というのは調べていて印象に残りました。
大学生が一級建築士になれるって本当?
ここも誤解しやすいところなので、私なりに整理してみます。
受験できるのは在学中、免許登録は卒業後
改正後は、大学等の建築系学科に在籍していて、必要な科目の単位を修得済み、かつ卒業見込みであれば、最終学年の在学中に一級建築士試験を受けられるようになります。最短で大学4年生の7月に学科試験、10月に設計製図試験を受けることになります。
でも、これは「大学生のうちに一級建築士になれる」という意味ではありません。試験に合格しても、卒業後に実務経験(大学卒の場合は2年)を積んで、はじめて免許登録ができます。合格=資格取得、ではないんです。
メリットは「勉強と実務を分けられること」
正直、ここは私も最初に読んだニュースだけでは勘違いしていた部分でした。調べてみると、今回のメリットは「社会人になってから、働きながら難関試験の勉強をしなくて済む可能性がある」ということなんだな、と理解しました。学生のうちに時間をかけて勉強し、就職後は実務経験に専念できる、という流れです。
どうしてこんなに条件を緩和するの?

背景を調べてみると、建築士の高齢化がかなり深刻でした。
建築士の高齢化が想像以上だった
建築士事務所に所属している一級建築士のうち、約7割が50代以上というデータがあります。60代が一番多い年代で、20代はわずか1%程度しかいません。ベテランは多いのに、若い建築士が全然増えていない状態が続いています。私はこの数字を見て、思っていた以上に業界の年齢構成が偏っていることに驚きました。
それなのに仕事は増えている
一方で、建築士の仕事自体は減るどころか増えています。省エネ基準への対応や耐震改修、リフォーム需要の高まりなど、専門知識が必要な仕事はむしろ増加傾向です。「担い手を増やさないと現場が回らなくなる」という危機感が、今回の改正の背景にあるようです。
いつから変わるの?ここは少し注意が必要です
ニュースを見ていると、もう新制度が始まっているかのような書き方をしている記事も見かけましたが、そこは注意が必要です。
公布と施行は別物
法律自体は2026年7月31日に公布されました。でも「公布」と「施行」は別物です。資格要件に関する部分は、公布から3年以内に政令で定める日から施行される、とされています。
未定のままの項目
2026年8月時点では、
- 具体的な施行日
- 新制度による最初の試験がいつになるか
- 在学中受験に必要な単位の細かい条件
などはまだ決まっていません。「2027年から始まる」というような断定的な情報を見かけても、現時点では推測にすぎないので気をつけたいところです。
調べていて意外だったこと
制度を細かく調べていくうちに、ニュースの見出しだけでは分からない意外な事実がいくつか見えてきました。
試験合格の効力に期限はない
私が「へえ」と思ったのが、一級建築士や二級建築士の試験に合格した実績には、有効期限がないという点です。学生のうちに合格して、その後しばらく実務経験を積んでいなかったとしても、何年後であっても実務要件さえ満たせば免許登録の申請ができます。就職後すぐに建築の仕事をしなかった人でも、後から戻ってきて登録できる、というのは意外と知られていない話だと思いました。
施工管理技士を持っていても試験免除にはならない
もうひとつ気になって調べたのが、施工管理技士との関係です。1級建築施工管理技士のような資格を持っていても、二級建築士試験の学科試験が免除されるといった優遇措置はありません。逆に、一級建築士の資格を持っていると、建築施工管理技術検定の第一次検定が免除される仕組みになっています。資格同士の関係が一方通行になっているのは、調べていて少し意外でした。
合格発表を待つ時間の使い方も変わりそう
これも地味に大きい変化だと思ったのですが、これまでは卒業してから受験するしかなかったので、就職活動と試験勉強が完全に別々のタイミングになっていました。改正後は、在学中に合格しておけば、就職活動の段階で「一級建築士試験合格見込み」を伝えられるようになります。就活で有利になるのはもちろん、内定後に「入社してすぐ難しい試験勉強をしなくていい」という安心感にもつながりそうです。
免許登録してもすぐには独立できない
免許登録が終わればすぐに建築士事務所を開いて独立できる、と思っていたのですが、実際は違いました。事務所を管理する「管理建築士」になるには、免許登録後にさらに3年以上の実務経験と、管理建築士講習の修了が必要です。つまり、在学中合格→卒業後の実務2年→免許登録という最短ルートを歩んだとしても、事務所を開けるようになるまでにはもう少し時間がかかる計算になります。
大学や予備校もざわついているらしい
制度が変わるとなると、当然、教える側にも動きがあるはずだと思って軽く調べてみました。
大学のカリキュラムが前倒しになりそう
在学中受験が始まると、大学の建築系学科は3年生までに一級建築士試験の指定科目をひととおり修得できるよう、授業の順番を早める必要が出てきます。「在学中に一級建築士に合格した学生がこんなにいます」というのは、大学にとって受験生集めの強力なアピール材料になりそうなので、各大学がカリキュラム作りに力を入れてくるのは想像に難くありません。
資格予備校も学生向けに舵を切りそう
資格予備校のほうも変化がありそうです。これまでは社会人向けの夜間・週末講座が中心でしたが、大学1〜3年生をターゲットにした「在学中合格」向けの講座が増えていくと見られています。大学と提携した学内講座なども今後出てくるかもしれません。学生の間で「資格予備校に通うのが当たり前」という空気になっていく可能性もありそうです。
ついでに海外の建築士とも比べてみた
海外では建築士(建築家)資格ってどうなっているのか気になったので少し調べてみました。アメリカやイギリスでは、5年制の課程や大学院修士課程を修了したうえで、さらに数年間の実務研修を積んで、20代後半で資格を取得するのが一般的なようです。日本の一級建築士は業務の対象範囲がかなり幅広く、資格取得できる年齢も国際的に見て早いほうだとされています。今回の改正でその傾向がさらに強まりそうで、「日本の建築士資格は取得スピードが速い」という特徴が、これからもっとはっきりしていきそうだと感じました。
まとめ
ニュースでは「大学生が一級建築士試験を受けられる」という部分がクローズアップされがちですが、調べてみると、実はそれ以上に大きな変化は、これまで建築を専門に学んでこなかった人にも建築士への入口を広げたことだったように感じます。
「7年」という長い壁があったからこそ諦めていた人にとって、この改正は結構大きなニュースなんじゃないかと思います。建築業界への転職やキャリアチェンジを考えている人にとっても、意外と見逃せない話だと感じました。
よくある質問

Q. 建築士法改正はいつ成立・公布されましたか?
2026年7月24日に成立し、7月31日に公布されました。ただし施行はまだ先で、資格要件に関する部分は公布から3年以内に政令で定める日から施行されます。
Q. 二級建築士は本当に2年で取れるようになるのですか?
いいえ、2年で「取れる」わけではありません。実務経験2年で試験を受けられるようになるだけで、免許登録には通算4年の実務経験が必要です。
Q. 実務2年で受験できて、免許登録は結局何年かかりますか?
最短で通算4年です。現行の7年から3年短縮される計算になります。
Q. 大学生のうちに一級建築士になれるのですか?
いいえ。在学中に「試験を受けられる」ようになるだけで、合格しても卒業後に実務経験(大学卒は2年)を積んでからでないと免許登録できません。
Q. 一級建築士の在学中受験は大学何年生から可能ですか?
指定科目の単位を修得済みで卒業見込みの最終学年(最短で大学4年次)から受験できるようになります。
Q. 施工管理や現場監督の経験は実務経験に入りますか?
建築工事の技術的な業務として認められる場合があります。ただし営業専任や不動産仲介などは対象外になる可能性があり、実際の業務内容がポイントです。
Q. 文系大学卒や普通科高校卒でも建築士を目指せますか?
はい。むしろ今回の改正で最も恩恵を受けるのはこの層とも言われています。実務経験2年で受験、4年で免許登録という短縮ルートが使えるようになります。
Q. 二級建築士から一級建築士へのステップアップも早くなりますか?
はい。二級建築士取得後、通算での実務経験が8年以上(建築科卒なら6年以上)に達していれば、二級取得後さらに必要な実務経験が、これまでの4年から2年へ短くなります。
Q. 試験自体の難易度は下がりますか?
受験資格が広がるだけで、試験問題の難易度や合格基準が下がるわけではありません。誰でも簡単に合格できる制度になったわけではない点は注意が必要です。
Q. 新制度は具体的にいつから始まりますか?
2026年8月現在、具体的な施行日はまだ決まっていません。公布から3年以内(契約関連は1年以内)に政令で定める日から施行される予定です。
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参考・出典
- 国土交通省「建築:建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号)について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000260.html - 衆議院「第221回国会 衆法第38号 建築士法の一部を改正する法律案」議案情報
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/221hou38siryou.pdf/$File/221hou38siryou.pdf - 新建ハウジング「改正建築士法可決、大学在学中の一級建築士受験が可能に」
- 建通新聞 電子版「建築士法改正案が衆院通過 今国会で成立の見通し」
- STUDYing「建築士の人数は100万人以上。1級・2級の登録者数推移」
※本記事の情報は執筆時点(2026年8月)のものです。施行日など制度の詳細は今後の政令・省令で確定するため、内容は変更される可能性があります。実際の受験・登録にあたっては、公式発表および専門家にご確認ください。
