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商社の仕事はAIでなくなる?2030年代に残る「目利き力」とは

商社 AI 仕事なくなる不安を抱く若手ビジネスパーソンのイメージ

この記事を30秒で

  • 商社の仕事のうち、海外市場調査・資料作成・議事録作成などはAIに代替されやすい
  • 投資先経営者の見極めや現地交渉、最終判断といった仕事は人間中心のまま残る
  • AIが下積み仕事を代替する分、若手が「目利き力」を身につける機会がどう変わるかが今後の焦点になる
商社 AI 仕事なくなる不安を抱く若手ビジネスパーソンのイメージ

「商社の仕事、AIになくなるんじゃないの?」——最近こんな声、よく聞くようになった気がする。正直、私も最初にAIのニュースを見たとき「え、商社マンって高給取りの花形職業なのに、それも危ういの?」ってちょっとドキドキした。

結論から言うと、答えは「Yes and No」。海外市場を調べたり、資料を作ったり、議事録をまとめたりする仕事はかなりの部分がAIに置き換わっていく。でも、経営者の人柄を見極めたり、現地の人と交渉したり、最後に「賭ける」決断をしたりする仕事は、これからも人間にしかできない。

この記事では、AI時代に商社の仕事がどう変わっていくのか、そして私がリサーチしていて一番「これは重大かも」と感じた、意外な問題についても書いていくね。商社に興味がある人はもちろん、「自分の仕事もAIに置き換わるかも」と不安を感じている人にも、きっとヒントになる内容だと思う。

目次

商社の仕事はAIでなくなるの?

商社 AI 仕事なくなる疑問を抱くオフィスの様子

結論、なくなる仕事もあるけど、商社という会社自体がなくなるわけじゃない。むしろ仕事の中身が大きく組み替えられる、というのが実態に近い。

「情報の会社」だった商社の立ち位置

そもそも商社は長年「情報の会社」と呼ばれてきた。世界中に駐在員を置いて、現地の政府関係者や取引先と信頼関係を築き、公開データには出てこない一次情報を集める。これが商社の一番の武器だった。

でも生成AIが公開情報を瞬時に集めて要約できるようになった今、この「情報を集める力」そのものの価値が下がりつつある。ここが、商社不要論が再び語られる背景になっている。

過去にも「商社不要論」は何度もあった

実は商社不要論、今回が初めてじゃない。1960年代にはメーカーが自前で海外に販売網を作り始めて「商社の仲介はいらなくなる」と言われた。1990年代から2000年代にはインターネットの普及で「中抜きされて商社は滅びる」とも言われた。

そのたびに商社は仕事の中身を変えて生き延びてきた。1960年代は資源開発などへの投資にシフトし、2000年代は「事業投資・事業経営」へと軸足を移した。今回のAI波も、商社にとっては「また次の進化を迫られているタイミング」と捉えるのが自然だと私は思う。

今回のAI波が過去と違う点

ただし、今回のAI波には過去2回と決定的に違う点がある。過去2回は「商社を通さず直接つながれる」という中抜きの脅威だったのに対して、今回は商社の一番の武器だった「情報を集めて分析する力」そのものがコモディティ化する点だ。中抜きなら人脈でカバーできたが、情報収集力の陳腐化は、商社の存在意義の根っこに関わる変化だと私は感じている。だからこそ、今回は「仕事の一部を効率化する」だけでは済まず、商社マンという職業の中身そのものが変わっていくと考えられる。

実はAIに任せられる商社の仕事はかなり多い

商社 将来性を左右するAIによる資料作成の様子

正直に言うと、AIに置き換わる仕事の量は思っていたより多かった。

調査・分析・翻訳はAIの得意分野

具体的には、こんな仕事がAIによる代替・効率化の対象になる。

  • 海外市場調査
  • 商品価格調査
  • ニュース収集、翻訳
  • 財務分析、企業分析
  • 英文契約書の一次チェック
  • 資料作成
  • 議事録作成

どれも、これまで若手商社マンが徹夜してでもこなしてきた仕事だ。世界中の公開データやニュースを多言語でかき集めて比較する作業、財務諸表を読み込んで企業の強み・弱みを抽出する作業。こういう「情報を大量にさばく」仕事は、AIの方が速くて正確という時代になった。

丸紅では年間90万時間の削減も

数字で見ると、この変化のスピードがよくわかる。丸紅グループでは生成AIの活用がすでに現場に浸透していて、2025年4月時点で年間の業務量換算で90万時間の削減を達成しているという。1年365日、24時間としても100年以上に相当する時間だ。

私はこの数字を見たとき、正直ゾッとした。それだけの時間、これまで人間が資料作りや情報整理に費やしていたということだから。

契約書チェックまでAIがこなす時代

英文契約書の一次チェックも、AIによる代替が進んでいる分野のひとつ。過去の取引条件との差異を見つけたり、リスクのある条項を洗い出したりする作業は、法務特化型のAIが瞬時にこなせるようになってきている。若手商社マンが真夜中まで条文を照らし合わせていた作業が、数分で終わる時代になりつつあるということだ。

それでもAIにはできない「商社の仕事」がある

商社マンが現地交渉で信頼関係を築く様子

一方で、AIには絶対に手が出せない仕事もはっきりしている。

人柄・空気・信頼関係はデータにならない

具体的には、次のような仕事は人間中心のまま残ると考えられている。

  • 投資先経営者の人柄や倫理観を見る
  • 現地政府や共同出資者との交渉
  • 労働組合や現地社会との利害調整
  • 現場の士気や雰囲気を読む
  • 巨額投資の最終判断
  • 撤退判断
  • 最終的な責任を引き受ける

考えてみれば当たり前かもしれない。相手が「本当に信頼できる経営者か」なんて、数字やテキストデータには表れない。会議室での表情、ちょっとした言葉の選び方、約束を守るかどうかの積み重ね。こういうものを見極める力は、AIがいくら賢くなっても代替できない。

現場で「私も感じたこと」

私自身、仕事で初対面の相手と交渉するとき、資料の内容以上に「この人、本当に約束を守りそうか」を無意識にチェックしていることに気づく。これはたぶん、商社マンが現地で何十年もやってきたことと本質的には同じなんだと思う。

巨額投資の「賭ける」判断は誰が背負うのか

数千億円規模の投資を決断するとき、最後にその責任を引き受けるのは人間だ。AIが出した確率がどれだけ精緻でも、判断が外れたときに現地パートナーと向き合い、撤退交渉をまとめ、社内外に説明責任を果たすのは商社マン自身。この「責任を引き受ける」という役割は、どれだけAIが進化しても代替しようがないと私は思う。

AI時代に重要になる「目利き力」とは?

商社 目利き力を身につけたベテラン社員のイメージ

ここが今回一番伝えたいポイント。

「情報量」から「何に賭けるか」へ

これまでの商社の競争力は「誰よりも多く情報を持つこと」だった。でもAIが情報収集を担うようになると、この土台が崩れる。代わりに重要になるのが「AIが集めた情報の中から、何を信じ、何を捨て、どこに賭けるか」を判断する力、つまり「目利き力」だ。

AIは過去の失敗パターンを見つけるのはとても得意。でも、ブラックスワンのような予測不能な事態、過去に存在しなかった新市場、経営者の野心や情熱、現地の政治的な感情、現場の空気——こういうものは完全には判断できない。だからこそ、最後に「賭ける」判断をするのは人間の役目として残り続ける。

目利き力は一朝一夕には身につかない

厄介なのは、この目利き力が座学では身につかないということ。何百件もの案件に触れて、何度も判断を間違えて、時には大きな損失も経験して、少しずつ「ここは危ない」「ここは行ける」という勘所が育っていく。

AIが判断できない「野心」と「情熱」

AIは過去のデータをもとに確率を計算するのは得意でも、経営者の野心や情熱、政治的な感情の高ぶりといった「まだ起きていないこと」を読むのは苦手だ。過去に存在しなかった新しい市場や、ブラックスワンのような突発的な出来事は、そもそも学習データに存在しないからだ。目利き力とは、こうしたデータの外側にあるものを感じ取る力とも言える。

実は一番の問題は「若手が育たなくなること」かもしれない

AI時代 商社マンの若手が下積みに悩む様子

私がリサーチしていて一番「これは深刻かも」と思ったのが、実はここ。

下積みがなくなると、目利きも育たない

これまで若手商社マンは、Excelでのデータ集計、資料作成、情報収集、議事録の読み込みといった、正直かなり地味で泥臭い「下積み」を何年も繰り返すことで、業界の構造やリスクの勘所を体で覚えてきた。

でも、この下積み仕事こそがAIによって真っ先に代替されていく仕事だ。つまり、若手が「目利き力」を身につけるための実地訓練の場そのものが、静かに失われていく可能性がある。

「AIによって商社マンの仕事がなくなること」よりも、「AIによって若手が目利きを身につける過程がなくなること」の方が、実は商社にとって根深い問題なんじゃないか——私はそう思う。

これからの育成はどう変わる?

じゃあどうすればいいのか。考えられるのは、情報収集や資料作成にかかっていた時間が浮く分、若手をより早い段階で実際の投資判断の現場や海外の事業会社に送り込み、AIでは学べない「泥臭い現場経験」を意図的に積ませるという方向性だ。

情報収集フェーズをすっ飛ばして、いきなり人間相手の交渉やトラブル対応から鍛える。これまでとは違う形で「目利き力」を育てる仕組みが必要になってくるはずだ。

AIを「壁打ち相手」にする育成法

もうひとつ考えられるのが、AIを若手の「壁打ち相手」として使う方法だ。入社直後の若手が、AIを相手に仮想の投資判断を何度も繰り返しシミュレーションすることで、実際の案件に触れる前から意思決定の疑似経験を積める。もちろん、これだけで本物の目利き力が身につくわけではないけれど、AIがなかった時代よりも早いスピードで「判断の型」を学べる可能性はある。私は、この壁打ち相手としてのAI活用が、これからの若手育成のカギになる気がしている。

2030年代の商社マンは「調べる人」から「賭ける人」へ

ここまでの話をまとめると、2030年代の商社マンに求められる役割は大きく変わる。

情報収集はAIエージェントが終わらせている

市場調査、契約書の精査、リスクの洗い出しといった作業は、商社マンの隣で動く高度なAIエージェントが瞬時にこなしている。人間がゼロから調べる時間は、これからどんどん短くなっていく。

最後の「賭ける」決断は人間の仕事

その代わり、商社マンの最大の仕事は「AIが提示した大量の選択肢の中から、何に賭けるかを決めること」になっていく。AIが「成功確率70%」と弾き出したレポートを前に、残り30%の不確実性を自分の胆力と実行力でカバーして、事業を成功に導く。これが2030年代の商社マンの中心的な役割になりそうだ。

してみた:下積みに消えていた時間を計算してみた

若手が資料作成や議事録作成といった「下積み」に使っている時間って、実際どれくらいなんだろう。仮に、若手が週20時間をこうした下積み仕事に費やしているとして計算してみた。

20時間×52週=1,040時間が年間の下積み時間。1日8時間労働に換算すると、1,040時間÷8時間=130日分にもなる。1年のうち約130日、つまり営業日ベースで見るとほぼ半年分が、こうした「地味な作業」に費やされていた計算になる。

この130日がまるごとAIに置き換わるとしたら、若手はその分早く現場に出て、交渉や判断の経験を積めるようになる。でも裏を返せば、その130日を使って身についていたはずの「勘所」を、今後は別の方法で育てないといけないということでもある。私はこの数字を見て、「効率化」の裏にある育成コストの重さに気づかされた。

AI時代でも商社はなくならない?

ここまで見てきたとおり、AIは商社の仕事のかなりの部分を代替していく。でも、それは商社という存在そのものを不要にする話とは違う。

商社が持つ「非公開データ」という資産

情報収集という「作業」がAIに移る分、商社マンは本来の付加価値である「投資判断」「交渉」「経営」により多くの時間を使えるようになる。しかも商社は、これまでの投資や現地交渉で積み上げてきた非公開のデータや人的ネットワークをすでに持っている。この資産は、公開情報しか扱えない汎用AIには手が届かない領域だ。むしろ、これまで下積みに忙殺されていた時間が浮くことで、商社マンはより早い段階から本質的な仕事に向き合えるようになるとも言える。

私たち一般の働き手にとってのヒント

私はこの記事を書きながら、これは商社マンだけの話じゃないな、とも感じた。「情報を集める作業」がAIに置き換わっていくのは、多くの仕事に共通する流れだ。だとすれば、私たちも「集めた情報から何を選ぶか」「最後にどう決断するか」を意識して働く必要があるのかもしれない。

私なりの結論はこうだ。AIが商社マンを不要にするのではなく、「情報を集めるだけの商社マン」を不要にする。これからの時代に求められるのは、AIが集めた情報をもとに、自分の頭で「何に賭けるか」を決められる人だと思う。

よくある質問

Q. 商社の仕事はAIで本当になくなるの?

仕事の一部、特に情報収集や資料作成といった作業はAIに代替されていきます。ただし、交渉や投資判断など人間にしかできない仕事は残るため、商社という職業自体がなくなるわけではありません。

Q. AIにできない商社の仕事って具体的に何?

投資先経営者の人柄の見極め、現地政府や共同出資者との交渉、労働組合や地域社会との利害調整、現場の士気を読むこと、巨額投資の最終判断や撤退判断などが挙げられます。

Q. 商社マンに必要な「目利き力」って具体的に何?

AIが集めた大量の情報の中から、何を信じて何を捨て、どこに資本を投じるかを判断する力のことです。座学ではなく、実際の案件経験を積み重ねることで身につくとされています。

Q. 若手商社マンの下積みはこれからどうなるの?

Excel集計や資料作成、議事録作成といった従来の下積み仕事はAIに代替されていく可能性が高いです。そのため、より早い段階で現場での交渉やトラブル対応など実践的な経験を積む形に育成方法が変わっていくと考えられます。

Q. なぜバフェットは商社株を「50年売らない」と言ったの?

事業を幅広く分散していることによる高いレジリエンスと、株主還元を重視する資本配分姿勢を高く評価しているためとされています。

Q. AI時代に商社の情報力の価値はどうなるの?

公開情報の収集・分析はAIによってコモディティ化していきます。一方で、商社が長年蓄積してきた非公開の現場データや交渉記録は、AI時代でも大きな価値を持ち続けると考えられています。

Q. 商社マンはこれからどんなスキルが求められるの?

情報を集めるスキルよりも、AIが提示した選択肢の中から意思決定を行う判断力、そして現地でのコミュニケーション力や交渉力がより重要になっていきます。

Q. AIによる商社の業務効率化はどれくらい進んでいるの?

丸紅グループでは生成AIの活用により、2025年4月時点で年間90万時間相当の業務量削減を達成しているとされ、効率化はすでに大きく進んでいます。

Q. 商社不要論は今回が初めてなの?

いいえ。1960年代のメーカー直販化、1990〜2000年代のインターネット普及時にも商社不要論が唱えられましたが、そのたびに商社は事業モデルを変化させて生き延びてきました。

Q. AI時代に商社で活躍する人材はどんな人?

AIが提示した情報やリスクを踏まえた上で、最終的にリスクを取って決断できる人、そして現地の人と信頼関係を築ける人が活躍しやすいと考えられます。

おすすめアイテム

ビサイユのトートバッグ

AIが仕事のスピードを変えていく時代でも、自分の足で動く日は変わらずやってくる。軽量・撥水加工・スキミング防止ポケット付きのビサイユのトートバッグは、ビジネスシーンにも心強い相棒だよ。


一粒ルビーネックレス

情報があふれる時代だからこそ、自分の直感を信じたい日もあるよね。英国製・18Kゴールドプレーティング×シルバー925の一粒ルビーネックレスは、そんな日にそっと寄り添ってくれる一品だよ。


軽量ショルダーBCS-140

外回りや出張が多い日も、身軽に動きたい。撥水加工・スキミング防止・多収納の軽量ショルダーBCS-140は、忙しい毎日にちょうどいいサイズ感だよ。


参考・出典

  • 住友商事「デジタル・AI白書2025」
    https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/news/important/2026/20260527/white_paper_2025_ja.pdf
  • SCSK適時開示資料
    https://www.scsk.jp/news/2025/pdf/20251029_2.pdf
  • 三井物産公式トピックス「生成AIを活用した不動産業務効率化プラットフォーム『AIDeeD』を開発」
    https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2025/1252545_14877.html
  • 丸紅公式ニュース「丸紅I-DIGIOとGoogle Cloud、Agentic AIによる産業変革に向けた戦略的提携に合意」
    https://www.marubeni.com/jp/news/2026/group/00027.html
  • 丸紅 IR Day資料(2025年10月)
    https://www.marubeni.com/jp/ir/reports/ir_day/pdf/ir_day2_202510_dxstrategy_script_jp.pdf
  • 伊藤忠商事公式「生成AI活用」
    https://www.itochu.co.jp/ja/about/dx/ai/index.html
  • AI Smiley「AVILEN、伊藤忠商事がAIエージェント共創支援で業務提携契約を締結」
    https://aismiley.co.jp/ai_news/bell24-itochu-avilen-ai/
  • 三菱商事ニュースリリース
    https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/news/release/
  • Morningstar「Why Warren Buffett Likes the Japanese Trading Companies」
    https://global.morningstar.com/en-gb/stocks/why-warren-buffett-likes-japanese-trading-companies
  • WisdomTree Insights「Buffett’s Japan Playbook」
    https://www.wisdomtree.com/us/insights/blog/buffetts-japan-playbook-unlocking-a-generational-equity-opportunity
  • The Japan Times「Buffett inspires retail investors to bet on Japan trading houses」
    https://www.japantimes.co.jp/business/2025/06/04/companies/warren-buffett-japanese-trading-houses/
  • Columbia Threadneedle Investments「Berkshire Hathaway ups the ante on Japan」
    https://www.columbiathreadneedle.com/de/at/intermediary/insights/berkshire-hathaway-ups-the-ante-on-japan/

※本記事の情報は執筆時点のものです。内容は予告なく変更されることがあります。投資判断に関わる内容は、専門家にご相談ください。

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