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青学はなぜ箱根駅伝で強いのか?練習に隠された10の仕組み

青学 箱根駅伝の強さを支える朝練シーンを描いたイラスト

30秒でわかるこの記事

  • 青学の強さは1つの秘密メニューではなく、練習・青トレ・食事・調整が連動した仕組み
  • ポイント練習は週2回だけ。全体練習は1日最大3時間までと決められている
  • 箱根直前はむしろ追い込まず、10〜14日前から疲労を抜くテーパリングに専念する

毎年お正月にテレビの前で箱根駅伝を見ながら、私はいつも同じ疑問を持っていた。「青山学院って、なんでこんなに毎年強いんだろう」。速い選手を集めているだけなのか、それとも何か特別な練習をしているのか。気になって調べてみたら、答えは「これ1つ」という単純なものではなく、練習の組み立て方・体づくり・食事・調整のタイミングまで、いくつもの仕組みが噛み合って初めて成立している総合力だということが分かった。この記事では、青学の具体的な練習方法から、故障を防ぐ体づくり、箱根直前の意外な調整の仕方まで、私が「へえ、そうなんだ」と思った順番でまとめてみる。

目次

青学はなぜ箱根駅伝で強いのか?

青学 箱根駅伝の強さを象徴する、チームで走り込む選手たちのイラスト

結論から言うと、青学の強さは「猛練習」だけでは説明できない。走り込み・青トレと呼ばれる体幹トレーニング・故障対策・食事・休養・直前の調整・選手層の厚さ、これらが連動して初めて箱根の結果につながっている。

秘密の1つの練習メニューは存在しない

私は最初、「きっと他校には教えない必殺の練習メニューがあるはず」と思っていた。でも調べる限り、そういう単一の答えは見つからなかった。むしろ「当たり前のことを、当たり前以上の精度でやり続けている」という印象の方が近い。

強さを作る仕組みの全体像

月間走行距離700〜800kmという走り込みを土台に、体幹強化・故障予防・栄養管理・レース直前のコンディション調整という複数の柱が同時に機能している。次の章から、それぞれを具体的に見ていきたい。

青学の練習は毎日限界まで追い込むわけではない

「強豪校=毎日倒れるまで走っている」というイメージを持っていたが、これは私の思い込みだった。

ポイント練習は週2回だけ

心肺機能とスピードを鍛える本格的なポイント練習(インターバル走や距離走)は、水曜と土曜の週2回に限定されている。それ以外の日はジョグや体幹トレーニングが中心で、疲労回復とのバランスが取られている。設定タイムを守りながら、最後にスピードを上げて出し切るところまでコントロールされているのも特徴だ。

全体練習は1日最大3時間まで

長距離チームだからといって、練習時間を無制限に伸ばしているわけではない。集中力の維持とオーバートレーニング防止のため、チーム全体の練習時間は1日3時間までという制限が設けられている。私はこの「時間を区切る」という発想こそが、長く強さを維持できている理由の一つだと感じた。だらだらと長時間練習するチームより、短い時間に集中力を凝縮するチームの方が、故障のリスクも低く抑えられるのだろう。

朝練・ジョグ・ポイント練習はどう使い分けている?

青学 駅伝 練習メニューを表す、朝5時に走り出す選手のイラスト

1日のリズムを見ていくと、練習の役割分担がかなりはっきりしていることが分かる。

朝5時からの朝練

毎朝5時に起床し、約9kmの朝練を行う。夏合宿など強化期間には距離が15kmまで伸びることもある。早朝からの積み重ねが、月間の走行距離の土台を作っている。

午後のジョグとポイント練習の組み合わせ

授業後の16時30分〜19時ごろが主要な練習時間で、ポイント練習の日以外は体幹トレーニングの後に80〜120分のジョグを行う。「毎日全力」ではなく「強弱をつける」ことが、月間700〜800kmという走行距離を無理なく積み上げるコツになっている。

通学の移動距離を含めて走行距離を試算してみた

私はここで、ふと気になって数字を計算してみることにした。青学の選手は寮からキャンパスまで通学しており、この往復が約10kmになる場合があるという。ただし、この通学分は公式の「月間走行距離700〜800km」には含まれていない。仮に授業のある日を月20日と置いて試算すると、10km×20日=200km。これを月間走行距離に単純に足し合わせると、実質的な移動量は900〜1,000km規模になる計算だ。テレビで語られる「月間700〜800km」という数字だけでも十分に驚くが、実際の生活全体で動いている距離はさらに大きいということが、この試算からも見えてきた。

「青トレ」は何のためにやっている?

青学 青トレの体幹強化を象徴する、インナーユニットを鍛える選手のイラスト

「青トレ」という名前だけは聞いたことがあったが、私は正直これまで「体幹を鍛える筋トレの一種」くらいにしか思っていなかった。

腹筋を割るためのトレーニングではない

フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏が監修するこのトレーニングの目的は、見た目の腹筋を鍛えることではなく、腹横筋などのインナーユニットを使って「腹腔内圧」をコントロールすることにある。体幹という土台を安定させ、着地の衝撃を効率よく吸収する狙いがある。

ランニングフォームと故障予防への効果

体幹がブレないことで、疲労がたまった後半でもフォームが崩れにくくなる。着地衝撃が直接下肢に集中するのを防ぐことにもつながり、日々の走り込みを支える土台になっている。私はこの仕組みを知って、見た目の筋肉より「使える体幹」を優先するという発想に、なるほどと感じさせられた。

強さを支える故障対策とコンディショニング

これだけの走行距離をこなしながら大きな故障者を出さずに済んでいる背景には、医療との連携がある。

最先端の再生医療との提携

青学駅伝チームは再生医療関連事業を展開する企業とメディカルパートナー契約を結んでいる。選手自身の血液から作った成分を用いる「PFC-FD」という技術を関節や靱帯のケアに取り入れており、長期離脱につながりかねない不調を早い段階でケアする体制が整えられている。原監督自身も、この治療で膝の不調が改善した経験から導入を決めたとされている。

食事面でのサポート体制

寮の食堂では専属のスポーツ栄養士が食事を監修しており、農園と連携して「ブロッコリースーパースプラウト」を汁物や炒め物に日常的に取り入れている。内臓疲労や貧血の予防を、日々の食事から支える工夫だ。

箱根直前はむしろ追い込まない?ピーキングの考え方

青学 駅伝 夏合宿明けの調整期、疲労を抜く軽いジョグのイラスト

私が一番意外だったのがこの章の内容だ。てっきり大会直前は追い込みの強度を上げているものだと思っていた。

レース10〜14日前に追い込みを終える

実際には、遅くともレースの10日前、理想的には2週間前までにハードな練習を完全に終えている。直前に追い込むと疲労が抜けきらず、本番に確実に悪影響が出るという考え方が徹底されている。

直前は「疲労を抜く」ことに専念

残りの期間は1km6〜7分程度のジョグと、感覚維持のための軽いインターバル走を1回入れる程度に留める。当日100%の状態でスタートラインに立つことを最優先にした、逆算のスケジュールになっている。

本番の入りも「あえて遅く」が鉄則

面白いのは、この考え方がレース当日の入りのペース設定にも表れていることだ。集団に引っ張られてオーバーペースになるのを防ぐため、最初の入りは目標ペースより1kmあたり10〜15秒遅く入ることが推奨されているという。私はこれを知って、「攻める部分」と「あえて抑える部分」をはっきり分けて設計しているチームなのだと感じた。

「高校の速い選手を集めているだけ」は本当?

これはよく聞く批判的な見方だが、データを見る限り実態は違っていた。

入学時点では他校よりむしろ差があった

かつて黄金期の礎となった代の入学者を見ると、上位5名の5000mベストタイム平均は14分22秒。ライバル校の14分07秒と比べると、トラック換算で80〜100mもの差があったとされる。

在学中の自己ベスト更新率は約83%

しかし在学中に自己ベストを更新する選手の割合は約83%に達するというデータがある。つまり青学の強さは、入学時点のスカウト力ではなく、入学後にどれだけ選手を伸ばせるかという「育成力」に支えられている。ちなみに、選手自身が自分の課題を言葉にして考える力を育てる仕組みについては、また別の記事で詳しく紹介しているので、興味があれば読んでみてほしい。

原晋の人材育成術、なぜ青学の選手は自分で考えて動けるのか

青学の強さは「練習メニュー」だけでは説明できない

青学 強さの秘密を象徴する、山登り区間を駆け上がる選手のイラスト

ここまで見てきたように、青学の強さは1つの必殺メニューではなく、複数の仕組みが同時に噛み合った結果だと私は感じている。

走り込み・体づくり・調整の三位一体

走り込みで作った基礎の上に、青トレで体幹を安定させ、テーパリングで疲労を抜いて100%の状態を作る。どれか1つが欠けても、今の強さは成立しないはずだ。

山登り区間の育成力にも同じ仕組みが表れている

第102回大会で5区の区間新記録(1時間7分16秒)を打ち立てた選手のように、特殊区間に適性のある選手を見極めて育てる力にも、同じ「土台づくり×個の見極め」の発想が生きている。前傾姿勢になりやすいフォームや、無酸素状態からでも回復できる身体的な特徴を早い段階で見抜き、山専門の選手として計画的に育てているという。私はここまで調べてみて、「速い選手を探す」より「速くなる仕組みを作る」ことに徹底しているチームなのだと実感した。

歴代の「山の神」に共通する育成ストーリー

山登り区間の強さは、今回の記録だけの話ではない。過去にも山登り区間で歴史的な走りを見せた選手が何人もおり、そのたびに「なぜこの選手がこの区間でこれほど強いのか」という驚きの声が上がってきた。共通しているのは、入学時点から山向きの選手として決め打ちされていたわけではなく、練習の積み重ねの中で監督やコーチが適性に気づき、本人も自信を深めていったという経緯だ。私はこの「後から見つかる才能」という構図が、青学らしさを一番よく表していると感じた。特別な選手を最初から探し当てているのではなく、育てていく過程で特別になっていく。

装備面でも仕組みづくりが徹底されている

シューズについても、2013年からアディダスとパートナーシップを結び、共同開発とフィードバックのサイクルを回している。ある年の大会では、他校の多くが別ブランドの厚底シューズを履くなか、青学はほとんどの選手が最新のアディダスモデルで走り、記録面でも存在感を示した。練習の仕組みだけでなく、道具の面でも「個人任せにしない」姿勢が徹底されているのだと感じた。

他大学と比べると強さの質がどう違うのか

ここまで見てきた仕組みを、他の強豪校と比べてみると、青学らしさがより見えてくる。

エース依存型との違い

大学駅伝の勝ち方には大きく分けて2つの型がある。一つは、接戦を一気にひっくり返せるような突出したエース選手に頼る「エース依存型」。もう一つは、誰が走っても一定水準以上の走りができる「層の厚さ型」だ。青学は明らかに後者で、10000mで28分台の走力を持つ選手を多数揃えることで、一人の不調やアクシデントがチーム全体に響きにくい構造を作っている。

出雲・全日本での結果は箱根への逆算

面白いのは、青学が出雲駅伝や全日本大学駅伝で必ずしも勝ち続けているわけではないという点だ。ある年度は出雲7位・全日本3位という結果に終わっているが、これは他大会を軽視しているのではなく、コンディションのピークを箱根駅伝に最も厚く合わせている結果だと考えられる。私はこれを知って、「勝てる時に勝つ」のではなく「一番勝ちたい場所で勝つ」ように、年間を通じたスケジュール全体が逆算で設計されているのだと感じた。

もっと詳しく知りたい人は、箱根駅伝そのものの見方やルールをまとめたこちらの記事も参考にしてほしい。

箱根駅伝2026を初めて見る人向け完全ガイド

ちなみに箱根駅伝を題材にしたドラマ化の話題も出ているので、こちらも合わせてどうぞ。

大泉洋主演『俺たちの箱根駅伝』はいつ放送?

よくある質問

青学 箱根駅伝の強さを支える朝練シーンを描いたイラスト

Q. 青学は具体的にどんな練習をしているのですか?

週2回のポイント練習(インターバル走・距離走)と、それ以外の日のジョグ・体幹トレーニングを組み合わせ、月間700〜800kmを積み上げています。

Q. 青学の月間走行距離はどれくらいですか?

公式には700〜800kmとされていますが、通学の移動距離などを含めると実質的にはさらに多い距離を日々こなしていると考えられます。

Q. 「青トレ」とは何をするトレーニングですか?

腹横筋などのインナーユニットを使って腹腔内圧をコントロールし、着地衝撃を吸収してランニングフォームを安定させるための体幹トレーニングです。

Q. 箱根駅伝の直前はハードな練習をしているのですか?

いいえ。レースの10〜14日前までに追い込みを終え、直前は疲労を抜くための軽いジョグと調整インターバルのみに切り替えています。レース当日も、最初の入りをあえて目標ペースより遅くする戦略が取られています。

Q. 青学は高校時代の速い選手を集めているだけなのですか?

データを見る限りそうとは言えません。過去には入学時点で他校より遅れていた代もあり、在学中の自己ベスト更新率は約83%と、入学後の育成力の高さがうかがえます。

Q. 故障を防ぐためにどんな対策をしているのですか?

再生医療関連企業とのメディカルパートナー契約による関節・靱帯のケアや、スポーツ栄養士による食事管理など、複数の対策を組み合わせています。

Q. 5区・6区の山登り区間の選手はどうやって決めているのですか?

前傾姿勢に適したフォームや、無酸素状態からの回復力といった適性を早い段階で見極め、計画的に育てているとされています。

Q. 全体練習の時間はどれくらいですか?

集中力の維持とオーバートレーニング防止のため、1日最大3時間までという制限が設けられています。

Q. 食事面ではどんな工夫をしていますか?

専属のスポーツ栄養士による食事管理に加え、スルフォラファンを含む「ブロッコリースーパースプラウト」を日常的に取り入れています。

Q. 練習方法以外に、青学の強さを支えているものはありますか?

選手自身が自分の目標や課題を考える人材育成の仕組みや、アディダスとの共同開発によるシューズなど、練習以外の土台も強さを支えています。この人材育成の部分は別記事で詳しく紹介しています。

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参考・出典

  • RUNNET「起床は朝4時半! 箱根駅伝ランナーの1日を紹介」
    https://runnet.jp/
  • Tarzan Web「ストレス過多に要注意。使える体幹作りに『横隔膜強化』が必須なワケ」
    https://tarzanweb.jp/
  • セルソース株式会社「青山学院大学駅伝チームと再生医療関連事業のセルソースがメディカルパートナー契約を締結」
    https://cellsource.co.jp/news/detail.html?id=20211224
  • 村上農園「村上農園×青学駅伝|食とスポーツが生む新しい挑戦」
    https://murakamifarm.com/
  • Number Web「黒田朝日の異次元区間新はもちろん…なぜ箱根駅伝『山上りの5区』はドラマチックなのか」

※本記事の情報は執筆時点のものです。内容は今後変更される場合があります。

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